2018-04-21 @みなとみらいホール
ピエタリ・インキネン:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
伊藤寛隆:クラリネット*
松井久子:ハープ**
【ドビュッシー没後100周年記念プログラム】
ドビュッシー(アンリ・ビュッセール編):小組曲
<小舟にて><行列><メヌエット><バレエ>
ドビュッシー:クラリネットと管弦楽のための第1狂詩曲*
ドビュッシー:神聖な舞曲と世俗的な舞曲**
ドビュッシー:交響詩《海》
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アンコール
ドビュッシー(アンドレ・カプレ編):「子供の領分」より第6曲「ゴリウォーグのケークウォーク」管弦楽版
ドビュッシー没後100年ということで組まれたオール・ドビュッシープログラム。さほど期待していなかったけど、とても良かった。久しぶりに満足度の高いコンサートだった。
「小組曲」はピアノ連弾が原曲で、これも聴いたことがあるがその時はあまり印象に残らなかったようだ。管弦楽版は読響と日フィルでいずれもコバケンの指揮で聴いている。
インキネンのタクトが降りて冒頭のフルートが惹きつける。もう、この日のコンサートは満足できそう!とその瞬間に思った。
始めよければ終わりよし、そのことわざを地で行ったみたいだ。
「小組曲」の管弦楽編曲はドビュッシー自身の手になるものではないけど、ドビュッシーがピアノ連弾用に作曲した時からオーケストレーションをイメージして書いたのではないか。管弦楽版を聴くとむしろピアノではこの雰囲気はとても出せまいと思う…とおもって帰宅後ピアノ連弾盤を聴いてみたら、やっぱり、これはこれでなかなかいいんだ。名曲だと再確認したよ。
「クラリネット〜第1狂詩曲」はちょうど1週間前(14日)に同じみなとみらいホールで、カンブルラン+読響、ポール・メイエのクラリネットで聴いたばかり。しかもNHK-BSクラシック倶楽部でその前日にアレッサンドロ・カルボナーレのクラリネットでピアノ伴奏版を放送していたのを録画していたので、この間に視聴している。まあ、こういう偶然てあるんだな。1週間の内に同じ曲を生で2回、放送でも1回聴くことになった。
そんな訳で、最近急にお馴染みさんになった、「牧神の午後への前奏曲」のクラリネット版のようなやや官能的な音楽を楽しんだ。「牧神〜」もフルートの代わりにクラリネットでやれば一層官能的になるかもしれない。
「神聖な舞曲〜」は独奏ハープと弦楽アンサンブルのための作品で、これは初聴きだった。細かく速いフレーズでハープの音がクリアに聴こえなかったところがあったのは残念。
メインは「交響詩≪海≫」。若い頃はなかなか馴染めなかったが、今ではかなり好きな作品だ。音楽の印象派だの象徴派だのと言われているが、音楽を聴きながら海の三態(海の夜明けから正午まで・波の戯れ・風と海の対話)が凡人に見えてくる訳ではないけど、まあ、それらしい気配は十分だし、何より、たゆたう感じの音楽そのものに不思議な魅力がある。これはドイツ音楽にもイタリア音楽にもない近代フランスの感性だ。それを切り開いたドビュッシーの天才なのかもしれない。
日フィルは、最近ずっと好感度が高いが、今日の演奏はインキネンの彫琢が細部まで行き届いているようで実にレベルの高い演奏だった。ひょっとして、昨日のN響よりも高水準だったかも。
やはり、オーケストラはみなとみらいホールで聴くのが一番安心して聴けるなあ。良い演奏を引き立てる名ホールだ。
♪2018-045/♪みなとみらいホール-12