2018年11月30日金曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第345回

2018-11-30 @みなとみらいホール


パスカル・ヴェロ:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

大島亮:ビオラ(神奈川フィル首席奏者)*

イベール:交響組曲「寄港地」3つの交響的絵画
ハイドン:交響曲第44番ホ短調 Hob.I:44「悲しみ」
ベルリオーズ:「イタリアのハロルド」〜独奏ビオラ付き交響曲 作品16*

パスカル・ヴェロは仙台フィルの常任指揮者らしいが、仙台フィルを含め、神奈川フィル以外のオケと組んだ演奏は聴いたことがない。
神奈川フィルとの演奏を聴くのは今回で3回目。
過去2回は全作品がフランス音楽で、フランス人であるパスカル・ヴェロにとっては得意分野だったからかも知れないが、いずれも満足度が高い演奏会だった。
それで、パスカル・ヴェロにハズレ無し、と何となく思っていたのだが、今回もフランスもの2曲のほかに初めてハイドンが入った。果たして、「〜ハズレ無し」は的中するのか。

今日の3曲はナマで聴くのは何れも初めて。
先ずはイベールの「寄港地」。これがとても良い。弦がとてもきれいだ。音楽も好みのタイプ。良い出だし。

問題のハイドン。
弦の編成はぐっと小さくなって、弦5部で36人?これにオーボエ2、ホルン2、ファゴット1が加わった、オーケストラ定期としては珍しい小規模編成だ。これでもハイドンが指揮した当時の宮廷楽団よりは大きな編成だったろう。

その編成が功を奏したか、神奈川フィルとしては今年最高かと思わせる<管弦>楽の魅力と合奏力の見事さに刮目した。気持ち良く透明感があって爽やかなアンサンブルだ。

「イタリアのハロルド」ではふたたび大編成に戻って華やかな音楽絵巻を繰り広げてくれた。
この<交響曲>は、事実上ビオラの<協奏曲>だ。この形式自体が珍しい。
独奏ビオラの大島氏は神奈川フィルのビオラ首席だ。いつも縁の下の力持ちという役割に、今日は、晴れがましいライトが当たったが、オケのメンバーも仲間を祝おうというような気持ちで演奏しているのがよく分かって微笑ましいというか、見ている方も喜ばしい気持ちになった。


ところで、終楽章の終盤、チェロが1人上手袖に消えた。弦が切れたのだろうか...と思っていたら、今度はバイオリンから2人が下手に消えた。ええっ!時を同じくして3人の弦が切れるなんてあるのだろうか、と不思議に思っていたが、しばらくして舞台に戻り演奏に加わったようだが、間もなく終曲のクライマックスを迎えた。

合点がゆかなかったので終演後に神奈川フィルの人に聞いたら、あれは3人が舞台裏で、舞台上の独奏ビオラと弦楽四重奏を弾いていたというのでびっくりした。
あゝ、僕は何を聴いていたのだろう。ベルリオーズが工夫をした肝心の仕掛けを馬耳東風で聴き流してしまったのだ。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言われそう。

それにしても、バンダ(舞台外で演奏する別動隊)といえば、管楽器と決まっている、と思い込んでいたが、弦楽器のバンダもあるとは驚いた。次に「〜ハロルド」を聴く時は必ず注意しよう。でも、この曲滅多に演奏されないからなあ。

♪2018-158/♪みなとみらいホール-36