2016年7月13日水曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート 別刊 小林愛実 ピアノ・リサイタル

2016-07-13 @みなとみらいホール


小林愛実:ピアノ

ラヴェル:水の戯れ
リスト:巡礼の年第2年「イタリア」から
 3つのペトラルカのソネット第47番、第104番、第123番、  
 ダンテを読んで―ソナタ風幻想曲
ショパン:24の前奏曲 作品28 全曲
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アンコール(いずれもショパン)
マズルカ 作品17-4
夜想曲第20番嬰ハ短調「レント・コン・グラン・エスプレッショーネ」 遺作


開演前のピアノの調整
昨年のショパン国際ピアノコンクール-ファイナリスト。
ということは順位をつけると7位~10位に相当する訳か。
まあ、どうせ、僕には1位と10位の差も分からないと思うが。

5月下旬にシャルル・リシャール=アムラン(同コンクール第2位)の演奏を同じホールの同じ席で聴いた(セット券を買ったので)。
小林とは演奏曲目が一つもかぶっていないし、2ヵ月近く経っているから印象はぼやけているけど、音量に差があったかなあ。もちろん、アムランの方がダイナミックレンジは広かったような気がする。

開演時間が5分位遅れるのはごく普通のことだけど、彼女の場合は8分も遅れた。観客は完全沈黙で登場を待っているのだけど、5分も過ぎるとさすがに何かあったのかと不審感が拡がり会場が少しざわつき始めたところでようやくのご登場だ。
僕は、少し気分を害して歓迎の拍手を惜しんだのは大人気なかったかも。

登場の際は少し笑顔を見せたが、その後は観客に対してはほとんど無表情だ。
プログラムの節目には頭を下げてくれるのだけど形ばかりで観客との間に共感は広がらない。
それというのも、演奏態度が終始入魂の真剣勝負のようで恰も求道者の如し。コンサート映像などで感情過多の八の字眉毛は知っていたが、そんなに気合を入れなくちゃいけないものか、と不思議に思うくらいだ。だから聴衆のことはなかなか思い至らないのだろう。


素人に彼女の技量のほどは分からないが、7歳でオーケストラと共演し、9歳で国際デビュー。2005年には全国学生音楽コンクール小学校の部で史上最年少(小学4年)で優勝。その後いろんなコンクールで好成績を上げ、14歳でCDデビューも果たしている事情から、非凡な才能の持ち主であることは間違いないだろう。

演奏は、全く手抜き無しの一音一音に気持ちを完全に乗せて弾いているのが良く分かる。彼女の音楽への集中度が観客席にも伝播して、聴いている方も気がつけばかなりの緊張感を強いられているのが分かる。

そういう意味で、中身の濃い演奏会であった。
本篇全曲を弾き終えて退場する際にようやく二度目の笑顔が出た。もう少しゆとりが欲しいが、これでまだ20歳というからこの先どんな傑物に成長してゆくのだろう。


♪2016-097/♪みなとみらいホール-26