2017年4月29日土曜日

都響プロムナードコンサートNo.372

2017-04-29 @東京オペラシティコンサートホール


小泉和裕:指揮
東京都交響楽団

キム・ソヌク:ピアノ*

ベートーベン:バレエ音楽《プロメテウスの創造物》序曲 op.43
ベートーベン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 op.37
メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調 op.56《スコットランド》

定期会員になっている都響Aプロと都響Bプロの4月の演奏曲目が同じプログラムだったので、Bプロをプロムナード・コンサートに振替えた。都響はNETで振替先の座席指定もできるのが大変便利だが、あいにく希望する席は空いていなかったので、いくらなんでも舞台に近すぎると思いながらも、たまにゃいいかと4列目のセンターを押さえた。
ところが後で分かったのだけど、オペラシティコンサートホールは、オーケストラ・コンサートの場合は舞台を拡張するために座席の1列目と2列目は取り外すそうで、3列目が実質最前列なので、4列目というのは前から2列目というかなり辛い場所であった。

10年ほど前までは知人のコーラスの発表会(といっても秋山御大指揮で東響と組んだ本格的なもの)に半年に1回は出かけていたが、今回のような前の方に席を取ることもなかったので、前方2列が無いことなど全然気が付かなかったよ。


で、随分久し振りのオペラシティコンサートホールだった…からという訳でもないが、うっかり遅刻してしまった。遅刻すると途中からは入場できない。キリの良いところまでお待ちください、という訳で、ベートーベンピアノ協奏曲第3番の第1楽章が終わった直後にひっそりと入れてもらったものの当然、自分の席に着座することはできず、ホール最後部で立ち聴きとは情けない。
しかし、このホール、最後列が第31列と番号が振ってあるから実質は29列目ということになる。これはみなとみらいホールと同じ列数だが、オペラシティの方が座席の前後の間隔が広いので、みなとみらいホールの最後列より、おそらく3、4列分舞台から遠いだろう。しかし、それほどオケと離れていても実に良い響きで音圧もしっかりしているのには驚いた。流石のタケミツメモリアルだ。
シューボックスは音響が良いと言われているが、それだけではなく、目に入るもの、手に触れるものはほとんど木でできている。そのことも影響しているのではないだろうか。

休憩を挟んで後半は、正規の席である問題の2列目で聴いた。前の席が空いていたから手を伸ばせば指揮者に届きそう…なんてこともないけど。異常に音源に近すぎる。
以前、NHKホールで、これも舞台拡張のため知らずに最前列に座ったことがあったが、これはひどい音響だった。NHKホールは世間では評判が悪いが僕は色んな場所で聴いてみて格別音響が悪いとは思わない。古いホールは残響が一般的に短く乾いた音がするのは、県立音楽堂や文化会館でも同様だ。さはさりながら、NHKホールの最前列は絶対に良くない。おそらく4、5列目もダメだろうと思う。

さて、オペラシティの2列目はどうか。
これがびっくりするくらい心地よい。都響の腕のせいもあるだろうけど、弦楽器に原音のシャリシャリ感が混ざりすぎのきらいはあるが、実に厚い響だ。それでいて各パートが明瞭に聴こえる。また、オーケストラに包まれている感じの迫力がうれしい。

最後列でもきれいな音だったが、<ほぼ>最前列も、別趣の味わいを楽しめた。
今回はB定期からの振替えのプロムナードコンサートシリーズだったが、本来の会員であるB定期はあと2回、このオペラシティで開催される(本来はサントリーホールだけど改装中で使えないため。)。自分好みの席を確保しているのでこのホールで聴く都響が楽しみだ。

さて、今日のメインであるメンデルスゾーンの交響曲3番「スコットランド」は、作曲順では最後の交響曲でその5年後に逝去した(享年38歳)。
そう思って聴くと夭逝した天才の悲哀や激情が奔流のように溢れてきて大いに感情移入できる。
昨年6月にN響+アシュケナージで聴いた時より没入度高く楽しかった。これは、異常な程の接近鑑賞で音の洪水にまみれたことも原因しているのだろうけど。

♪2017-067/♪東京オペラシティコンサートホール-01