2017-04-03 @国立演芸場
《落語》林家彦星⇒つる
林家まめ平⇒勘定板
林家のん平⇒崇徳院
《パントマイム》カンジヤマ・マイム
《落語》林家三平⇒紀州
鈴々舎馬桜⇒七段目
― 仲入り ―
《漫才》林家一風・千風
《落語》林家源平⇒黄金餅
《奇術》伊藤夢葉
《落語》林家正蔵⇒百年目
歌舞伎・文楽を題材にした落語は元ネタを知っていてこそ大いに笑える。「四段目」、「中村仲蔵」、「七段目」も知っている者にはおかしさが倍増する。と言うより、元ネタを知らなければおかしさが分からないだろうな、と心配するよ。
江戸時代の庶民は落語と同時に歌舞伎も楽しんでいたからこそこういう噺が生まれたのだろうな。特に上に挙げた作品はいずれも「仮名手本忠臣蔵」が元ネタだから、「〜忠臣蔵」は必須の教養科目だったのだろう。
今日の鈴々舎馬桜は「七段目」だった。
「祇園一力茶屋の段」だ。芝居狂いの若旦那に小僧(丁稚)が真剣で斬りつけられそうになって階段から落ちてしまうという噺で階段の七段目と歌舞伎の七段目が掛けてある傑作だ。
これは噺としてそもそも面白い。元ネタを知っておればうんと面白い。
が、今日は何と言っても正蔵初挑戦の大作「百年目」が良かった。
大店の一番番頭は遊びにはまったく手を出さない生真面目で堅物…で通していたが、実はこっそり夜遊びも。ある夜、店を閉めてから贔屓にしている柳橋の芸者や幇間を引き連れて向島に遊びに出かけたところ、大旦那とばったり出くわしてしまう。ここで会ったが百年目(運の尽き)、という訳だ。
首を洗って待っていた番頭が、翌朝、大旦那に呼ばれる。ついに来たか、人生終わった、と打ちひしがれていたが、大旦那が番頭に説いて聞かせる話が理にかない情に訴える。人間の大きさということを、落語を聞きながらしんみり考えさせられ、そして熱いものがこみ上げてきた。寄席で落涙したのは始めてだ。
それにしても正蔵の芸の確かなこと。今後がますます楽しみだ。
2017-050/♪国立演芸場-06