2020-09-22 @国立劇場
鑓の権三重帷子 (やりのごんざかさねかたびら)
浜の宮馬場の段
藤太夫/團七
浅香市之進留守宅の段
織太夫/藤蔵・清允(琴)
数寄屋の段
切 咲太夫/燕三
伏見京橋妻敵討の段
三輪太夫・芳穂太夫・小住太夫・
亘太夫・碩太夫/清友・團吾・友之助・清公
人形役割
笹野権三⇒玉男
川側伴之氶⇒文司
岩木忠太兵衛⇒玉輝
女房おさゐ⇒和生
浅香市之進⇒玉佳
ほか
2月以来7月ぶりの再開文楽公演は1日4部公演に。第4部は鑑賞教室なので実質は3公演と、まあこれまでも無かった訳ではないが、各部間の待ち時間が1時間以上に延びて、本篇は1時間半〜2時間弱とえらく短くなった。料金は少し安くなったが、時間単価は高くなりぬ。
第2部は「鑓の権三重帷子」で初見。東京では11年ぶりの上演。
近松三大姦通ものの一つだそうな。これは実に面白かった。
そんなつもりは毛頭なけれどちょっとした偶然が重なって、権三と茶道師匠の女房おさゐは姦通を疑われ、疑いを晴らすことなく師匠による妻敵討ちにあう途を選択する。
その喧騒を背景に江戸から帰ったおさゐの夫の手にかかり2人は彼らなりの本望を遂げ、何もなかったかのように祭りは続く。
粋な終わり方にだ。
2人は姦通などしなかった。
が、その後の道行きで両者は深い仲になったのではないか。
それらしき行動も台詞も一切ないが、それを感じさせるところが艶かしい。そうでなくちゃ言い訳もせずに、心中もせずに、おさゐの夫の名誉の為に、妻(め)敵討ち(妻を奪った男を成敗する)を待つなんてたまらないからなあ…と思うのは下衆な感性かな。
♪2020-054/♪国立劇場-05