2018-11-11 @日生劇場
指揮:広上淳一
演出:菅尾友
管弦楽:読売日本交響楽団
合唱:C.ヴィレッジ・シンガーズ
フィオルディリージ:髙橋絵理
ドラベッラ:杉山由紀
フェルランド:村上公太
グリエルモ:岡昭宏
デスピーナ:腰越満美
ドン・アルフォンソ:大沼徹
ほか
モーツァルト作曲 オペラ『コジ・ファン・トゥッテ、あるいは恋人たちの学校』全2幕
(原語[イタリア語]上演・日本語字幕付)
台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ
予定上演時間:約3時間30分
第Ⅰ幕 95分
--休憩20分--
第Ⅱ幕 95分
日生劇場で初めてオペラを鑑賞したのは約40年前のことで、出し物が「コジ・ファン・トゥッテ」だった。友人と一緒だったので、終演後、銀座のライオンでワイン等を飲みながら熱く語り合ったことが、つい、この間のようでもある。
分かり易い筋書きが簡明で美しい音楽に載せて非常に混乱させる物語を紡ぐ。
このオペラ、観る度に話が腑に落ちることを期待するが、落ちた試しはない。
ダ・ポンテとモーツァルトはコメディのつもりで作ったのだろうけど、実に深遠な人間ドラマを含んでいるし、3世紀を経て女性観が様変わりした今、彼らが考えもしなかった問題を提起する。演出家は何とか解きほぐそうと格闘しているが…。
今回の演出は時代を近未来に設定し、女主人公2人をAIロボットに仕立てたが、難しい話を余計に混乱させただけに終わったように思う。
仲の良い男たちA(フェランド)とB(グリエルモ)にはそれぞれ恋人がいる。A’(ドラベッラ)とB’(フィオルディリージ)で、A’とB’は姉妹である。2組の男女はそれぞれ愛し合っているが、老哲学者(アルフォンソ)にそそのかされ、女の気持なんて頼りないものだ、試しに変装して他人になりすまして、口説いてみろと言われ、恋人の愛情に絶対の自信のあるA、Bは老哲学者と自分たちの恋人の心変わりの有無で賭けをすることになった。その際、Aが口説くのはB’を、Bが口説くのはA’という設定なのが、皮肉で残酷だ。
その先、どう話が転がってゆくか…。
老哲学者曰く「Cosi fan tutte(女性は)みんなこうしたものだ。」ということになるのだが、これはとても辛辣で当人たちには色んな意味で笑い事ではないのだ。
それを(僕は台本が悪いと思うが)十分な説明もなく最後は力技でみんな笑って終わりにしてしまうのだが、僕にはブラック・ジョークに思えてしまう。
広上淳一指揮。ピットに入ったのは読響。モーツァルト作品らしく中規模編成だったようだ。それだけに軽快で、広上淳一はいつものように、ピットの中でも踊っていた。
歌唱力は揃っていなかったが、水準は満たして満足。
狭い舞台だが手作り感のある装置に工夫をこらしていて好感。
♪2018-145/♪日生劇場-03