2018年4月7日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第338回

2018-04-07 @みなとみらいホール


川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
福原寿美枝:Ms*

バーンスタイン:政治的序曲「スラヴァ!」
バーンスタイン:ウェスト・サイド・ストーリーから「シンフォニック・ダンス」
バーンスタイン:交響曲第1番「エレミア」*
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アンコール
「シンフォニック・ダンス」から「マンボ」観客のマンボッ!付き

今年は生誕100年ということで、あちこちのオケでバーンスタインを取り上げている。
今日の神奈川フィルみなとみらい定期は3曲ともすべてバーンスタインだった。

政治的序曲「スラヴァ!」と交響曲第1番「エレミア」は生では初聴き。
前者は4分程度、後者も23分(いずれも演奏予定時間)という小振りの作品だった。

「スラヴァ!」は政治的序曲と副題?が付いているが、政治演説や群衆の歓呼などの音声が音楽に混じってテープで再生されるなど、実験的な作品だ。変拍子が続いて(7/4〜7/8)、共鳴を拒絶するような音楽だ。ま、一度聴けばもういいや、テな感じ。

最後の「エレミア」。
勉強のためにちょっとCD等で聴いたことがある程度でほとんど初めてと言っていい。
全体にヘブライ情趣で作曲されているというが、確かに全篇が異国情緒というか、元々調性が曖昧だが、その中におそらくヘブライ地方・時代の旋法などが取り入れられているのだろう。

特に第3楽章は旧約聖書「哀歌」**の一部をテキストにしたメゾソプラノによる歌唱が加わる。ここでは一層ヘブライ色が濃くなる。バーンスタインが先祖の苦難に思いを馳せて作ったのだろう。そして、悲嘆の内に全曲が終曲する。
歌の全体の意味は分かっていても一語一語の意味はさっぱり理解できないものの、良い歌唱だったとは思った。

ここで驚いたのは、歌唱を担当した福原寿美枝が終わった後、感極まって涙ぐんでいたことだ。まあ、ヘブライ語の難しい?歌を無事に歌い終えたという安堵感もあったかもしれないし、何より、この音楽に共感しながら歌っていたのだろう。それでもプロがこんな風に感情を露わにするのかなあという思いはしたけど。

中に挟まった超有名な「シンフォニック・ダンス」は親しんでいるだけに大いに楽しめた。


定期演奏会にしては珍しく、終演後、川瀬賢太郎がマイクを取って3曲とも尺が短いので、アンコールを演奏する、と言ったのは良かったが、「シンフォニック・ダンス」の中から「マンボ」だ。それもあの掛け声「マンボッ!」を観客に「もやりたいでしょ?」と勝手な判断でやらされる羽目になった。こんなこと別にちっとも楽しくないけど。でも、両隣ともでかい声で「マンボッ!」とやるので、僕も演りましたよ。恥ずかしい…。

ところで、今日の演奏は全体にアップテンポでリズミカル。それも変拍子が多く、アンサンブルの難しい音楽ばかりだったが、神奈川フィルはこれをピタッと気持ち良く合わせた。
確かに、川賢が常任指揮者に就いてから、少しずつ演奏レベルが上っているのは認めなくてはなるまい。

「音楽の友」4月号に3年に一度の読者投票による「あなたが好きな日本のオーケストラ」で前回の10位から4位(ちなみにベスト・テンは、1N響、2日フィル、3東響、4神奈川フィル、5都響、6東京フィル、7読響、7新日本フィル、9大阪フィル、10札響)にランクアップしているのにはびっくりだが、次回圏外に落ちないか、心配だよ。
「好きな」というだけで、「上手な」という訳ではない。このベスト・テンのうち1位〜5位全部と7位のオケはいずれも定期会員なのでよく聴いているが、実力から言えばこのランキングはだいぶ違うように思う。まだ神奈川フィルは10位にも入らないだろう。

**「哀歌」については昔聖書を熱心に読んだことがあって少々知識があったし、今日のプログラムにも対訳が掲載してあったので事前に目を通しておいた。現代ではむしろ「パレスチナ哀歌」に作り替えた方が良いのではないかと思えるが。

♪2018-036/♪みなとみらいホール-10