2018-04-25 @サントリーホール
ヘルベルト・ブロムシュテット:指揮
NHK交響楽団
ベートーベン:交響曲第8番ヘ長調 作品93
ベートーベン:交響曲第7番イ長調 作品92
今月のN響定期はABCいずれもブロムシュテットの指揮だった。
今回は、最上席とはいえないまでも十分満足できる席だ。
NHKホールよりは響の柔らかいホールだし、ベートーベンの7番、8番という願ってもない組合せで、ブロムシュテット3連チャンの最後を飾るに相応しいコンサートだ。
聴き慣れた都響定期Bの席より3列後ろのやや上手だったが、この位置加減が微妙なところだ。普通なら、その違いにこだわることもないと思うが、この頃神経質になっている僕としては、その違いが音楽の違いになって現れるので、良かったり、悪かったりする。
上手い下手ではなく、3列後ろだとやはり音圧が違う…という気がしたが、これは3列後ろで聴いているという認識がもたらす気の所為にすぎないのかもしれないのだけど。あるいは、歳のせいで徐々に聴こえづらくなっているのかもしれないが。
そんな訳で、もうちょいと腹に響く音圧が欲しかった。
この点を除けば、3回シリーズの中では一番満足度が高く、まさに有終の美を飾ってくれた。
20日のC定期のベートーベン交響曲第4番でも多少感じたが、今回の8番、7番でもやはりテンポが速めだった。「疾走するベートーベン」というほどではないが、ブロムシュテットのベートーベンは普通に聴き慣れた演奏より、少し速い。このテンポこそ、本来のテンポだというのが、ブロムシュテットの主張だ。何と言ってもベートーベン自身がすべての交響曲にメトロノームによる速度表示をしているのだから。でも、当時のメトロノームのテンポは真実どうだったのか…などの争いもあって、楽譜の表記に従うのが正解なのかどうかははっきりしないらしい。が、僕としては、疾走するベートーベンこそベートーベンらしくて好きなので、ブロムシュテットのテンポは好きだ。余談になるが、一昨年の年末のブロムシュテットの「第九」はとても緊張感に溢れた、目下の時点では最高に感動した演奏で、何と言ってもテンポの良さも預かって大きなものがあった。
また、気が利いているな、と好感したのは、7番の第1楽章と第2楽章、第3楽章と第4楽章をホンの一呼吸しか置かず続けて演奏したことだ。楽譜にアタッカの指示はないし、完全な連続ではない。
ブロムシュテットの腕が宙に止まって暫時動かず、動いた時は次の楽章の始まりだった。な訳で、観客席の咳込み合唱はシャットアウトされ、緊張を保ったまま2楽章へ、4楽章へと入ったのはとても気持ちが良く、胸のすく思いだった。
そう言えば、A定期のベルリオーズ「幻想交響曲」でも、第1楽章と第2楽章、第4楽章と第5楽章の間も同じように一瞬の間を置いて次楽章になだれ込んだ。
この時代の編成だから、オケも弦楽中心で中規模だ。弦のアンサンブルがシャキシャキと決まって、Tuttiも豊かに響いた。
ベートーベンはこうでなくちゃという演奏だったように思う。
♪2018-047/♪サントリーホール-04