2018年7月18日水曜日

新国立劇場開場20周年記念公演 「消えていくなら朝」

2018-07-18 @新国立劇場


作:蓬莱竜太
演出:宮田慶子
美術:池田ともゆき
照明:中川隆一
音響:上田好生
衣裳:髙木阿友子
ヘアメイク:川端富生
演出助手:渡邊千穂
舞台監督:澁谷壽久

鈴木浩介⇒羽田定男
山中崇⇒羽田庄吾
高野志穂⇒羽田可奈
吉野実紗⇒才谷レイ
梅沢昌代⇒羽田君江
高橋長英⇒羽田庄次郎

蓬莱竜太:「消えていくなら朝」全1幕
ーMorning Disappearanceー

予定上演時間:1時間55分-休憩なし

そこそこ売れている劇作家の次男が実家に戻った。家族全員が揃うのは18年ぶりだ。次男は次回作で実家の家族模様を描きたいが、加増同士が話せば話す程、絆はバラバラに。今迄の見栄えを重んじた家族の装いは、逆に家族ならではの容赦ない言葉の礫で丸裸に。

母親はとある宗教に凝り固まっている。
母にとって良い子だった長男は宗教の教えに反して破門・挫折。
一人娘は父親の期待を担って男の子ぶって育ったため、今や女に戻れない!
父親は宗教に準じたかのような母親を許せず離婚を望んでいるが、離婚はその宗教の禁ずるところだ。
そしてその母親は父親のかつての部下男性と親しく付き合っている。
両親のどちらからも疎んぜられた次男はふるさとは遠くに在りて思うものを決め込んでいた。
何の問題もないと思われていた次男が連れてきた唯ひとりの<他人>も、実は問題を抱えていた。

笑える部分も少なからず。しかし、多くは、デフォルメされたこの家族の問題を、我が家にも見つけ出すことを避けることは出来ない。笑いつつ、責められ、心には何本もの棘が突き刺ささる。

ストレートプレイとしては随分久しぶりに納得できるものだった。

かつて…もう40年以上前に高田馬場の汚い小屋で観たつかこうへい「初級革命講座飛龍伝」(初演)で腸捻転になりそうな笑激に身悶えしつつ、お前はそんな軽い生き方で良いのか!と繰り返し責められ続け正体なくぼろぼろに泣かされたあの稀有な鑑劇体験はもう二度と得られないと思うが、今回の「消えていくなら朝」は若き日の名作を少し彷彿とさせるものがあった。


そういえば、昨年の仏映画「たかが世界の終わり」(2016カンヌ・グランプリ)とよく似た趣向の物語だが、そういえば「たかが…」も元は戯曲だったはず。

♪2018-085/♪新国立劇場-09