2016年4月10日日曜日

小ホール・オペラシリーズ 気軽にオペレッタ「メリー・ウィドウ」(全3幕・日本語上演)

2016-04-10 @みなとみらいホール


田島亘祥:指揮
今井伸昭:演出・台本
朴令鈴:ピアノ
竹田容子:振付

ハンナ:菊地美奈S
ダニロ:池内響Br
ツェータ男爵:泉良平Br
ヴァランシエンヌ:髙橋維S
カミーユ:大川信之T
クロモウ:鶴川勝也Br
ニェーグシュ:志村文彦Bs
カスカーダ:新津耕平T
サンブリオッシュ:野村光洋Br
オルガ:堀万里絵Ms
ボグダノヴィッチ:畠山茂Bs
シルヴィアーヌ:二見麻衣子S
プラシコヴィア:福間章子Ms
プリチッチ:須山智文Br
ダンサー:宮沢磨由、宮本楓

レハール作曲オペレッタ「メリー・ウィドウ」(全3幕・日本語上演)


毎年春恒例の小ホールオペラ。
今年はオペレッタ「メリー・ウィドウ」だった。
「メリー・ウィドウ・ワルツ」がダントツに有名だけど、オペレッタ全体は初見だなあ、と思って観ていたが、音楽だけではなく物語自体に既視感があったので帰宅後手持ちビデオを調べたらウィーン・フォルクスオパーの公演録画を持っていたよ。
こんなことなら、ビデオを観て予習しておけば良かった。

日本語公演だし、オペラッタなのでアリアのつなぎはリアルなセリフだし、初見でも十分だと思っていたのでビデオの有無を調べようともしなかったな。

ところが、折角の日本語上演も残響のせいもあってやや聴き取りにくかった。
歌手たちの声量の豊かさには驚いたが、この小ホールは弦楽などの室内楽にはとても良い響きを提供するけど、声楽には残響が強すぎる(言葉が不明瞭になりがち)のではないか。

とはいえ、舞台装置は簡素ながら衣装、照明は小ホールオペラにしてはこれまでにない凝りようで見応えがあったし、客席もフルに使った演出が素晴らしく、舞台と満席の客席が一体感を持って盛り上がッた。

まさか、原曲のスコアに書いてある訳無いだろうが、途中の挿入歌でセリフ代わりにオッフェンバックの「天国と地獄」やシャンソンの「枯れ葉」が登場したのは遊び心なのだろうな。

愛とお金と意地の三すくみで翻弄される男と女。よくある話だけど、面白い。


♪2016-42/♪みなとみらいホール-12

2016年4月9日土曜日

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2016-ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽

2016-04-09 @東京文化会館


ノア・ベンディックス=バルグリー:バイオリン:
オラフ・マニンガー:チェロ
オハッド・ベン=アリ:ピアノ:

メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 op.49
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 《偉大な芸術家の思い出に》 op.50


室内楽の編成でピアノを含むものはピアノ三重奏からピアノ六重奏まである(ピアノ七重奏もあるかもしれないけど、そうなれば単に七重奏曲というのではないかな?)が、中ではピアノ三重奏曲がダントツに多く作曲されているようだ。
ピアノ抜きでは弦楽四重奏曲が圧倒的に多いのと同じで、各パートの役割が安定して作曲に制約が少ないのではないか。
数が多いだけに名曲も多い。

古典派の作品では短調のものが極めて少ない。ハイドンは真正45曲中短調は8曲、モーツァルトは6曲中ゼロ、ベートーベンは7曲中1曲のみ。

ところが、ロマン派に入ると俄然短調の作品が多くなり、いずれも泣かせる要素が強く、そのメランコリックな情緒性が心持ちを酔わせてくれる。
そういう面では、メンデルスゾーンの第1番とチャイコの作品は双璧をなすだろう。

個人的にも大好きな2曲で、これにあとショパンとベートーベンの第3番ハ短調が加わればもう泣かせの四天王だ(もっとも、すべてのピアノトリオ(を聴いた訳ではないけど)から秀作を選ぶならベートーベンの第7番「大公」は絶対に外せない。)。

そんな訳で、大いなる期待を持って臨んだ。

ベルリン・フィルの第1コンサートマスターと首席チェリストに彼らとコンビを組むことが多いピアニストというメンバーだが、ベルリン・フィルだからといって、各人の技量が名の通った日本人ソロ演奏家と格段の違いがあるとは思っていなかった。

しかし、冒頭のチェロの音を聴いて、これは!と思った。
つい先日も同じ文化会館小ホールでピアノ四重奏などを聴いたばかりだったが、音色も音量も段違いに豊かだ。
それはチェロだけではなく、バイオリンにしても、先日と同じ楽器だと思われるピアノにしても同様で、かくも違いが生ずるのはどうしてだろう。多少は聴いている席の違いもあるだろうけど、それ以上に音楽の形が違うように思った。

これは今まで聴いたことのない異次元の巧さだ。
豊かな音色と音量が明確な輪郭を描き、2曲に通ずる「悲痛」は、そのまま「美に通ずる」事を実証した感がある。

満席の観客の誰もが心打たれたのだろう。小ホールのコンサートにしては珍しく館内大歓声でカーテンコールは照明がつくまで繰り返された。


ピアノ三重奏鑑賞上の間違いなく一つの基準となった演奏だったが、これはむしろ不幸なことかもしれない。
このような演奏に再び出会えることは極めて少ないと思えるからだ。

♪2016-41/♪東京文化会館-05

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第318回

2016-04-09 @みなとみらいホール


川瀬賢太郎:指揮
田村響&佐藤卓史:ピアノ
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

コダーイ:ガランタ舞曲
プーランク:2台のピアノのための協奏曲ニ短調 FP.61
ベルリオーズ:幻想交響曲Op.14

コダーイとプーランクの作品はいずれも初聴きだったが、「ガランタ舞曲」は現在はスロバキア(その前はチェコスロバキア。その前はオーストリア・ハンガリー帝国)に属する「ガランタ」という地方の民謡(実質はロマの音楽)を素材にしているだけに、大げさな哀愁に満ちた、情緒溢れる、まさしく「ロマ」ンチックな音楽で、初聴きでもこれはほとんど抵抗感なく楽しめる。

プーランクの方も民謡やモーツァルトのピアノ協奏曲(第21番の第2楽章)、自身の過去作のフレーズなどが組み込まれた、作曲家の遊びのような作品で、これも気楽に聴ける作品だ。
楽器の編成(パート毎の人数)と配置が楽譜に指定されているそうだ。と言っても特に変わったところもなかったが。

いずれも賑やかな音楽だ。

その後、本日のメインイベント。
大編成に衣替えした大管弦楽団が前二者に倍するけたたましきベルリオーズの幻想交響曲を渾身の力で演奏。何しろ、ティンパニーも大太鼓も2セットというのがすごいね。
大いなるカタルシスを得て最近の鬱屈が一時的にせよ晴れた。

♪2016-040/♪みなとみらいホール-11

2016年4月7日木曜日

東京都交響楽団第804回 定期演奏会Bシリーズ

2016-04-07 @サントリーホール


フランソワ=グザヴィエ・ロト:指揮
東京都交響楽団

シューベルト(ウェーベルン編曲):ドイツ舞曲 D820
R.シュトラウス:メタモルフォーゼン~23の独奏弦楽器のための習作
ベートーベン:交響曲第3番 変ホ長調 op.55《英雄》

フランソワ=グザヴィエ・ロトという指揮者。この舌を噛むような名前に、だからこそだろうけど、聞き覚え、見覚えがあるのだけど、過去の記録を手繰ってみてもどうやら初めてらしい。

放送で聴いたのかなと思って録画ディスクを調べたら、2014年のN響の「第九」を振っていた。年末のN響の「第九」はほぼ毎年聴いているからそれで、頭の片隅に「グザヴィエ・ロト」という変わった名前がインプットされていたらしい。

この人、一つのコンサートで古楽器とモダン楽器を使い分けたプログラムを演奏するなど、かなり革新的、意欲的な取り組みをしているようだ。

そういえば、本日のメインディッシュ、ベートーベンの「英雄」の手綱さばきは、モダン楽器を使いながら、ベートーベン時代ならこうかもといった感じの演奏だった。
つまり、オケの規模はこじんまりとコンバス4本、チェロ6本、バイオリン&ビオラは5プルトずつの編成だったような気がする。

シンフォニックな響に欠ける割に、各パートが明確に聴こえてくるのがこういうピリオド風(その時代風)な演奏の面白さだ。
そして、ビブラートを控えめにして、テンポは速め、というのもまさにピリオド風味の演奏スタイルだ。

このスタイルは、前に聴いたロジャー・ノリントンやジャナンドレア・ノセダ(いずれもN響)、鈴木秀美(神奈川フィル)らのベートーベン解釈とやや類似性があるのではないか。
パーヴォ・ヤルヴィもこの仲間に入れても良いかもしれない。少なくともヤルヴィの年末のN響「第九」ではそういうアプローチが新鮮だった。
疾走するベートーベン、とまでは言えなくとも、かなりテンポの良いベートーベンだった。

さて、今日のプログラムは相当凝った仕掛けが施されていた。

まず、シューベルトの「ドイツ舞曲」D820は、6曲の舞曲からなるピアノ曲だ(ほかにもシューベルトは12のドイツ舞曲という作品集D790も作っている。)。これを12音技法の確立に寄与したウェーベルンが木管と弦楽のアンサンブルに編曲したものだ。
原曲の方も今回のコンサートの予習として何度か聴いたが、ウェーベルンの編曲したものはCDの手持ちにないし、過去にも聴いたことがなかった。ウェーベルンが編曲したのだから、相当モダンな、調性の怪しい作品になっているのではないかと思ったが、ウェーベルンはそこまでは編曲しなかったようで、19世紀前半の音楽ぽい出来上がりだった。
ただし、原曲の6曲をウェーベルンは並べ替え繰り返し、計10曲の作品に「変容」させていることで、単なるオーケストレーションには終わっていない。

R・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」は編曲作品ではなく、シュトラウスのオリジナルだが、バイオリン10、ビオラ5、チェロ5、コンバス3という小規模弦楽合奏で、それぞれのパートは、通常のオーケストラ曲と異なって、かなり各人が独奏的な動きをするところが特徴か。
そして、タイトルが表す「変容」は通常の冒頭提示される主題が繰り返し変奏されるという形ではなく、最初は音楽のかけらがばらまかれ、やがて形を成し、最終部に至って、ベートーベンの交響曲第3番「英雄」の第2楽章の有名な主題が浮かび上がるという凝った仕掛けだ。

「変容」をテーマに構成されたプログラムが「英雄」の葬送行進曲に完結して、後半、いよいよ本物の「英雄」が登場するなんて、よく考えているね。


♪2016-039/♪サントリーホール-03

2016年4月6日水曜日

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2016-若き名手たちによる室内楽の極(きわみ) ~ベートーベン、シューベルト、ブラームス

2016-04-06 @東京文化会館


バイオリン:長原幸太
ビオラ:鈴木康浩
チェロ:上森祥平
ピアノ:田村響

シューベルト:弦楽三重奏曲 第1番 変ロ長調 D.471
ベートーべン:弦楽三重奏曲 第2番 ト長調 op.9-1
ブラームス:ピアノ四重奏曲 第2番 イ長調 op.26
----------------
アンコール
ブラームス:ピアノ四重奏曲 第3番 ハ短調 op.60から第3楽章



読響コンマス他によるシューベルト、ベートーベン、ブラームスの弦楽三重奏&ピアノ四重奏という独墺古典の精華。

シューベルトの作品は初聴きだったが、第1楽章しか完成していない未完成のものだ。
まあ、シューベルトらしい歌心が奔放に繰り出されるといった感じだが、やはり、散漫な感じはする。
「弦楽三重奏曲 第1番」という作品形式の標題ではなく、「断章」とかにしておけばハナからそういう心構えで聴くからもっと好感できたかもしれないのに、と思った。

さて、シューベルトの後でベートーベンを聴くとさすがに見事な「完成品」だ。
弦楽三重奏曲は、楽聖ベートーベンの作品でさえピアノ三重奏曲や弦楽四重奏曲の陰に隠れてあまり有名な作品がない(全4曲)ので、個人的には聴く機会が少ない⇒馴染めない⇒ますます聴く機会が少なくなるという負の連鎖をたどっている。

しかし、今回、ナマで聴いてみると、弦楽三重奏は各声部の動きがこの上なくはっきりしている点が聴いていて面白いな、と思った。

最後にピアノが加わったブラームスのピアノ四重奏曲が一段と素晴らしかった。それまでの単色彩から一挙にカラフルな世界が拡がり、ブラームスらしい情緒が、放逸と抑制の危ういバランスを保ちながら奔流する。これはベートーベンでは味わえない人間・ブラームスの魅力だ。

かくして、今日の各作品は、作曲家各人の個性・力量が演奏順に色彩を伴って明確に現れてきたところが興味深いところであった。


♪2016-38/♪東京文化会館-04

2016年4月3日日曜日

国立演芸場4月上席

2016-04-03 @国立演芸場

落語 林家はな平⇒牛ほめ
落語 春風亭百栄⇒寿司屋水滸伝
漫才 青空一風・千風⇒
落語 林家三平⇒紀州
落語 鈴々舎馬桜⇒厩火事
―仲入り―
落語 林家種平⇒たいこ腹
落語 柳家はん治⇒千早振る
余談漫談 林家ペー⇒

落語 林家正蔵⇒中村仲蔵

林家正蔵。バラエティ専門のタレント「こぶ平」のイメージが強く、落語もまともに聴いたことはなかったが、いやはやうまい。既に五十路を過ぎているのだし大名跡を継いではや10年。当然でもあるけど。
弟の三平(前・一平)もなかなか上手だったがまだ若々しい。
兄妹で何歳違うのか知らないけど、兄の正蔵は貫禄があって、まるで親子のようだったな。

林家ペーがこの一門でどういう位置にいるのか知らないけど、たしかに話しぶりは慣れたものだけど、お客さんのあしらいがイマイチ。

その後のトリを務めた正蔵が、着座するや否や、「先ほどのペーの話は無かったことにしてください。」と言って笑いを取ったが、半ば本心だろうと思ったよ。













♪2016-037/♪国立演芸場-02

2016年4月2日土曜日

ミューザ川崎ホリデーアフタヌーンコンサート2016前期 「アルペジオーネ」有希マヌエラ・ヤンケ&エマヌエーレ・セグレデュオ・リサイタル

2016-04-02 @ミューザ川崎シンフォニーホール


有希マヌエラ・ヤンケ:バイオリン:
エマヌエーレ・セグレ:ギター

ジュリアーニ:協奏的大二重奏曲 作品85
シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ D.821
ピアソラ:タンゴの歴史(全4曲)
ヴィラ=ロボス:
5つの前奏曲から第1番
12の練習曲から第11番
バルトーク:ルーマニア民族舞曲(全6曲)
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アンコール
イベール:間奏曲
パガニーニ:カンタービレ

有希マヌエラ・ヤンケ(バイオリン)とエマヌエーレ・セグレ(ギター)のコンサートを昨春、NHKTVのクラシック倶楽部で聴いて、なかなか楽しめたのは、2人が呼吸を合わせてひとつの音楽を形作ろうとしている姿勢が分かりやすく伝わってきたのと、両者の控えめな人柄に好感を持ったからかな。

今回のプログラムは放送されたものと基本的に同じで、放送時は放送時間の制約から割愛されたのか、そもそも演奏されなかったのか分からないが、今回の公演はそれに倍する時間をかけて、アルペジオーネ・ソナタやヴィラ=ロボスの作品を含むイタリアの古典派からドイツ・ロマン派、東欧近代、南米現代まで盛りだくさんの音楽時空の旅。

どれも精緻な音楽で集中して聴くことができたが、残念に思うのはバランスに難。
放送ではミキサーで調整をしているのではないかと思うが、生演奏では、音の響きが良いミューザでも2階中段最前列(オーケストラを聴くにはベストポジションだと思っているが。)ではやはりギターの音量がやや寂しい。
この編成では小ホールで聴きたかったよ。


♪2016-036/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-10