2018年11月9日金曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第705回東京定期演奏会

2018-11-09 @サントリーホール


アレクサンドル・ラザレフ:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

グラズノフ:交響曲第8番変ホ長調 作品83
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番ニ短調 作品112「1917年」

昨日に続いてサントリー詣で。

コンサートのダブリの為に横浜定期を東京定期に振り替えたので席を選べず、選べるなら絶対に避けたい前方寄りの、かつ、下手寄りが割り当てられてしまった。チケットを無駄にするよりマシだが、できたら、ど真ん中のど真ん中で聴きたかった。

日フィル桂冠指揮者ラザレフがシリーズとして取り上げているグラズノフとショスタコーヴィチ又はプロコフィエフのうちいずれかの作品を演奏するコンサート「ラザレフが刻むロシアの魂」の4回目だった。

グラズノフ交響曲第8番では、席の前方に第1、第2バイオリン群が迫っているので、これら高域弦がけたたましく、明らかに中低域の弦が埋もれてしまった。それに音楽自体が、初聴きのせいもあったか、凡庸な気がして楽しめなかった。

一方、ショスタコ12番では冒頭の低弦の大音量に引き込まれ、その後はバランスもへったくれもない。

ショスタコーヴィチは、ロシア革命の煽りを食って、その芸術が批判にさらされ、一時期は生命の危険もあった。生きてゆく為には操も捨てなければならぬ。

かくして、現在世界中で最も親しまれている交響曲第5番「革命」でスターリンのご機嫌をとって、なんとか音楽家としての人生を全うしようとした。
今日の交響曲第12番も副題が「1917年」と付いているようにロシア「10月革命」を祝賀してその44年後に作曲されたものだそうだ。
この政権に阿(おもね)た大衆受け狙いの原始的な吸引力に自称文化人としてはいささか素直に音楽を楽しめない。

ジダーノフ(ソ連共産党中央委員会書記。50年代を中心に当時のソ連の前衛芸術、とりわけショスタコーヴィチの音楽を反革命として批判した。)を批判するなら、今、我々はこの音楽を批判すべきなのか等考えながら…もひきも切らぬ怒涛の爆音に襲いかかられ体よく飲み込まれてしまったのだけど。

日フィルの底力は受け止めたが。

♪2018-144/♪サントリーホール-12