2016年10月9日日曜日

ウィーン・フィルコンサート

2016-10-09 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ズービン・メータ:指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲 K527
ドビュッシー:交響詩「海」-3つの交響的スケッチ
シューベルト:交響曲第8番ハ長調 D944「グレート」
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アンコール
ドボルザーク:スラブ舞曲作品46-8

ウィーフィルなんてナマで聴くの初めて!
えらく高いチケットだったけど、一度は聴いておきたいと思って特等席を買った。ミューザ川崎シンフォニーホール2CBのセンター最前列。絶好のポジションだ。

1曲めのモーツァルトは、なんだかざわついて聴こえてこれがウィーン・フィル?という感じ。
2曲目になって、オケの規模が特大になり(コンバス8本、チェロ10本)、そのせいか、あるいは音がホールに馴染んでくるということがあるのかもしれないが、弦は厚みを増したがまだまだこんなものじゃないはずという期待感と失望感がないまぜ状態。

いよいよメインのシューベルト。
ここではオケの規模はやや小さくなった。
そして驚いたことにフルート、オーボエ、ファゴット、クラリネットの各2本ずつの木管8人が、なんと指揮者の回りに半円形に並んだ。
通常は、木管楽器は弦楽器(多くの場合チェロかビオラ)の後ろに並ぶものだが、オケの最前列に出てきたのは初めて見る形だった。これまでにもウィーン・フィルの演奏を放送・ビデオで何度も何度も見ているけどこういう楽器配置は記憶に無い。
ただ、考えてみると、木管楽器は通常幾重もの弦楽器奏者や譜面台の影に隠れて演奏するのが常だから、彼らを最前列に引き出すのは音量のバランスさえ失わなければ合理的だ(特にオーボエやクラリネットは朝顔が床に向いているから音が遠くまで届きにくい。それでマーラーは時に楽器を水平に持って吹くように指示している)。

ただ、コンマスがフルートの首席の後ろになってしまうので他のメンバーとのアイ・コンタクトが取りにくいだろうけど。

また、僕の席からは良い塩梅に聴こえたけど、ステージそばの聴衆には木管八重奏団+管弦楽に聴こえたかもしれない。

それはともかく、マーラーの交響曲のように管楽器が大活躍する作品はなかったので優れた腕前に感嘆する場面はなかったが、図らずもの木管八重奏団はみんな達者だった。
問題は弦のアンサンブルだ。
最初の軽い失望は徐々に癒やされて、やはりシューべルトのような根っからウィーンの作品ともなると自家薬籠中のものか、繊細さを残しつつ重厚な響だった。

アンコールがドボルザークと、なんだかまとまりのない品揃えだったが、観客の拍手は長く続き、楽団員が舞台から全員引き上げた後も鳴り止まない拍手に応えて、メータ御大は一人で舞台に出て四方八方の観客に愛想を振りまいた。

さて、さて、さて。
これが世界の最高レベルとなると、我が日本楽壇は大いに安心してよいのではないかと思った。

演奏される曲にもよるし、どこ(ホール・席)で聴くかも問題だけど、これまでに聴いた海外オケの中で、一番感動を与えてくれたのは昨年NHKホールで聴いたhr交響楽団だ(ゲヴァントハウス管弦楽団は「マタイ受難曲」だったので、ちょいと比較が難しい。)。
海外オケの中で、というより、国内オケも含めて一番オーケストラの精緻なアンサンブルをhr交響楽団に聴いたように思う。

今年、11月にはドイツ・カンマーフィルとサンフランシスコ交響楽団を聴くことになっているので、いずれも楽しみにしているが、世界の3本指に入ると言われているウィーン・フィルがこの程度であるなら、N響も都響も読響も東響も日フィルも結構肉薄しているのではないかと思ったよ。
そういえば、早速明日の読響定期は、今日のウィーン・フィルと同じくシューベルトの交響曲第8番がメインだ。
どんな演奏を聴かせてくれるのだろう。

♪2016-138/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-24