2018-07-03 @国立劇場
解説 歌舞伎のみかた 坂東新悟
近松門左衛門=作
戸部銀作=脚色
日本振袖始(にほんふりそではじめ) 一幕
〜八岐大蛇(やまたのおろち)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)〜
二世藤間勘祖=振付
高根宏浩=美術
野澤松之輔=作曲
出雲国簸の川川上の場
(主な配役)
岩長姫実ハ八岐大蛇 ⇒中村時蔵
稲田姫 ⇒坂東新悟
素戔嗚尊 ⇒中村錦之助
ほか
先月の鑑賞教室は「連獅子」で、歌舞伎の舞踊を鑑賞するという趣向だったが、今回もどちらかというと舞踊に近い作品だった。
物語は、記紀に描かれた岩長姫と木花開耶姫の婚姻譚や素戔嗚尊の八岐大蛇退治を基にして、なんと近松門左衛門が人形浄瑠璃として書いたものだそうで、すぐさま歌舞伎にも移されたとある。
「時代物」でも、よほどか古い時代の話だが、登場人物の衣装は、少なくとも2人の姫は江戸時代の衣装だ。まあ、そんなことは頓着しない。面白ければそれで良し。
主要登場人物は3人。と言っても稲田姫は生贄で活躍の場もなく大蛇に飲み込まれてしまう。一番活躍するのが岩長姫(実は大蛇)だ。生贄をいただく前に、その周りに置いてあった大きな8つの甕に入っていた酒をたらふく飲んでから稲田姫を飲み込んでしまう。
お酒には素戔嗚尊が毒を仕込んでおいたので、徐々に毒が身体に回わったところで、正体を明らかにした八岐大蛇は素戔嗚尊と切り結ぶことになる。この辺の所作が激しいものの舞踊を見ているようでもある。
8つも頭がある大蛇をどう表現するのか、と心配していたが、そこは分身の術で7人の大蛇が加わって、計8人の大蛇との戦いになるが、もちろん、素戔嗚尊が勝利して、切り裂いた腹の中から生きたままの稲田姫と宝剣を取り返す。
岩長姫は当然女であり、女方の時蔵が演ずるが、八岐大蛇という正体を表してからは、衣装が早変わりで金の鱗模様(これは蛇の印)となり、顔には女方としては非常に珍しい隈取をして恐ろしい形相での大立ち回りが見どころだ。
♪2018-078/♪国立劇場-11