2017年4月16日日曜日

N響第1858回 定期公演 Aプログラム

2017-04-16 @NHKホール


ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団
ニコライ・ズナイダー:バイオリン*

アイネム:カプリッチョ 作品2(1943)
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲ホ短調 作品64
マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」
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アンコール
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第2番第3楽章アンダンテ*

F・ルイージがマーラーの1番をN響で振るとどうなるか…。
冒頭は弦が聴こえないくらいの最弱音に微かな木管が乗って好調の滑り出し。が、第2楽章の出だしのリズムに違和感を感じた。
その後も、好意的にはこれがウィーン調かもと思わせる自在なテンポ。しかし聴き慣れない音楽の流れが気になってなかなか入り込めない。

第3楽章冒頭のコントラバスのメロディは、これまで聴いたものは全て独奏だったが、今回はコンバス8本の斉奏だった。これは使用している楽譜の版の違いらしい。1本でも8本でもかまわないけど、ここでも外連味たっぷりの歌わせ方がひっかかる。

つまり、終わってみると、これまでに数え切れないほど聴いたこの曲の僕なりの<常識>を打ち砕くかのような俗っぽさに大いに失望した次第だ。

ルイージの指揮は初めての経験だったが、この人の指揮ぶりはMETのライブビューイングでたくさん聴いているので、なんとなく親しみを感じていたのだけど、思いがけない初体験となった。

また、アンサンブルにも不満あり。
オケはルイージの自在な呼吸と同期するまでには至っていなかったような気がしてならない。
部分的にはこれまで聴こえてこなかった旋律を聴いた気もするが、派手派手しい終楽章、特に終結部の盛上りも気分が乗りきれなかった。

しかし、後からよく考えると、この俗っぽさはむしろマーラーの持ち味かと思えば合点もゆく。これが本来の「巨人」で、僕が過去に何度も聴いてきた「巨人」は少し気取った演奏だったのかもしれない(先月のコバケン+日フィル、今月8日の川瀬賢太郎+神奈川フィルは不満が残ったが、パーヴォのN響お披露目の「巨人」やアンドレス・オロスコ・エストラーダ+hr響などは正統派?の解釈による見事な演奏だった。)。

いずれNHKクラシック音楽館で放送されるだろうからその時は予断を排してルイージ流の「巨人」を確かめたい。

2017-059/♪NHKホール-03