2020-09-26 @みなとみらいホール
小林研一郎:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
實川風:ピアノ*
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調 K488*
ベートーベン:交響曲第3番変ホ長調 op.55《英雄》
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ショパン:マズルカ Op24-1*
アイルランド民謡:ダニーボーイ(弦楽合奏)
先日の都響+大野ではとても元気の良い「英雄」に感心した。
今日の日フィル+コバケンは非常に濃厚に小林印が押された「英雄」だった。
冒頭の強奏2連発は、都響が拳骨なら今日の日フィルは鋭い鉈の2連発。極めて短く強いTuttiがホールにこだました途端、これは新しい音楽が始まるなという予感。
音楽が進むにつれ細部にコバケン節が顔を出す。
聴き慣れなれないテンポだったり強弱変化など、いわば外連味だ。
度が過ぎると嫌味になるが今日の流れは塀の上を渡り歩くが中には落ちない抑制が効いていた。
特に第2楽章が格別の出来だった。
ゆったりと始まった。実演でこんなに遅いテンポは初めてかも。
どのフレーズもパートも疎かにしない決意が感じられる。遅め故の緊張感が絶えないが、じわじわ湧き上がってくるものは情感がいっぱいに溢れている。第2楽章がかくも情緒的な音楽に成りうるのか、という驚きで心平安ならず。
この楽章が終わって、もうここで全巻の終わりでいいのではないかとさえ思った。
第3・4楽章も随所に小林印が押されていたがアップテンポに救われた。既に膨満感すらあって、じっくりやられたら聴いている方も疲れ切ったろう。
CD朝比奈+新日フ「英雄」を思い起こした。あの感覚に近い。
♪2020-057/♪みなとみらいホール-13