2022年10月29日土曜日

横浜みなとみらいホールリニューアル記念事業 沼尻竜典指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団演奏会

2022-10-29 @みなとみらいホール



沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
オルガン:近藤岳
ゲストコンマス:戸原直(すなお)

ヤン・ヴァンデルロースト:横浜音祭りファンファーレ
三善晃:管弦楽のための交響詩《連祷富士》
R.シュトラウス:アルプス交響曲 Op. 64


音祭りの協賛の演奏会ではあちこちで館内放送で聴いた「音祭りファンファーレ」をようやく生で聴いた。
当然金管だけ15本。やはり電気再生で聴くのとは全然違う。2013年から使っているようだけど、これまで意識することもなかったな。

2-3曲目はなぜかいずれも「山」が主題。

三善晃「連祷富士」は初聴き。
厳かな様子で始まったが、途中から結構喧しく盛り上がって終わった。3部構成と書いてあったからてっきりその第1部が終わったのかと思ったけど、全曲の終わりだった。13分間の短い曲だった。
ピアノが舞台下手で参加していたが、その音のキラキラと美しいこと。

3日前のサントリーホールのピアノが居酒屋のHonky tonkみたいだったので、耳が故障したのかと思っていたが、そうではなかったよ。

「アルプス交響曲」は、生では2014年アシュケナージ+N響が後にも先にも1回きりだったが、今日で生涯の2回目。それ程ありがたい曲だとは思えないけど、楽器編成が特大規模で珍しい。

弦は14-12-10-9-8と14型ではあるが低弦を増強。
4管編成でHrは9本(うち4本はワーグナーチューバ持替)、フルート、トランペット4本、その他金管は舞台とは別にバンダが15本。打楽器はティンパニ2組、サンダーシート2枚、その他あれやこれやにオルガンも加わった大所帯。

めくるめく音の色彩の爆発。
単一楽章だから、あれよあれよの50分!

祝祭感いっぱいで、大いに満足した。
なんだか、ハレの気分で、帰りにSOGOでご馳走を食べて帰ったよ。

♪2022-162/♪みなとみらいホール-01

2022年10月28日金曜日

横浜バロック室内合奏団定期演奏会103回 〜室内楽の喜び

2022-10-28 @ひまわりの郷


横浜バロック室内合奏団
①Pf堀由紀子 Vn茂原大朗 Va百武由紀 Vc間瀬利雄
②Vn小笠原伸子 茂原大朗 Va眞中望美 Vc中垣文子
③Pf堀由紀子 Vn小笠原伸子 有馬希和子 Va百武由紀 Vc間瀬利雄

①モーツァルト:ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 K478
②モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番ハ長調 「不協和音」K465
③ブラームス:ピアノ五重奏曲へ短調 作品34
----------------------
ブラームス:同上スケルツォ



今季最後の演奏会は、バロックではなく古典派とロマン派の室内楽。

ピアノ五重奏といえばシューマンとブラームスが双璧だと思っている。

先週、横浜シンフォニエッタでシューマンを聴いたが、今日はブラームスだ。他も好物揃いで、モーツァルト:ピアノ四重奏第1番と弦楽四重奏曲第19番「不協和音」。

いつもは10人前後のアンサンブルだが、今日は人数が少ない分、演奏は引き締まって、いつもの横浜バロックとは思えない出来映え。

特にピアノの堀由紀子はこの合奏団でしか聴いたことがないし、有名じゃない?が、感じがいい。腕前はどうせこのクラスになると分からないが、聴いていて好ましい気分に。アンサンブルの妙だ。


余録:なぜかは説明省略。
休憩中にテレマンのガリバー組曲から1曲が演奏さた。そんな曲があること自体知らなかった。
後から調べたらテレマン45歳時にガリバー旅行記が出版されている。触発されて書いたのだろうな。

小人国、巨人国の話は読んだが、ガリバーが観音崎に上陸した話は知らなかった!
因みに浦島太郎は我が家の近在の人らしいが(全国に伝説あり)。

♪2022-161/♪ひまわりの郷-4

2022年10月26日水曜日

第1967回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2022-10-26 @サントリーホール


ヘルベルト・ブロムシュテット:指揮
NHK交響楽団

オリ・ムストネン:ピアノ*
盛田麻央:ソプラノ**
青山貴:バリトン**

グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 作品16*
ニールセン:交響曲第3番 作品27「広がり」**
------------------------
ヘンデル:調子の良いかじ屋*


グリーグのピアノ協奏曲は頻繁に聴いているようで3年ぶり。大いに楽しみにしていたが、これは興醒めだった。

ピアノのオリ・ムストネンは初めてで、陽気な人柄みたいだが、いざ始まるとタッチの拘りは尋常ならざるものあり。フレーズの中のテンポも強弱も極めて独自…大袈裟だ。

ピアノの音も悪かった*がそれは措くとしても、異色の鍵盤操作に呆然として音楽に入ってゆけず。

が、NHKでの放映が楽しみだ。
どこまで彼の独自のアーティキュレーションをマイクは正確に拾うだろうか。

後半のニールセン。
交響曲3番は初聴きだが、交響曲1番や序曲、各種協奏曲などこれまで聴いたものは、全て好印象。

始まってみると、冒頭から楽しい!
きっちり調性があるだけではなく、実に分かりやすく、大掛かりな娯楽音楽のようでもある。
それに多彩な管弦楽技法が興趣を高める。
第2楽章だけソプラノとバリトンのボカリーズが加わって、これも効果的。

N響は大規模編成(弦は対抗配置16+16…)ながらカチッとしたアンサンブルが見事。こういう演奏なら、みなとみらいホールとかミューザで聴きたいものだが。


*今に始まった事ではないが、サントリーホールの響は良くない。特にピアノの音が耐えられん。
高域の強奏はキラキラ輝くが、それでも痩せ細った硬い音だ。
中低域となるとまるで石を叩いているかのよう。
安酒場のホンキートンクみたいだ。

が、苦情は出ていないようだから、三鳥に限って僕の耳が変になるのだな。

♪2022-160/♪サントリーホール-19

2022年10月25日火曜日

横浜交響楽団 第719回定期演奏会 ”合唱宗教曲”

2022-10-25 @県民ホール


泉翔士:指揮
横浜交響楽団
横響合唱団*

ソプラノ⇒中山美紀*
アルト⇒野間愛*
テノール⇒市川浩平*
バリトン⇒黒田祐貴*

ビゼー:交響曲第1番ハ長調
モーツァルト:レクイエム*


日本のアマオケ最古参、創立90年の横響が719回の定期演奏会…って凄いね。久しぶりに県民ホールで合唱付に臨んだ。
音楽堂では合唱人数が制限されている為らしい。今日の合唱は80人。
前半は、ビゼーの交響曲第1番。若い頃、第2楽章のObの哀愁にやられてたクチだ。

以来好きな曲だが、演奏機会が少ない。プロで聴くのは3年に1回程度か。ビゼー17歳の若作りということで、管弦楽曲としては完成度が低いのかもしれない。

演奏は慎重を期すあまり全体に音圧が低く、大舞台に負けている感じ。Obソロも上手だったがもっと泣き乱れて欲しかったな。

モツ・レクを聴くのはちょうど1年ぶり。
こちらもこじんまり収まって物足りなかった。
声楽独唱はプロで全員NoMaskだが、合唱団は全員Mask。
この為にストレートに声が出ていないのが残念だったが、中盤以降は盛り返したと思う。

12月には3年ぶりの「第九」を楽しみにしているよ。弾けて〜っ!

♪2022-159/♪県民ホール-17

2022年10月24日月曜日

東京都交響楽団 第961回 定期演奏会Aシリーズ

2022-10-24 @東京文化会館


準・メルクル:指揮
東京都交響楽団
五明佳廉:バイオリン*

細川俊夫:オーケストラのための《渦》(2019)
プロコフィエフ:バイオリン協奏曲第1番 ニ長調 op.19*
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲《展覧会の絵》
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サミュエル・アダムス:バイオリン ディプティック*



細川俊夫「渦」は初聴き。非常に興味深く聴いた。
舞台奥に管楽器群。
前の左右に打楽器等と弦5部によるオケが対峙。
2F左右の客席に金管2名ずつ配置。

最弱音から始まる音がうねるように変容して超立体的!に渦を巻いてゆく様な…、と作者弁を読んだのでそんな気が…。

旋律らしきものなく、拍らしきものなく、ただ、特殊奏法を中心にした効果音の羅列だ。
音の実験として面白いけど、こんな事なら初めから電子音楽で作れば良かったのでは?

それを舞台・客席・壁・天井に配置したスピーカーから鳴らせばもっと明瞭で効果的。何なら客席からハウリングも加えたら面白いのに。

アコースティックな楽器を山ほど並べて、懸命に電子音を模しているようで、どうもおかしい。

プロコフィエフ:バイオリン協奏曲第1番は、真剣に聴こうと構えていたが、なかなか入ってゆけなかった。
先月の周防亮介+日フィルの響が頭に残っていて「なんか違うぞ…」。ホンに良い演奏を聴くと後が厳しい。

「展覧会の絵」で初めてメルクル節が出たのかな。
各フレーズは消え入るまでしっかりと歌う。
一点一画を疎かにしない楷書ぽい。

が、全体にゆったりとしたテンポで、管楽器は概ね粘っこい。
弦は細かい音符も数えられる程の滑舌の良さ。
これ迄沢山聴いてきたが、かくも”独自”なのは初めて。

この曲も過去に何度も名演を聴いているからなあ。
昨年末のG・デスピノーサ+N響!
今年6月のS・ヴァイグレ+読響!

今日の都響が素晴らしかったのは「サムエル・ゴールデンベルク〜」だ。
木管と弦のユニゾンが美しい。音域も特に高くないので時に聴くことがある不快音とも無縁。都響の16型の弦が豊かな厚みで本領を発揮した。

♪2022-158/♪東京文化会館-13

2022年10月22日土曜日

東京交響楽団川崎定期演奏会 第88回

2022-10-22 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ジョナサン・ノット:指揮
東京交響楽団

シェーンベルク:5つの管弦楽曲 op.16
 Ⅰ予感
 Ⅱ過ぎ去りシコと
 Ⅲ色彩
 Ⅳ急転回
 Ⅴオブリガート・レチタティーヴォ

ウェーベルン:パッサカリア op.1

ブルックナー:交響曲第2番ハ短調*
 Ⅰモデラート
 Ⅱスケルツォ:適度に速く
 Ⅲアンダンテ
 Ⅳフィナーレ:急速に

*当初の告知から、第1稿による楽章順に変更。一部は第2稿も取り入れるなど独自解釈



今日の3曲(シェーンベルク/ウェーベルン/ブルック ナー)がどういうコンセプトで繋がるのか分からないところがノットらしい。

前半の2曲は、プログラムに挟み込まれた刷物を読みながらぼんやり聴いていたが、存外面白く、演奏も良い出来だった。

後半のブルックナー交響曲第2番は、リハーサルの最中にでも急に思いついたか、ノヴァーク版2稿から1稿に変えて楽章順を変更し、部分的には2稿も使うという趣旨(原文が悪いのか訳が悪いのか両方なのか、実に分かりにくい文章)の別刷が挟んであった。急いで複写したのか、文面が傾いていたな!

モーツァルト「レクイエム」にリゲティの作品を挟みこむ際の最初の告知〜本番までの方針変更に比べりゃ即断即決だったかも。

それにしても、よく、いろんなことを思いつく人だよ。それも急だから、オケも事務方も容易じゃないな。

そもそもブルックナーは好みじゃないし、中でも2番は聴く機会が少ないが、手持ちのCD2種はいずれも2稿だし、パーヴォ・ヤルヴィ+N響で聴いたのも2稿だった。

ま、どっちもありなんだろうな。
2稿⇒1稿による楽章順の入替なんか、そもそもこの曲に馴染んでいないからでもあるが、何の違和感もなかった。

また、最近良い響きを出している東響がなかなかの熱演で好感した。ブルックナーも悪くないぞ、という感じだったのは収穫。


♪2022-157/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-41

2022年10月20日木曜日

東京フィル第976回サントリー定期シリーズ

2022-10-20 @サントリーホール



ヴェルディ:歌劇「ファルスタッフ」(リコルディ版)(演奏会形式)
全3幕 原語(イタリア語)上演 日本語字幕付き
原作: ウィリアム・シェイクスピア「ウィンザーの陽気な女房たち」
台本: アッリーゴ・ボーイト

公演時間:約2時間35分(幕間/CCを含む)
 第1幕/第2幕第1部…60分
 休憩       …15分
 第2幕第2部/第3幕…60分

指揮・演出:チョン・ミョンフン
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団

ファルスタッフ(Br):セバスティアン・カターナ
フォード(Br):須藤慎吾
フェントン(Tn):小堀勇介
カイウス(Tn):清水徹太郎
バルドルフォ(Tn):大槻孝志
ピストーラ(Bs Br):加藤宏隆
アリーチェ(Sp):砂川涼子❤️
ナンネッタ(Sp):三宅理恵
クイックリー(Ms):中島郁子
メグ(Ms):向野由美子
合唱:新国立劇場合唱団



某響と違って、東フィルは定期演奏会なのに豪華面子を揃えてオペラだ。
舞台回りの客席を全部潰した(そこまでしなくとも合唱は十分並んだのに。)のはチケット収入より演出を重視したからだろう。太っ腹具合はファルスタッフ並みで嬉しい。

チョン・ミョンフン自らの演出だが、冒頭、第一幕の舞台である居酒屋の主人宜しく白いエプロンを付け、手には大きな箒を持って登場して大いに笑いをとった。もうこれで成功したようなものだ。
その後も指揮の傍ら歌手にお酒を注いだり小道具を渡したりと忙しい。

今日の東フィルは舞台にひな壇がなく、まるでピットにいるかのような配置だったが、時に応じて管楽器が立ち上がる場面も。

オペラ慣れしているオケだけあって演奏に何の不満も感じさせず、団員も楽しんでいるのがよく伝わって良かった。
最後にもオケの意外なパフォーマンスにニンマリ。

タイトルロールを歌うセバスティアン・カターナは初聴きだが体躯も声量も十分ファルスタッフ級だ。
女声主役は我がマドンナ砂川涼子❤️。
輝かしい高音が美しいが、最後の十重唱でも際立っていた。
ソプラノやテノールは言うまでもなく高い音が出れば良いという訳ではないが、ああいう声質は訓練の賜物というより天性のものではないか。


終演後は順調にカーテンコールが続いたが、ここで意外なアンコール。
終幕の十重唱が再度演奏されて大いに盛り上がった。客席は多くの人が立ち上がって拍手の嵐。

さて、「ファルスタッフ」は何度観ても聴いてもオチに納得できない。深いのか軽いのか…。この頃は考えないことにしている。全ては冗談だと思うしかないね。

東フィルは来季定期も「オテロ」だ。楽しみ!

♪2022-156/♪サントリーホール-18

2022年10月19日水曜日

横浜音祭り2022 横浜18区コンサート 〜横浜シンフォニエッタメンバー〜

2022-10-19 @テアトルフォンテ



横浜シンフォニエッタメンバー
 バイオリン:加藤えりな/佐々木絵理子
 ビオラ:伴野剛
 チェロ:懸田貴嗣
 クラリネット:齋藤雄介
 ピアノ:碓井俊樹

モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44
------Enc------------------
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44から第1楽章
横浜市歌(クラリネット+ピアノ五重奏版)


1年余にわたった今季の横浜18区コンサートの掉尾を飾ったのは、横浜シンフォニエッタ・メンバーによるモーツァルトとシューマンの五重奏曲の名曲2本立て。
前半はモーツァルト・クラリネット五重奏曲。クラリネットは齋藤雄介(神フィル首席でもある)。

彼はつい2週間ほど前に神奈川フィル室内楽@かなっくHで、演奏中にクラリネットを5つに分解されながら吹き切るという妙技を披露したばかりなので、また朝顔から抜いていったらどうなるだろうと妄想しながら聴いた。

LPを買い始めた初期に、なぜかモツ・ブラのクラリネット五重奏曲カップリングを買って、室内楽入門した思い出の曲だ。

後半がシューマン・ピアノ五重奏曲。

昨日は「みなとみらいクインテット」で第1楽章だけ聴いて欲求不満を募らせていたので、先ずは清々した。

1-Allegro brillanteとあるように元気よく始まり、2楽章は憂いを含むが(これが良い味わい)、3-4楽章と明るく疾走して、まさにこの作品はクララとの愛の結晶ではないかと思う。

全曲にわたってアンサンブルの魅力に溢れている。
ブラームスのピアノ五重奏曲と共にこのジャンルでは双璧を成していると思う。


演奏については昨日とは随分様子が異なった。
「みなとみらいクインテット」はいわばスター級ソリスト集団。
今日はアンサンブルが本職の演奏家達で、前者にはスリリングな丁々発止が。後者には予定調和の安心感が。

ただ、会場の違いは大きい。
やはり音楽堂の響きの良さを痛感することになった。(演奏スタイルの違いも相俟って)音楽堂では、各人の音が其々に際立つが、今日のホールではそれはなかった。まあ、楽器も違うんだろうね。前者はストラディやグァルネリだもんな。


♪2022-155/♪テアトルフォンテ-01

2022年10月18日火曜日

横浜音祭り2022 横浜18区コンサート 〜藤木大地 & みなとみらいクインテット〜

2022-10-18 @県立音楽堂


藤木大地:カウンターテナー
みなとみらいクインテット
 バイオリン:成田達輝/小林美樹
 ビオラ:川本嘉子
 チェロ:中木健二
 ピアノ:松本和将

シューマン:ピアノ五重奏曲から第1楽章*
J.シュトラウスⅡ:お客を招くのが好き(喜歌劇「こうもり」から)
ベートーべン:アデライーデ
シューベルト:魔王
フォーレ:リディア
マーラー:私はこの世に忘れられた
ブラームス:鎮められたあこがれ**
ドボルザーク:ピアノ五重奏曲第2番から 第1楽章*
モリコーネ:ネッラ・ファンタジア
アーレン:オーバー・ザ・レインボー*
ヴュータン:アメリカの思い出「ヤンキー・ドゥードゥル」*
小林秀雄:落葉松
木下牧子:夢みたものは***
村松崇継:いのちの歌
------Enc------------------
木下牧子:鷗***
加藤昌則:もしも歌がなかったら

無印は加藤昌則編曲によるCTn+ピアノ五重奏曲版
*印はオリジナルのピアノ五重奏曲版
**印は木下牧子編曲によるCTn+ピアノ五重奏曲版


横浜18区コンサートの一環。
これまでは各区の区立文化センターの小ホールだったけど、今回は千人超の音楽堂で。これが満席だった。

90分の予定が140分。その後の予定がなくて良かったよ。

悪いけど藤木ファンじゃない。みなとみらいクインテットという怪しい方が目当て。

成田達輝/小林美樹/川本嘉子/中木健二/松本和将ってなかり好みの面子が揃って嬉しや。
しかし、ピアノ五重奏はシューマンとドボルザーク2番から各1楽章のみと「ヤンキー〜」だけで寂しかったが、藤木の歌唱には1曲を除きすべて五重奏で伴奏した。

一番良かったのは最初のシューマンのピアノ五重奏曲。
ブラームスと並んでこのジャンルの最高傑作だと思っている。

それが第1楽章だけって悲しい…が、天の采配だね。明日、横浜シンフォニエッタで全曲聴くので楽しみだ。

「ヤンキー〜」では第1バイオリンを担当した成田が殆ど曲弾きの体で先輩たち4人を引っ張った。これは盛り上がった。

みなとみらい五重奏団と藤木は来年2月にも同面子で演奏会あり。早速、同日昼夜2公演を通しでチケ購入した。

昼の部は今日と全く同一メンバーだが、夜の部は長原幸太/辻彩奈/川本嘉子/辻本玲/萩原麻未とこちらも期待できる。


♪2022-154/♪神奈川県立音楽堂-09

ランチタイムコンサート Acoustic Jazz Live!!! JazzからMusette, Brazilianまで

2022-10-18 @ミューザ川崎シンフォニーホール


佐瀬悠輔 Quartet
 トランペット:佐瀬悠輔
 エレキ・ギター:小金丸慧
 アコーディオン:青木マサヒロ
 ウッド・ベース:清水昭好

オール・ザ・シングス・ユー・アー
A列車で行こう
枯葉
リベルタンゴ
群衆
 他


このシリーズは年12回。時々、Jazzが混じるのもいい。クラシック風歌謡曲もありだ。
アコースティックとチラシに書いてあったが、そもそもエレキギターが入っているし、その他の楽器も全部電気増幅だった。本当にアコ〜に徹したらミューザでは無理かな。

別世界の人達ばかりなので、名前も顔も知らないPlayerばかり。
ひょっとして斯界では名の通った面子かも。

JazzなのにPfもDrumsも無いので、違和感たっぷり。
演奏もかなり崩して演奏したので、中間の3曲はよく知っている曲だがそれと分かるまで時間がかかった。

まあ、偶にはいいね、の感じ。

♪2022-153/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-40

2022年10月16日日曜日

名曲全集第180回 ノット X 渾身のショスタコーヴィチ!

2022-10-16 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ジョナサン・ノット:指揮
東京交響楽団
安川みく:ソプラノ*

ラヴェル:「鏡」から 道化師の朝の歌(管弦楽版)
ラヴェル:歌曲集「シェエラザード」*
 1アジア、2魔法の笛、3つれない人
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番ハ短調 op. 43


前半のラヴェル2曲は聴いたことがある…どころか道化師の方は何度も。歌曲集「シェエラザード」もミューザで最近聴いている。
でもほとんど印象に残っていない。
ま、今日聴いても面白い音楽ではない。
オケは良い出来だったが、ソプラノの声の線が細くて訴求力不足。

それにしても、ラヴェルとショスタコの組合せって「梅干しと蛸」程遠い気がするが、ノットのセンスにはどうせ付いてゆけないので考えない事に。

そのショスタコ4番、東響では2度目で19年にウルバンスキで聴いている。その時書いた備忘録に「カップリングがモーツァルト:バイオリン協奏曲で意味不明」と記している。
音楽監督殿のアイデアだろう。

因みに、鑑賞記録を残すことを始めた14年以降、東響でショスタコ交響曲を聴いたのは7回で全オケ中最多。
ウルバンスキでは7番も聴いたがこちらの方がずっと良かった記憶が。

ノットでは15番(この時もリゲティの100台メトロノームを聴かされてうんざり。やはり意味不明。)に次いで2度目。

て事で、東響というオケはタコ好きかも。

オケ編成はショスタコーヴィチの交響曲全15曲中最大で、弦編成は22型を作曲者自身が指定しているそうだ。まさかそんな編成は舞台に乗らないだろう。

今日は、昨日のN響と同じ。16-16対抗配置-12-10-8と大編成。
この曲も楽しい音楽ではないけど、多彩な楽器を配して管弦楽の面白さがある。

演奏面では、管に残念数か所あり。一方、バイオリンだけでも32人を擁する大所帯の弦5部がその割には纏まり良く美しかった。

東響も今月から終演時カーテンコールの撮影ができるようになった。


写真OKのせい?か、全弦奏者中マスク着用者は前回までの約9割から5割程度に減ったのは同慶也。

尤もN響でも新日フィルでもマスク着用率は1割程度だけどね。
ノットも今日は入場時を除いてノーマスクだった。

♪2022-152/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-39

2022年10月15日土曜日

NHK交響楽団1965回A定期 10月公演

2022-10-15 @NHKホール


ヘルベルト・ブロムシュテット:指揮
NHK交響楽団

マーラー:交響曲第9番ニ長調


普段は情緒に流されまいと戒めているのだけど、演奏前の会場の盛上りもあって、我ながら情緒過多で聴いたかも。

1年ぶりのブロムシュテット翁、一段と足元おぼつかなく、マロ氏に伴われ、指揮台にも中間段が用意され、椅子も置かれて、結局座ったままの指揮だった。

翁だけとは言わないが、少なくとも翁が指揮をする時はN響の気合が普段とは違う。翁への敬愛と信頼の念が見てとれ、音を出す前から良い緊張感が漲っていた。

個人的にはマーラーは好物ではない。馬の💧みたく無闇に長く、特に9番は断片の変容に終始して構成感に欠け、楽しめるとは言い難い。

それゆえ、空中分解しそうな不安が付き纏う。
なので、オケには個人芸とともに強力な合奏力が要求されるのだろう。
それを、今日のN響はやったみたいだ。何しろ長時間を固唾を飲んで聴き、一瞬も別世界にゆくことがなかった。
とりわけ、終楽章が(そもそも、音楽的に上出来なのだろうが)惹きつけた。


終曲。
祈りのようなブロム翁の長い沈黙。
会場にいる、この音楽を経験したすべての人が、静かに燃え盛った内なる熱を覚ますのにも必要な時間だった。

暫くして大きな拍手が湧き上がったが、個人的には、もう少し時間をかけてほとぼりを覚ましたかったところだが、人さまざまかもしれない。

♪2022-151/♪NHKホール-02

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第380回定期演奏会

2022-10-15 @県民ホール



ダニエル・ライスキン:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

スメタナ:交響詩「わが祖国」から”モルダウ”
チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
ドボルザーク:交響曲第8番ト長調 Op.88



指揮のダニエル・ライスキンは神奈川フィル初登場。と言うより僕は初聴き。

ロシア人。ロシアとチェコの作品を振る。

同じスラブ系言語の国の音楽だから得意としているのだろうが、といって格別の、違和感を覚えるような味付けもなく、むしろ、馴染みどおりに自然で好感。

このところ快進撃の神奈川フィルが今日も良い響きを聴かせた。

曲目が弦をうまく活かしているのかもしれないが、最初から最後まで透明感を維持した。
デッドな響きの県民ホールでこれだけ綺麗な弦のアンサンブルを聴かせるのはなかなかのものだ。

団員も遠来の客を暖かく迎えている風で良い光景。

♪2022-150/♪県民ホール-16

2022年10月14日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#10

2022-10-14 @すみだトリフォニーホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

田部京子:ピアノ**(ラルス・フォークト9/5逝去・代役)
上野星矢:フルート*
山宮るり子:ハープ*

モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲ハ長調 K. 299*
ベートーべン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 op. 58**
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 op. 73



観賞本数を減らしたい、すみだトリフォニーは家から遠い、の理由で、次季は継続しないつもりでいたが、決意が鈍って継続手続きをしてしまった。

しかし、今日の演奏を聴いて継続は正解だったと合点した。
久しぶりの上岡マジックを堪能した2時間半は至福の時。

元々新日フィルは満足度の高いオケだ。最近では佐渡裕、井上道義、デュトワと名演が続いているが、今日も期待以上の出来。

❶フルートとハープのための協奏曲は、フルートに比べハープが音量的に非力な為にバランス悪し。モーツァルトはそもそも室内アンサンブルとして書いたのではないか。オケが弦10型でも大きい…と言うより、そもそも、小ホールで聴く音楽だろう。

そういう問題はあったが、オケは弦が実に美しい。
弦のほかに管がホルン2本とオーボエ2本だけ。管弦溶け合うようなアンサンブルで、生演奏ならではの響き聴く喜び。

❷ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番が本日の絶品。
弦は12型になったが、透明感が見事。
特に第2楽章は弦5部とピアノの掛け合いに終始するが、ここでの弦の5部ユニゾンがゾクゾクする美しさ。

❸ブラームス交響曲第2番では弦14型に。
その結果は功罪半ばで、弦に厚みが出た代わりに高域弦の透明感は少し失われた。
冒頭低域弦に乗って、短い動機が管楽器でやりとりされるが、ここの空中浮遊感はどのオケでもだが危なっかく、今日の新日フィルも例外ではなかった。

しかし、その後は、上岡名人の丹精が細かいところまで行き届いて、新日フィルの合奏力の底力を感じた。

20日程前に聴いたルイージN響のブラームス2番の出来よりずっと上等だった。


♪2022-149/♪すみだトリフォニーホール-07

2022年10月11日火曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 通し狂言「義経千本桜」【Bプロ】三段目

2022-10-11 @国立劇場大劇場


竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
通し狂言  義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
 国立劇場美術係=美術

三段目
下市村椎の木の場
下市村竹藪小金吾討死の場
下市村釣瓶鮓屋(すし屋)の場


いがみの権太⇒菊之助
主馬小金吾武里⇒萬太郎
猪熊大之進⇒菊市郎
若葉の内侍⇒吉太朗
庄屋作兵衛⇒宇十郎
権太女房小せん⇒吉弥
鮓屋弥左衛門⇒権十郎
弥助実ハ三位中将維盛⇒梅枝
弥左衛門娘お里⇒米吉
弥左衛門女房おくら⇒橘太郎
梶原平三景時⇒又五郎 ほか


「義経千本桜」はそもそも義経は小さな脇役に過ぎないし、三段目に至っては義経のヨノの字も出ない。
ここでの主人公はちょいワルの”いがみの権太”という遊び人だ。

全体は所謂時代物だと思うが、この段だけは世話物風味で完全に浮いている。

が、多分一番面白い。

勿論、権太を演ずるのは菊之助。

一幕物として上演されることが多いのは「鮓屋(すし屋・鮨屋とも)」の場。

今回は”通し”と銘打っているので、前段も上演されたが、「椎の木の場」や「小金吾討死の場」は初めて観た。これが置かれることで「すし屋の場」が立体的になる。

物語は、相も変わらず、首実験や忠義の妻子犠牲だが、ドラマの布石が心憎い。
店先にたくさん並んだすし桶に、
権太は掠め取った金を隠す。
彼を勘当している父は小金吾の首を隠す。

その取り違え?がドラマを急転直下の感動に盛り上げる。

尤も、半世紀もすれば、このような時代錯誤の美意識は世間の批判に屈して観られなくなるかも(オペラも同様)。

菊之助は美形すぎてワルは似合わないように思うが、最近では髪結新三も良かったし、案外コワイ役も面白いかも。

♪2022-148/♪国立劇場-10