2017年4月15日土曜日

東京・春・音楽祭 《24の前奏曲》シリーズ vol.6 ラフマニノフ〜ボリス・ギルトブルグ

2017-04-15 @東京文化会館


ボリス・ギルトブルグ:ピアノ

ラフマニノフ:24の前奏曲
 前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2《鐘》
 10の前奏曲 作品23
 13の前奏曲 作品32 
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アンコール
スクリャービン:練習曲 作品2-1
ラフマニノフ:音の絵 作品39 No.6
シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集からNo.14

ボリス・ギルトブルグってピアニストのことは名前さえも知らなかったが、プログラムの経歴を読めばあちこちの国際コンクールで受賞歴がある。新しいところでは2013年にエリザベート王妃国際音楽コンクールで1位、ということはまだ売り出し中ということだろう。

珍しくピアノはFAZIOLIだった。
長身から繰り出される打撃音の華やかな事。
弱音では背中を45度畳んで鍵盤を這うようなしなやかさ。

24の前奏曲は、作品としては3つ合わせて24曲だ。
作品3-2は5曲で構成される幻想的小曲集(作品3)の第2曲である前奏曲「鐘」で、作品番号からも分かるように音楽院卒業後間もなく作曲したものだ。
前奏曲集として演奏される場合は多分、今回のように最初に(1番として)演奏されるのだと思う。
「鐘」という表題がついていることや最初に演奏される?こともあってか、24曲中一番有名で、一番聴き馴染んでいる。と言うより、聴いてこれがラフマニノフの前奏曲だと僕が判別できるのはこの「鐘」だけだ。作品23と32の全23曲を完全に通して聴いたのは今回が初めてだった。

やはり、馴染んでいる「鐘」が一番聴き応えがあった。技術的には大して難しくはないようだが、冒頭の暗くて重い打撃音がとても刺激的で、これはFAZIOLIの音質や音量の力強さも手伝っているのだろう。
ピアノは打楽器でもあるなと得心した次第。

余談だが、FAZIOLIは最も高価なピアノらしい。その中で最高級ピアノはF308という機種で日本には1台だけ導入されているそうだ。どこのホールか?
それがなんと人口1万人足らずの福井県美浜町にある生涯学習センター「なびあすホール」という500席弱のホールだというからびっくり。原発交付金などでふんだんにお金をかけることができたのだろう。

♪2017-58/♪東京文化会館-07