2015-09-26 @NHKホール
ヘルベルト・ブロムシュテット:指揮
ティル・フェルナー:ピアノ*
NHK交響楽団
ベートーベン:交響曲 第2番 ニ長調 作品36
ベートーベン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」*
前回の定期公演は6月だったので、夏のシーズンオフを挟んで定期としては久しぶりだ。なんとなく、帰るところに帰ってきた、という落ち着きと、いよいよ始まるという期待感がある。
今月から、パーヴォ・ヤルヴィーが正式にN響の首席指揮者に就任する。もっとも指揮台に立つのは10月からだが、シーズンとしてはヤルヴィ-N響の始まりだ。
今日のコンマスは伊藤亮太郎。
確か、この4月からコンマスになった人で、多分、これまでステージでは一度も見かけなかったひとだ。堀正文が名誉コンマスに昇格したので順送りの芋づる式に昇格したのだろう。あるいは、4月から次期シーズンでのコンマス就任が予定されていたのかも。
ブロムシュテットは、好々爺の風情だ。飄々とした指揮ぶりだけど、手堅いという印象を受ける。
最初に交響曲第2番。
ピアノ協奏曲とのカップリングなら通常は交響曲のほうがトリになるけど、今日の組合わせだとやはり堂々として演奏時間も若干長い「皇帝」がふさわしいという判断だったのだろう。
この第2番て、全9曲あるベートーベンの交響曲の中で、一番聴く機会のない曲だ。奇数番は第1番を除いていずれも超有名。1番だって、そこそこ聴く機会がある。
偶数番は6番がダントツだけど、8番も4番もそこそこ聴く。
なことで、2番は個人的には一番馴染みの少ない曲だったが、今回、予習で聴き倒した感があり、随分馴染みの曲になった。
ベートーベンの音楽史的には前期の最後に位置し、次の年に第3番「英雄」が完成して中期が始まる。
…と説明されることが多いが、この時代区分による作風の違いについてはよく分からない(後期では最後のピアノソナタの3曲や12番以降の弦楽四重奏曲など、随分内省的になっていて前期とは様子が異なることはよく分かるのだけど。)。
何しろ、第1番でさえハイドンの作品とはずいぶん様子が違う。
一歩進めた第2番は一層「英雄」に近づいていて、構造物としても重厚さが漂う。
既に全篇ベートーベン印が飛び散っている感あり。面白い。
この日は、正規の日曜日の席を前日に振り替えてもらったので、席が異なり、少し上手側から聴いたが、同じ3階席前方なので、響に変わるところはなかった。
NHKホールは音が悪いともっぱらの評判だが、確かに、エアポケットみたいな場所が最前列~以外にもあるのかもしれないが、3階の少なくとも前方ではよく響いてくる。舞台後方の反響板の上から、館内の最後部まで、大きな波のうねりのような天井が一体となって続いて、オーケストラの音を運んでくるように思う。
2階席も少なくとも3階席の庇を被らない場所ではよく響く。
それで、僕は自分の指定席に満足しているのだけど、まあ欲を言えば、前回のサントリーホールでのN響の響はめったに聴けるものではなかったことは確かだ。
ピアノ協奏曲「皇帝」はいつもながら絢爛豪華だ。聴き応え十分。
ただ、ティル・フェルナーは何回か音を外していたやに思うが聴き取れなかったのかもしれないが。
ま、少しくらい音を外したって、それより勢いが大切。
大いに盛り上がってよかった。
今日の演奏が、いずれ「クラシック音楽館」で放映されるはず。
その時にじっくり反芻してみよう。
♪2015-93/♪NHKホール-08