2018年4月17日火曜日

新国立劇場オペラ 開場20周年記念特別公演「アイーダ」

2018-04-17 @新国立劇場


指揮⇒パオロ・カリニャーニ
演出・美術・衣裳⇒フランコ・ゼッフィレッリ
照明⇒奥畑康夫
振付⇒石井清子

合唱⇒新国立劇場合唱団
管弦楽⇒東京フィルハーモニー交響楽団

アイーダ⇒イム・セギョン
ラダメス⇒ナジミディン・マヴリャーノフ
アムネリス⇒森山京子(エカテリーナ・セメンチュクの代役)
アモナズロ⇒堀内康雄
ランフィス⇒妻屋秀和
エジプト国王⇒久保田真澄
伝令⇒村上敏明

ジュゼッペ・ヴェルディ「アイーダ」
全4幕〈イタリア語上演/字幕付〉

予定上演時間:約3時間50分
第Ⅰ幕45分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕50分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕35分
 --休憩20分--
第Ⅳ幕30分


先行抽選のためにゾーンしか選べず、当たった座席は最前列のど真ん中。これは字幕の読みづらさはあるが、アイーダ鑑賞としては最高の席だ。大いに楽しんだが、残念だったことを3つ挙げておこう。

①まずは指揮者(カリニャーニ)のテカテカの薬缶頭が終始目の前で浮沈した事だ。舞台が明るい場面ではさほど気にならないが、2幕を除けばほとんど薄靄(後述ゼッフィレッリのトンデモ演出のせいもある!)とか薄暗い場面なので、天井からスポットライトを浴びている指揮者のツルツルピカピカの頭だけは煌々と輝いている。ちょいと没入鑑賞を妨げたなあ。

②アムネリス役は本来はE.セメンチュクだった。昨年のザルツブルク音楽祭でも同役を歌った。BDは5種類も持っていて、この公演も録画視聴しているので少し楽しみにしていたが、なんと、体調不良で本日休演。急遽の代役が奮闘したがアイーダ役に比べてなんとも声量不足。

③ゼッフィレッリの演出に不満。初演時から変わらない(5年毎に再演をして今回で5回目。今回は劇場20周年の特別公演と位置づけられている。)そうだが、舞台額縁の全面を紗幕が覆っている。その為舞台のすべてが少し霞んで見える。いずれ、凱旋場面で取り払われるだろうと期待していたが最後まで紗幕は上がらずじまいだった。どうやら幻想的な舞台を演出しているらしい。

アイーダに「幻想」が必要かどうかも理解不能だが、舞台演出家が舞台全面を紗幕で覆いとおすのは演出家の自殺行為ではないか。部分的使用は良いが、終始全面ではお客にサングラスでも配ればよい。むしろ、道具・舞台美術・照明など舞台上で「幻想」を見せるべきだ。

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などなど、不満もあったが、全体としては上出来だ。
まったく豪華絢爛なる舞台で特に2幕2場の豪勢なこと。
馬も2頭登場。
舞台上は総勢300人だそうだ。
総勢10人の喇叭手(と言っても東フィルのメンバーだろう)によるアイーダ・トランペットの砲列で演奏する凱旋の行進曲にはゾクっとしたよ。
バレエシーンも良し。合唱に力がある。

アイーダ(イム・セギョン)の豊かな声量が代役アムネリスとの比較で際立った。

ラダメス(N.マヴリャーノフ)も堀内・妻屋・久保田の日本人歌手も良し。代役嬢も終盤は良くなった。

薬缶君の下で東フィルも見事な演奏だった。
舞台美術、独唱、重唱、合唱、バレエ、オーケストラの競演、ザ・オペラを十分に堪能できた。

BDでは上述したザルツブルグ公演の他にMETが2種類(2009年と2012年)、ヴェローナ野外劇場(2012年)、ミラノ・スカラ座日本公演(2009年。これはゼッフィレッリの演出だ。)と観ているが、どのプロダクションにも引けを取らなかったのではないか。
それにしても紗幕が残念無念。

♪2018-042/♪新国立劇場-05