2020年10月18日日曜日

神奈川県民ホール・オペラ・シリーズ2020 グランドオペラ共同制作 プッチーニ作曲:オペラ「トゥーランドット」

 2020-10-18 @県民ホール


佐藤正浩:指揮

ダンス:H・アール・カオス
合唱:二期会合唱団
児童合唱:赤い靴ジュニアコーラス
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

演出・振付:大島早紀子

装置デザイン:二村周作
衣裳デザイン:朝月真次郎
照明デザイン:沢田祐二
合唱指揮:佐藤宏
振付助手:白河直子
演出助手:菊池裕美子/根岸幸
舞台監督:八木清市

プッチーニ作曲:オペラ「トゥーランドット」全3幕
イタリア語上演・日本語及び英語字幕付き/新制作

配役:10月17日(土)/10月18日(日)
トゥーランドット姫:田崎尚美/岡田昌子
皇帝アルトゥム:牧川修一/大野徹也
ティムール:ジョン ハオ/デニス・ビシュニャ
王子カラフ:福井敬/芹澤佳通
リュー:木下美穂子/砂川涼子
大臣ピン:萩原潤/大川博
大臣パン:児玉和弘/大川信之
大臣ポン:菅野敦/糸賀修平
役人:小林啓倫/井上雅人

冒頭の神奈川フィルの響きに痺れた。

感染対策なのか、今回はピットに入ったオケの後方部分は蓋されていた。ちょうど舞台が前方に拡張されたように見える。しかし、その部分にキャストは立ち入らなかった。

観客席からは舞台が近いのに遠いような感覚になる。

その奥まったピットから発せられた冒頭の強奏がなんとも美しく、それだけで公演の成功を予感させた。

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カラフ達が脇に引っ込んでからのバレエ、とりわけ白河直子の、天井からぶら下がった1本のロープを使った空中ソロダンスの素晴らしさには魂を抜かれた。

広い劇場空間を上手に使った美術(装置・衣装・照明)。

何よりドラマに説得力を持たせた演出が凄い。

1幕前半で媚薬を嗅がされてしまったので、その後は全てが夢のようだ。

こんなに充実した「トゥーラン」は初めて。

結末に納得できたのも初めて。

鑑賞前は振付家:大島早紀子なんて知らないし、大丈夫かなあと一抹の不安があったが、いや〜もう驚く舞台だ。

恐るべし大島早紀子!

リューの自決後、カラフとトゥーランドット姫の愛が成就する筋がどうも納得できないでいた。

昨夏の新国では苦し紛れにびっくりの幕切れにしていたが、これとて納得できない。

ところが、本作の力技の演出で初めて”ハッピー・エンド”に納得できた。

プッチーニが完成させたのはリューの自決迄だ。その後のはプッチーニが残したスケッチに基づいて他人が補筆して完成させた。

その為に、辻褄の怪しい芝居になりがちなのではないか、とも思ったりしていたが、今日の演出版を見ると、やはりプッチーニは得心できる結末を用意していたのだな、と分かる。

まあ、今日の演出も無限に可能性のある演出の一つに過ぎないから、今後、全く別解釈の物語が描かれるかもしれないが。

今回の楽しみ、マイ・ソプラノ:砂川涼子姫のリューも素晴らしかった!

センター・かぶりつきで、名唱の数々を、ホンに堪能できた。


♪2020-068/♪県民ホール-01