2015-09-27 @ミューザ川崎シンフォニーホール
パトリチア・ピツァラ
アリーナ・イブラギモヴァ:バイオリン*
東京交響楽団
メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」 作品26
モーツァルト:バイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216*
ベートーベン:交響曲第7番イ長調 作品92
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アンコール
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第3番から第3曲ガボットとロンド*
ベートーベン:交響曲第7番第4楽章終盤部分
演奏曲目も演奏自体もとても良かったが、一番印象に残ったことは、指揮者のパトリチア・ピツァラだ。
ポーランド・クラクフ(映画「シンドラーのリスト」の舞台。この映画でこの町の名前を覚えた。忘れることはないだろう。)出身と書いてある。
2010年にクラクフ歌劇場音楽監督のアシスタントに任命されたというからまだ駆け出しか。
今回が日本デビューだった。
年齢は不詳だけど若い。金髪の美形だ。
その指揮ぶりがキリッとしていて気持ち良い。あまり表情を変えず、身振りも大げさなところはなく、オケをリードしているようには見えないが、確かに彼女とオケが同じ呼吸をしているという感じが伝わってくる。
全般にテンポが良く、楽章の切れ目もあまり時間をおかない。
交響曲第7番の第2楽章から第3楽章へはアタッカ(切れ目なし)の指示はないはずだけど、事実上連続していた。これが第3楽章プレストの効果を高める。
聴いている方はとても爽快だ。
咳払いしたかったお客さんには気の毒だったけど(それにしても、どうして多くの人が楽章の切れ目でゲボガボ咳払いをするんだろう。)。
館内のお客さんの呼吸も彼女の指揮に合わせて整えられたような気がする。
東響もいつものように問題なく巧い。
カーテンコールが何度も続き、おそらく予定外のアンコールとなった。
パトリチア・ピツァラがコンマスの大谷康子に話しかけ、大谷は一瞬、え?何?どこ?というような顔をしていたが、了解するとオケに向かって何やら声を掛けた。楽譜の用意がないのだから、アンコール演奏すると言ったら終わったばかりの第7番をやるに決まっているけど、第2楽章では長すぎるな、と思ったが、果たして、終楽章の終盤のクライマックスから最後までだった。そうでなくとも熱い音楽のサービスに、観客は大喝采だ。
ああ、これで彼女は観客の心を掴んだ!と思った。
すばらしい日本デビューに立ち会えたのは良かったよ。
今日は、東響の看板おばさん大谷康子(彼女は”茶髪”)もいいところ見せて、3人の女性による心温まる…否、熱くなる良いコンサートだった。
♪2015-94/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-20