2023年8月9日水曜日

フェスタサマーミューザKAWASAKI2023 日本フィルハーモニー交響楽団 カーチュン・ウォンの描く『展覧会の絵』

2023-08-09 @ミューザ川崎シンフォニーホール



カーチュン・ウォン:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
須川展也:サクソフォン*

ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
菅野祐悟:サクソフォン協奏曲「Mystic Forest」*
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲「展覧会の絵」
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真島俊夫:シーガルから*
エルガー:「エニグマ」変奏曲から「ニムロッド」



「カーチュン・ウォンにハズレなし」とこれまで何度書いたろう。今日も上書きしておこう。
尤も、2曲目の菅野祐悟SAX協はダメ。3月にも日フィル・須川コンビで聴いたが、その時も楽しめず、今回も面白いとは思えなかった。

まず、「運命の力」。
8分足らずの小品だが。最弱音から最強音までの細部にわたって、「力」が入っていた。ウォンの彫琢の跡だ。

その発展形が「展覧会の絵」で、ここでは各曲の終わり毎、いや、時にはフレーズの終わり毎のそれぞれの結び目に落款が押してあるようだった。

その決め方にこだわり、どんな些細なフレーズもおろそかにせず、ウォン流を貫こうとしているふうだ。

そんなふうに聴き始めると、いつもの「展覧会の絵」は聴き馴染んだ心地良い娯楽作品ではなくなって、「カーチュン・ウォンの習作集」みたいになってくる。
敢えて「習作」というのは、けっして完成形ではないから。
オケも「カーチュン・ウォンの絵」をまだ自分のものとはしていない様子だった。

でも、あと2-3回演奏すれば「カーチュン・ウォンの絵」になるのだろう。
新鮮で発見に満ちた「絵」を再び聴いてワクワクしてみたい。

♪2023-142/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-21