2016-07-28 @みなとみらいホール
高関健:指揮
石田泰尚:バイオリン<ソロ・コンサートマスター>*
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
バーバー:バイオリン協奏曲 作品14*
ショスタコーヴィチ:交響曲第15番イ長調 作品141
ウィリアムテル序曲なんて、何度も聴いている気がしていたけど、冒頭チェロの静かな独奏で始まり、さらに4本のチェロが加わり、コントラバスが加わってゆくのを聴きながら、これはこれまでイメージしていた曲とは全然違うことにびっくり。
プログラム中の解説を読んでおけば良かったが、どうせ耳タコの曲だと誤解していたので事前勉強を怠ってしまった。
つまり、よく聴いて知っている耳タコのウィリアム・テル序曲は全部で4つの部分から構成される中の第2部「嵐」以降(第3部「静寂」、第4部「スイス軍の行進」)であって、第1部「夜明け」は自覚を以って聴いたことがなかったようだ。
何と言っても「ウィリアム・テル序曲」といえば「嵐」以降、とりわけ「スイス軍の行進」が耳タコなのだ。
なるほど、「夜明け」があってこそ、「~行進」が満を持して炸裂ように構成されている。トランペットを始め金管の砲列が華々しくラストを盛り上げて気持ちがよろしい。
バーバーの作品は、多分「弦楽のためのアダージョ」が一番有名だと思うが、僕はこの曲しか知らなかったので、もちろんバイオリン協奏曲は初聴き。
最初はロマンチックというか、叙情的というか、あの「弦楽のためのアダージョ」のバーバーだな、と納得させる雰囲気で始まるのだけど、徐々に不安が頭をもたげ(第2楽章)、終楽章は調性も怪しくなり、かつ、無窮動で激しく突っ走って終わる。時間は4分程度の短い楽章だけど、独奏バイオリンは腕を休める瞬間が無かったように思う。
まあ、何度か聴いていると面白く思うようになるかもしれない、という予感はした。
ショスタコの15番も初聴き。
第1楽章がおどけた様子で始まり、やがてウィリアム・テル序曲の「スイス軍の行進」が登場する。
なるほど、今日のプログラムはこういう仕掛けがあったのか。
ほかにもワーグナーの《ニーベルングの指環》から「運命の動機」、グリンカのロマンスなどの断片を採り入れているようだが、気が付かなかった。
おもちゃ箱のような第1楽章から段々と調子が暗くなってきて重苦しくなるのだけど、多種多様な打楽器群を活用したオーケストレーションは面白い。
♪2016-106/♪みなとみらいホール-28