2021年7月30日金曜日

横浜バロック室内合奏団 30周年記念「室内楽の夕べ」

2021-07-30 @県民ホール



横浜バロック室内合奏団
Vn小笠原伸子/根来由実
Va小森佳奈/眞中望美
Vc間瀬利雄/野村杏奈
Pf大瀧郁彦

モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番ハ長調K515
ブラームス:弦楽六重奏曲第1番変ロ長調作品18
シューマン:ピアノ五重奏曲変ホ長調作品44
----------------
シューマン:トロイメライ(室内楽版)

今日は横浜バロック室内合奏団30周年記念「室内楽の夕べ」だったが、いつもの定期演奏会だと思い込んでいたので、会場を間違えて無駄に時間を費やし、ようやく本来の会場である県民ホールに到着したら、プログラム2曲目の、一番聴きたかったブラームス弦楽6重奏曲1番の第2楽章が始まっていた😰。


ホワイエのモニターを視聴しながら終曲を待ったが、この2楽章って侘しい主題を繰り返す変奏曲なので今日の失敗が一層身に染みたよ。


休憩後はシューマンのピアノ5重奏曲。

これも大好きな曲で、ここからは本来の席で聴けてホンに良かった。


シューマンにとっては幸福な時期の作品らしく、全体にリズミカルで、どの楽章にも親しみやすい旋律が次々と溢れ出てくる。

歴史的名演!とは言えないまでも、十分心は満たされて気分良く帰路についた。


♪2021-077/♪県民ホール-08

2021年7月28日水曜日

フェスタサマーミューザ2021 N響室内合奏団 ≪新たな時代に蘇るウィーンの香り≫

 2021-07-28 @ミューザ川崎シンフォニーホール


N響室内合奏団
指揮&バイオリン:篠崎史紀*
ソプラノ:盛田麻央
ピアノ:入江一雄*
ハーモニウム:山口綾規*
フルート:甲斐雅之
オーボエ:池田昭子
クラリネット:松本健司
ファゴット:水谷上総
ホルン:今井仁志
打楽器:植松透
打楽器:竹島悟史
バイオリン:白井篤*
ビオラ:中村翔太郎*
チェロ:市寛也*
コントラバス:西山真二*

J.シュトラウスⅡ(シェーンベルク編):南国のバラ*
J.シュトラウスⅡ(ウェーベルン編):喜歌劇「ジプシー男爵」から 宝石のワルツ*
J.シュトラウスⅡ(ベルク編):酒、女、歌*
マーラー(K.ジモン編):交響曲 第4番(室内楽版)


前半は弦5部+鍵盤2の計7人によるウィンナワルツ3曲。

これらは仲間内で演奏自体を楽しむ…場合によってはそれを他の仲間も聴いて楽しむ。そんなふうなサロン音楽を2千人のホールで聴くのは違和感が拭えず。自分の立ち位置が決まらなくてウロウロしていた感じ。


後半は前半の7人に管楽器5+打楽器2+ソプラノが加わって総勢15人によるマーラー交響曲第4番。

室内楽版のマーラーやブルックナーは、機会は少ないけど何度か聴いている。

楽器が少ないから音楽の骨組みも見え易い。それにみんな腕自慢で良い演奏なのだ。でも、こういう音楽は小ホールか、せめて1階前方で聴きたかった。こちらも音楽との距離感が難しかった。


♪2021-076/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-018

2021年7月27日火曜日

フェスタサマーミューザ2021 読売日本交響楽団 ≪これはサプライズだ!鈴木雅明の熱い夜!≫

2021-07-27 @ミューザ川崎シンフォニーホール



鈴木雅明:指揮
読売日本交響楽団

ボロディン:交響曲第2番 ロ短調
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 作品27


昨日の都響も良かったけど、今日の読響のアンサンブルの厚さは一段と強力。

鈴木氏がBCJを振る時とは身体の動きが全然異なるのは音楽の違いもあるけど、本人自身がロマン派の音楽をとても楽しんでいるように思う。


1曲目は、記録を手繰って数えてみると4年に1回の割合でしか聴いたことがないボロディンの交響曲第2番。


バロックの対極とも言える俗っぽく泥臭く大袈裟で映画音楽のようだ。

しかし、多彩なオーケストレーションで聴いていて面白い。

読響の巧さを楽しんだ。


問題は2曲目のラフマニノフ交響曲第2番。

先月東フィルで聴いたのが仲々良かった。

今日の読響も中盤迄はとても良い感じだったけど、あの美しい第3楽章辺りから徐々にモヤモヤ感が募ってきた。


この長大曲は、相当複雑らしい。

第1楽章に第3楽章の切れ端を感ずるし、第2楽章には「怒りの日」が引用され、終楽章は前3楽章を引用してある。つまりよく計算された有機的構造を持つようだ(聴いていてそれと分かる程立派な耳は持っていないけど。)。


それだけに、縦横揃えて透明感を維持するのがどんなオケでも難しいのかもしれない。

加えてボロディン交響曲第2番との組合せがキツかったかな。好物とはいえ天ぷらの後にフライを出されたようなものだ。


♪2021-075/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-017

2021年7月26日月曜日

フェスタサマーミューザ2021 東京都交響楽団 ≪アジアの新星と都響がミューザで出会う≫

2021-07-26 @ミューザ川崎シンフォニーホール



カーチュン・ウォン:指揮
東京都交響楽団
岡本侑也:チェロ*

リスト:交響詩「前奏曲(レ・プレリュード)」
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲*
―休憩〔20分〕―
ドボルザーク:交響曲 第9番「新世界から」
-----アンコール-----
カザルス:鳥の歌*
ドボルザーク:スラブ舞曲作品46 第8番


今年はオーケストラ・セット券ではなく、平日昼/夜8公演のセット券と1回券を2公演買った。

僕にとって今日が FestaSummerMuza2021 の第1日目。


カーチュン・ウォンは過去2回聴いていずれも好演だったので、今回も楽しみだった。果たして、第1曲冒頭のアンサンブルの見事なこと!


大いに気を良くして2曲目。

岡本侑也のチェロでロココ風〜がこれまたすごい。

弦の編成は1-3曲が14型だが、ロココだけは10-8-6-5-3と都響には珍しくコンパクトで、これがVcを良く引き立てた。

岡本くんは初聴きだが見事に美しい音色だ。

オケに埋もれることなく悠々たる弾きっぷり。

アンコールの鳥の歌も上等!


ドボルザーク交響曲第9番「新世界から」もアンサンブルが美しい。

これがあの都響か?と思う程美しい。

一つにはカーチュン・ウォンの彫琢が行き届いていたのだろうが、ミューザの音響の良さも大いに奏功しているはず。


指揮振りは正統派だが、終楽章に至って、ちょっと独自な美学を発揮した。好みじゃないけど悪くはなかった。


♪2021-074/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-016


2021年7月18日日曜日

東京交響楽団川崎定期演奏会 第81回

 2021-06-27 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ジョナサン・ノット:指揮
東京交響楽団

チェロ:伊藤文嗣*
ヴィオラ:青木篤子*

R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」 op.35*
シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82

遠い初台や池袋に遅刻した事は一度もないのに、近くのミューザで遅刻して1曲目のドン・キホーテは間に合わず、聴けなかった。これが今日のメインディッシュなのに。


それが終わった後のカーテンコールが非常に長かったので、なかなか休憩が始まらない。つまり僕は入場できず、オーディトリアムの二重扉の外で、待たされることに。

久しぶりのノット登場(個人的には1年8月ぶり)と独奏2人(東響)だったので拍手も長く続いたのだろう。


後半はシベリウスの交響曲第5番。

冒頭1分強の、管のみのアンサンブルの纏りが悪かった。

この部分はどこのオケでも難しいかも…だが、おかげで気分が乗れなかった。初日黒星の力士がその後も連日負け続けるようなものだ。


オケも前半でエネルギーを使い果たしたのではないか?


あれやこれやで久々に聴く弦16型だったが、大編成の妙味は感じられず。


また、マスク奏者の多いこと。

驚くべきは指揮者までマスクとは初体験。

東フィルや読響は全員マスクなしなのに。


♪2021-073/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-15

2021年7月13日火曜日

ジョルジュ・ビゼー/新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室 2021 「カルメン」全3幕

 2021-07-13 @新国立劇場


ジョルジュ・ビゼー:カルメン<新制作>

全3幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間10分
第Ⅰ・Ⅱ幕95分
   休憩30分
第Ⅲ幕  65分

指揮:沼尻竜典
演出:アレックス・オリエ
美術:アルフォンス・フローレス
衣裳:リュック・カステーイス
照明:マルコ・フィリベック

合唱:新国立劇場合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブル
児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【カルメン】山下牧子
【ドン・ホセ】村上公太
【エスカミーリョ】須藤慎吾
【ミカエラ】石橋栄実
【スニガ】大塚博章
【モラレス】星野淳
【ダンカイロ】成田博之
【レメンダード】升島唯博
【フラスキータ】平井香織
【メルセデス】但馬由香



新国立劇場の高校生のためのオペラ観賞教室は、空席があれば、オトナも当日券を買って入場できる。

今日は、本来はミューザでランチタイムコンサートの日だったが、ふと、出かける前に、WEBで当日券の状況を見たら、1階の19列中央が空いていたので即GET!


観賞教室は手数料込み4730円!

歌手等が異なるとはいえ本公演の1/5だ(同じ1階席=S席の場合)。

こんな後方席で(1週間前に行った本公演は8列の中央。)楽しめるか不安もあったが、歌もオケも問題なし。歌手の顔が小さく表情を読み取るのは難しいが、Nikonの7倍のモノキュラーが役に立った。


本公演との違いは、指揮は大野和士から沼尻竜典に代わり、歌手も全員異なる。とは言え、山下牧子、村上公太、須藤慎吾、石橋栄実、平井香織等は新国立を初めあちこちの舞台で活躍している一流の歌手達だ。


全体として本公演と比べても遜色のない出来栄えだった。


中でも、一番感心したのはやはりミカエラ(石橋)だ。


これはもう役得というものだな。カーテンコールでも彼女への拍手が一番大きかった。


問題の演出は、基本は同じ。

無駄な部分が整理されて、今回の方が観易かった。

ただ、無理な設定は変わっていないので、プログラムの解説では人物紹介と粗筋紹介では矛盾も生じている。

場所の説明は明確にセビリアと書いてある(Aオリエの設定は東京である。無理だっちゅうの!なんで東京で闘牛なんかできるんだ。)。


頼まれた人も、筋の通った解説など書きようもない。

日本でロック歌手だと言ってみても、歌詞(字幕)まで変える訳ではないから、どうしても辻褄が合わなくなってくる。


ホンに人騒がせな演出家だ。振り回された関係者が苦労して尻拭いをしている。


と文句を並べたが、ビゼーの音楽は素晴らしいし、今日の歌手達の良い仕事ぶりは高校生の胸を打ったと思う。

♪2021-072/♪新国立劇場-06

2021年7月9日金曜日

新日本フィル:#40ルビー<アフタヌーン コンサート・シリーズ>

2021-07-09 @すみだトリフォニーホール






鈴木雅明:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

ベートーベン:交響曲第4番変ロ長調 op. 60
ベートーベン:交響曲第3番変ホ長調 op. 55 「英雄」
-------------------
ベートーベン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」作品43から”終曲”


前々回が鈴木秀美:指揮による交響曲第5番ほか全ベトプロ。

今回はその兄、鈴木雅明による交響曲4番と3番。


これで新日フィルの今季を通じた7回にわたるベートーベン全交響曲が完結した。尤も僕は2番だけ聴いていないけど。


鈴木雅明は、最近はバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)だけでなく、N響や他のオケとの共演も聴く機会が増えたが、いつもえらく楽しそうに振っている。


バロックより古典派、古典派よりロマン派の方が、本当は性に合っているのではないかと、背中を見ていると思ってしまう。


2曲とも重くならない調子の良いテンポで、特に新奇な色付けは感じず、4番はあっさりと感じて終わったが、3番は冒頭2小節の気合の入った強奏の美しさで瞬時に惹き込まれた。


2曲とも、オケがいつになく?きれいに響いて見直した。

ホルン首席の日高氏は客員首席から正式首席になったようで、こちらはいつものように見事な嘶きぶりだった。


アンコールが洒落ていて、交響曲第3番4楽章の主題の元となったバレエ音楽「プロメテウスの創造物」から”終曲”が演奏された。


余談だが、完全に記録を残している2014年以降の7年半で聴いたベートーベンの交響曲を数えてみたら計124曲(回)で、断トツの9番に次いで5-3番、6-7番、8-4-2番、1番の順だった。


定期以外で聴くことが多い9番以外は、ほとんど定期の押し着せプログラムなので、この順番はオケが演奏会に取り上げる頻度を表している。


♪2021-071/♪すみだトリフォニーホール-04

2021年7月7日水曜日

室内楽の世界 レジェンドを迎えて

2021-07-07@フィリアホール


原田幸一郎/松本紘佳:バイオリン
長谷川弥生:ビオラ
ドミトリー・フェイギン:チェロ
コハーン・イシュトヴァーン:クラリネット*

モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番ニ短調 K.421
ドボルザーク:弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 Op.96 「アメリカ」
ブラームス:クラリネット五重奏曲ロ短調 Op.115*


フィリアホールの主催公演ではないので、案内も来ず、こういう会を定期的にやっているとは知らなかった。

どうも、今日の為に編成したSQのようだ。

もっと宣伝をすればいいのに、大入りとは言えず、勿体ない事だった。


しかし、中身は濃い!

美味しいご馳走ばかりで楽しかった!


四重奏2曲は第一バイオリンを2人が交代した。モーツァルトは御大・原田幸一郎(ん十年振りに聴いた?)、ドボルザークは若手の俊英・松本紘佳。


続けて聴いてみると、弦楽四重奏における演奏家の個性を超えた第一バイオリンの役割が確かにあるなと感じた次第。


3曲とも大好物だが、ブラームスのクラリネット五重奏曲は、生はたぶん初聴きではなかったか。CDではなかなか気付けない精緻な作りを実感した。


終曲の拍手途切れが残念。なんで、ああなったのだろう?


♪2021-070/♪フィリアホール-02

2021年7月6日火曜日

ジョルジュ・ビゼー「カルメン」全3幕

 2021-07-06 @新国立劇場


ジョルジュ・ビゼー:カルメン<新制作>
全3幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間10分
第Ⅰ・Ⅱ幕95分
   休憩30分
第Ⅲ幕  65分

指揮:大野和士
演出:アレックス・オリエ
美術:アルフォンス・フローレス
衣裳:リュック・カステーイス
照明:マルコ・フィリベック

合唱:新国立劇場合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブル
児童合唱:TOKYO FM少年合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【カルメン】ステファニー・ドゥストラック
【ドン・ホセ】村上敏明
【エスカミーリョ】アレクサンドル・ドゥハメル
【ミカエラ】砂川涼子
【スニガ】妻屋秀和
【モラレス】吉川健一
【ダンカイロ】町英和
【レメンダード】糸賀修平
【フラスキータ】森谷真理
【メルセデス】金子美香


良かった点⇒歌手が上手。一番は我がマドンナ砂川涼子(ミカエラ)の1幕の村上敏明(ホセ)との二重唱と3幕の独唱が実に素晴らしい。誠に美声だ。身体は小さいのに明るくまろやかな声がとても良く響き渡った。今回で彼女の新国ミカエラを聴くのは三度目だが今回が一番良かったように思う。


「ワルキューレ」に続いて代役を勤めた村上も朗々たる歌唱。カルメン役が大きすぎて背が釣り合わなかったのは悔しいけど、とても健闘していた。


肝心のカルメン(ステファニー・ドゥストラック)は、忘れていたけど、エクサン・プロバンス音楽祭2017で「カルメン」を歌っていたのを帰宅後思い出した。

まるでソプラノのような明るく輝く声だ。ガタイも大きく声量もある。

尤も、冒頭の「ハバネラ」が舞台中奥の高い場所だったので実力発揮できず。これは演出が悪い。


闘牛士(アレクサンドル・ドゥハメル)も登場のアリア「闘牛士の唄」がやはり舞台中奥の高い場所なので、か細く頼りなかったが、以後は、床に降りて客席近くで歌ったので本来の迫力ある美声を響かせた。これも演出が悪いのだ。


これらの無理設定や演出をしたアレックス・オリエは「トゥーランドット」(の無理な演出)に次いでこれで前科2犯である。


カルメンを来日公演中のスペイン人ロック歌手、ホセとスニガはコンサートの警備責任者(当然日本人?)、エスカミーリョは偶々来日していたスペインの闘牛士だという(な、バカな!)。


この酷い設定は、1幕はかろうじて維持できたが、2幕以降は完全に破綻してしまう。そりゃ音楽も歌詞(字幕)も設定とはどんどん乖離してゆくのだから。


故に観客は各自の脳内の「カルメン」の記憶で演出の綻びを繋ぎ合わせながら立ち向かうことになる。演出は既に存在していないも同じだ。


多くの鉄パイプを組み合わせた舞台も、意味があったのはライブコンサートを表現した1幕のみ。

その後は、観客の想像の障害でしかなかった。


そもそも「読替え演出」はほとんど失敗しているような気がするが、僕の記憶で唯一の成功例が、エクサン・プロバンス2017の「カルメン」(演劇セラピーとしての劇中劇という読替え。)で、上述のようにそこでカルメンを歌ったのがステファニー・ドゥストラックだったというのは皮肉なことだ。


♪2021-069/♪新国立劇場-05

2021年7月5日月曜日

7月歌舞伎鑑賞教室(第100回 歌舞伎鑑賞教室)

2021-07-05 @国立劇場


解説 歌舞伎のみかた

竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)一幕
  国立劇場美術係=美術

  河連法眼館(かわつらほうげんやかた)の場


●「解説 歌舞伎のみかた」
解説                             
 中村種之助

●『義経千本桜』
佐藤忠信/源九郎狐       中村又五郎
駿河次郎                         中村
松江
亀井六郎                         中村種之助
法眼妻飛鳥                     中村梅花
河連法眼                         嵐橘三郎
源義経                            中村歌昇
静御前                            市川高麗蔵
                                              ほか


そもそも中高生の団体鑑賞の為の公演だが、内容は手抜きなしの本物だ。

好きな席が取りづらいのは止むを得ない。今回は2階の4列目。なのに、単眼鏡を忘れたのは残念。


解説は先月に続いて種之助。巧い。

今回は本編の内容にかなり入り込んだ説明だった 。


「義経千本桜」という長い物語の一場だけを上演するので、先立つ事情などを説明したのは良かった。

「河連法眼館(かわつらほうげんやかた)の場」は何度も観ているが、この芝居の面白さは、早変わりなどの見せ場もあるけど、400歳!の「子狐」の演技で親子の情愛を表現するところで、歌舞伎入門には良いが、さりとて簡単に卒業できる演目でもないなと思う。


♪2021-068/♪国立劇場-05

2021年7月4日日曜日

日フィル横浜第369回定期演奏会

2021-07-04 @カルッツかわさき


藤岡幸夫:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

木嶋真優:バイオリン*

ハチャトゥリアン:「仮面舞踏会」ワルツ
ショスタコーヴィチ:バイオリン協奏曲第1番イ短調 op.77*
チャイコフスキー:「眠れる森の美女」ワルツ
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
-------------------------
チャイコフスキー:組曲4番「モーツァルティアーナ」と蝶々作品61から第3曲「祈り」


ロシアもの(ハチャ・タコ・チャイ・スト) 4作。

そんなに演ってくれなくとも良かったのに。


メインはショスタコーヴィチ:バイオリン協奏曲第1番とストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」。


好漢藤岡氏は、昨夜から未明の豪雨によるダイヤの乱れで碌に寝ていないはずだが、疲れは噯(おくび)にも出さず活力漲る指揮ぶりで、音楽も団員の意気も目一杯巻き上げて上出来だった。


バイオリン独奏の木嶋真優は過去に、何故かメンコンばかり聴いていて、印象が希薄だったが、今回のショスタコーヴィチは性に合っているのか、音量は大きく明瞭。3楽章の長大なカデンツァの緊張感にはゾクゾクしたよ。


最後の「火の鳥」でもオーケストラ音楽の面白さを堪能した。


この作品には改訂版が3稿あるそうで、1911年版は聴いた記憶なし。ほぼ演奏されないのではないか?

今日は19年版で、今年になって2回目だ。


一番多く聴くのは45年版で、曲数が多く演奏時間も少し長いが、両方ともほぼ切れ目なしで演奏されるので正直なところ耳で区別はつかない。


藤岡氏の指揮は聴く機会が少ないが、これまで聴いたものはラフマ〜等ロシアものにシベリウス、ドボルザークが多く、多分得意としているのだろうけど、そろそろ正統派独墺音楽を聴いてみたい。


今日の日フィルの演奏はとても良かった。

ただ、カルッツは響きが悪い。やはりみなとみらいホールで聴きたかった!



♪2021-067/♪カルッツかわさき-01

2021年7月2日金曜日

東京フィル第956回サントリー定期シリーズ

2021-07-02 @サントリーホール


チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73


チョン・ミョンフンも1年4月ぶりの登場。

次回9月と合わせてブラームスの交響曲を順番どおり2曲ずつという、なにやら軽く受け止めてはいけないような厳粛な緊張感を要するプログラム。


果たして、オケも良い緊張感、客席も同様。


ブラームスが素晴らしいから、というだけではなく、この日の演奏は、最高水準の出来ではなかったか。

細部まで行き届いた音楽作りで、ブラームスのオーケストレーションの巧さまで改めて感じさせる、随所に発見のある演奏だった。


個人的には、多少、好みの合わない部分もあった。


2曲とも終楽章のテンポ設計に異議あり。

クライマックスに前置した一種の溜めだろうが、in tempoで駆け抜けても良かったのでは、とは思ったが、今回の熱演の前には些細なことのようにも思った。


前日の都響同様カーテンコールは長く、客席は大いに盛り上がった。終演のアナウンスの後にも指揮者だけでなくもオケ迄も登場。


しかし、客席からは、誰一人タオルやパネルなどを出す人はなく、大勢のお客が立ち上がって拍手を続けたが、感動と興奮もブラームスの後では高貴な緊張感に包まれたものとなった。

プログラム、指揮者の人柄等の違いもあるだろうけど、終演後の客席の興奮状態を見て都響と東フィルの”客筋の違い”を感じた。


今回も東フィルは全員マスクなし。プロの演奏家としての意気込みも嬉しい。


因みに弦編成は、バイオリンは対抗配置ではなく通常配置だが12-12-10-8-6と第1と第2は同数だった。


♪2021-066/♪サントリーホール-09

横浜バロック室内合奏団定期演奏会98回 〜室内楽の楽しみ

2021-07-02 @ひまわりの郷


横浜バロック室内合奏団
 Vn小笠原伸子*、有馬希和子*、小澤郁子、眞中望美
 Va百武由紀*、櫻井すみれ
 Vc岡本蒼馬、間瀬利雄*
 Cb大西雄二*
ピアノ:堀由紀子**

早川昭三:バロック風「日本の四季」から「夏」
ドボルザーク:弦楽五重奏曲第2番ト長調 Op77*
ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op11(室内楽伴奏版)**
----------------
ショパン:前奏曲嬰ハ短調 Op45**


前回に続き早川正昭「バロック風“日本の四季”」から今回は「夏」。

これがホンによくできている。3楽章のそれぞれに日本の童謡などが織込まれ、第1楽章は「我は海の子」がフーガ展開する。

2楽章は「雨が降ります」、最後は「松原遠く」。

なんて楽しい音楽だ。

弦のみ総勢9人。


2曲目はドボルザーク弦楽5重奏曲2番ト長調。

これは珍しい。

初聴きかも。

知らされていなければ3楽章迄は誰の作品か分からなかったと思うが、終楽章にきてドボルザークらしい土着風の旋律と展開で、なるほどと納得した次第。


五重奏は弦楽四重奏にコンバスの組合わせ。この編成も珍しいと思う。


最後は弦楽八重奏がオケの代わりをするショパンのピアノ協奏曲第1番。独奏は堀由紀子…て知らない。横浜バロック〜を主宰する小笠原伸子の同級生と言うから、藝大を<随分前>に卒業した人らしい。


これが実に素晴らしい演奏だった。

指揮者のいないアンサンブルだが、とても息が合っていて、今正に仲間と音楽を創っている喜びに溢れていた。


それにしてもひまわりの郷の音響の良さ!とりわけピアノはくぐもったりせずカーンと抜けてくる。

明るくて粒立ちがよくコロコロと転がる。


それに引きかえ、サントリーホールのピアノの音は何とかならんか!

先日の上原彩子、小曽根真、いずれも熱演だったが、音が暗くて重くて弾まない。


♪2021-065/♪ひまわりの郷-2

2021年7月1日木曜日

東京都交響楽団 第931回 定期演奏会Bシリーズ

 2021-07-01 @サントリーホール



アラン・ギルバート:指揮
東京都交響楽団
小曽根真:ピアノ*

ペッテション:交響曲第7番 (1967)
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18*


都響としても1年半近く来日できなかったアラン・ギルバート久々の登場に加え、人気者小曽根真がラフマニノフ・ピアノ協奏曲第2番をどうPlayするかという興味などで開演前から熱気を孕んだ客席だったが、終演後は案の定の大喝采。


臍曲がりの僕は、そんなに感激する程のことはないのに…と一人冷めていた。


初聴きのペッテション交響曲第7番(1967)は単一楽章で演奏時間44分、って厄介だなと思いながら聴いていたが、現代曲ながら調性あり。煩いところもあるが、解説に第3楽章に相当する弦楽合奏部分が本曲中の白眉と書いてあったが確かに。そこ以外はどうだったかな。


オケは最終部分の高域(倍音Vn)に難。これはいつものことだが。


小曽根はラフマ2番をカデンツァはもとより、ラフマが楽譜を記した部分もだいぶアドリブを効かせた。元々がJazzぽい音楽だし、巧妙に原譜を生かしながらのアレンジなので違和感なく楽しめた。


オケも16型から14型に縮小して良いバランスだった。

(それでも指揮者通路が確保できないってなぜ?普通、出入りは下手の袖から登場するが、今日は、オケが目一杯舞台に陣取り、おまけに下手にはピアノが待機していたので通路が確保できなかったようだ。上手から登場し、一旦階段で客席床まで降りて客席を歩き、中央の指揮台近くに設けられた階段で舞台に上がるという、前代未聞の登退場だった。小曽根も同じ。)


さて、小曽根に期待されることは楽譜厳守の古典音楽をJazzぽく演ることなのか?

楽譜どおりの演奏もできるだろうにそういう演奏は彼には期待されないのだろうか?

いつまでもこの路線でいいのか?

勿論古典音楽のJazzyな破壊という革命的な一分野を開拓できれば良いが、世間は受け入れるかな。


♪2021-064/♪サントリーホール-08