2023年12月8日金曜日

日フィル第756回東京定期演奏会

2023-12-08 @サントリーホール



カーチュン・ウォン:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
池上英樹:マリンバ*

外山雄三:交響詩《まつら》
伊福部昭:オーケストラとマリンバのための《ラウダ・コンチェルタータ》*
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 作品47
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星に願いを*





横浜定期の振替にしては絶好席。
これまで概ね「カーチュン・ウォン」に外れなし、だったがどうか?

結論は大外れでがっくり。

メインのタコ5は暗譜で振ったが、まとまりの悪い事。
最初から最後まで酷かったが、特に第3楽章の緊張感のなさ。バラバラだよ。これは演奏もさることながら指揮者の構成感の問題ではないか。

オケも良くなかった。高域弦が不快音を発するだけではなく低域弦もバサバサ。

タコ5をかくも下手に演奏できるオケがあるとは驚きだ。

先日、秋山御大がミューザで洗足学園オケを率いたタコ5を聴いたが、音楽的にはずっと良いまとまりを見せた。


むしろ前半がボロを出さなかった。
特に、伊福部昭の音楽は、古関裕而にも通ずる日本人DNAが塗り込められているのではないか。初聴きであったが、郷愁を感じた。また、特大のマリンバのオケに埋没しない迫力と繊細な表現力には感嘆した。

♪2023-209/♪サントリーホール-26

横浜バロック室内合奏団定期演奏会108回 〜バロックのクリスマス/イタリアンバロックからモーツァルトへ

2023-12-08 @みなとみらいホール



横浜バロック室内合奏団
 Vn:小笠原伸子*/有馬希和子*/梅原真希子/藤村陽子/小林倫子
 Va:大本綾子/藤村陽子
 Vc:間瀬利雄
 Cb:大西雄二
 Cemb:流尾真衣

Pic:高野成之**
Pf:京増修史***

コレッリ:クリスマス協奏曲ト短調 作品6-8*
  Vivace-Grave / Allegro / Adagio-Allegro-Adagio
  Vivace / Allegro / Largo Pastorale ad libitum
ビバルディ:ピッコロ協奏曲ハ長調 RV443**
  Allegro / Largo / Allegro molto
マンフレディーニ:クリスマス協奏曲ハ長調 作品3-12
 Pastorale. Largo / Allegro / Largo
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス ニ長調 K.618
モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467***
  Allegro maestoso / Andante / Allegro vivace assai
----アンコール-----------------
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
J.S.バッハ:G線上のアリア




曲目によって出入りがあるが、今日はPfソリストを除いて最大10名。うち、女性が8人。いつもカラフルなドレスだが、今日はクリスマス・コンサートというので全員が赤、緑、ピンクのドレスで頭にはいつもに増してきれいな飾り物。華やかでよろしい。

演奏されたのはコレッリやマンフレディーニのクリスマス協奏曲のほか、ビバルディのピッコロ協奏曲、モーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプス。メインがモーツァルトPf協21番など。

クリ協以外がクリスマスとどう関係するのか知らないが、Pf協21番はその第2楽章が映画「短くも美しく燃え」に用いられて、有名になった。美しい。

な訳で、全篇クリスマス一色ではなかったが、バロックと古典派の心地良い音楽を楽しんだ。
こういう音楽(純粋に音の流れ、音の重なり、音の強弱で妙味を求める)をじっくり味わうに付け、その後ここに自我が加わって表現が際限なく広がってしまったことは、音楽にとって幸福だったのか、と思ったりもする。
別種の芸術に生まれ変わったと思うべきなのだろうか。

期せずして3日連続してPf協奏曲を聴いたが、全てがStWのフルコンだった。
この名器がサントリーでは聴くに耐えない酷い音を発したが、文化会館ではこのホール特有の乾いた硬さはあるものの紛れもないStWの輝きがあり、今日のみなとみらい小ホールでは、更に豊かさを加えて、その音だけでも聴いていたいような幸福感に包まれた。

♪2023-211/♪みなとみらいホール-45

2023年12月7日木曜日

東京都交響楽団 第988回 定期演奏会Aシリーズ

2023-12-07 @東京文化会館



大野和士:指揮
東京都交響楽団
ニコライ・ルガンスキー:ピアノ*

レーガー:ベックリンによる4つの音詩 op.128
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番嬰ヘ短調 op.1*
シューマン:交響曲第4番ニ短調 op.120(1851年改訂版)
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ラフマニノフ:前奏曲第1番嬰ヘ短調 op.23-1*




昨日のN響Bと同じようなジャンルで組まれたプログラムだった。
管弦楽曲、Pf協、交響曲の3本建自体は珍しくもないけど、うち、管弦楽曲がいずれもレーガーの作品というのは何たる偶然か…と思いきや、ラフマニノフとともに生誕150年なんだね。

その冒頭で都響が常ならぬアンサンブルの妙を聴かせた。
協奏曲以外は大抵弦16型で演奏する都響、その大編成に足を取られることが少なくないが、今日の弦の見事なこと。少し固く、重い響だが、乾いた透明感が実に心地良い。
管楽器、特に都響ブラス!中でもホルンの重奏がとても美しい。

レーガー作品も初めて聴いたが、昨日の「モーツァルトの主題による〜」より、ずっと楽しめたのは、先ず以て演奏がキビキビしていたからだろう。


もう1人の生誕150年のPf協奏曲は、何とも珍しい1番。
一体何年振りだろうか?
独奏のルガンスキーも5年前に読響で聴いて以来。

この作品も耳馴染みが少ないのだけど、ルガンスキーの流麗かつダイナミックな指捌きで、じっくりと音楽を味わうことができた。1番という番号だが、実質は3番より後に改訂されているので、情緒を抑えた純粋な器楽として完成度が高いのではないか。
何と言っても、Pfの音・響がサントリーとは全然違うよ。

最後に、一番楽しみだったシューマンの4番。
作曲順では1番だが、その後大幅に改訂をして、いわばシューマンの交響曲の集大成だ。ここでは、オーケストレーションの苦手なシューマンというイメージが全くない。むしろ、その巧さが随所に光っている。
尤も、初稿版が良いという声もあって、こちらも稀に演奏され、4年前に都響で聴いているが、すっかり忘れてしまって、今日の改訂版との違いは思い出せない。

抑制もなく次々と湧き起こる美旋律に酔いしれているうちに終わってしまうが、本当は、情に流されているのではなく、うまく計算してある。実に心憎い。ここでも低弦がゾクゾクさせた。

1年に1回?というくらい驚くべき都響の…いつも隠してばかりの…底力を味わった至福の2時間。

♪2023-210/♪東京文化会館-13

2023年12月6日水曜日

第1999回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2023-12-06 @サントリーホール



ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団
アリス=紗良・オット:ピアノ*

ハイドン:交響曲第100番ト長調「軍隊」Hob.Ⅰ-100
リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調*
レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ作品132
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サティ:グノシエンス第1番*





先月のA1定期ではみんな死んでいたのに、今日は生き返って、N響らしいアンサンブル。が…、

今日のハイドンがどうもしっくりこない。
N響でもハイドンを演奏する場合は、大抵弦編成は8-10型の小編成が多かったように思うが、5月Bのルイージ98番は今日と同じ14型だった。彼の好みなのか?
弦が大規模で悪いという訳ではないけど、厚みと透明感を備えた弦の響きが洗練されすぎてこれはハイドンなのか?と内心で葛藤していた。
「ルーテ」という珍しい打楽器が使われたが、プログラムでは言及がなかった。これが「軍隊」を表現する小道具の一つなのだが。


アリス=紗良・オットは3回目。N響では2回目。
これまでとは印象がずいぶん変わった。真っ赤なパンタロンドレス?の裾を翻して足捌きも軽やかに登壇すると、その後の所作がすべて軽快そのもの。CCもさっぱりしていてステージングの巧さは、むしろルイージを引っ張っていた。

演奏は、まあ、良かったのだろうが、いつも響の悪いサントリーのPfが、今日はもう信じられないくらい最悪だ。
オケの短い前奏の後にPfの強烈のフレーズが続くが、なんて酷い音だ。木か石を叩いているようで、こりゃPfじゃないよ。
弾いている本人は直接Pfの音を聴いているから何とも思わないかもしれないが、少し離れて聴けばこの酷さには気がつくはずなのに、一向に改善されないのはどうして?

僕の席はど真ん中で、Pfの屋根には88組の弦がそっくり写っているのだから角度も良し。この席でこんなに酷いなら、他の席ではどんな音に聴こえるのだろう?案外フツーに聴こえるのだろうか?
他のホールでも同じような席で聴いているが、こんなに酷いPfの音を聴いたことがない。ゆえに僕の耳の問題ではない。Pf本体の問題でもなく、奏者の問題でもない。

一番不思議なのは、誰も指摘してないことだ。
まるでサントリーホールは「裸の王様」だ。


レーガーは編曲ものが多く、作曲ものを聴く機会が少ないが、今日は珍しく作曲もの(…と言っても変奏曲だが)で、不思議なことに、明日の都響でもレーガーの作曲ものが続く。

前半で気分が落ち込んでいたせいもあって、この作品には面白みを感じなかった。彼の代表作らしいが、ラフマニノフのパガ狂18変奏みたいな、驚きの工夫はどこにも感じらなかった。

♪2023-209/♪サントリーホール-25

2023年12月5日火曜日

みなとみらいランチタイムコンサート 東京六人組

2023-12-05 @みなとみらいホール


東京六人組
 フルート:上野由恵
 オーボエ:金子亜未(荒絵理子の代打)
 クラリネット:金子平
 ファゴット:福士マリ子
 ホルン:福川伸陽
 ピアノ:三浦友理枝

ブラームス(岩岡一志編):ハンガリー舞曲から
 第1番、第5番、第6番
磯部周平:きらきら星変装曲
  1三星のフーガ(バッハ)
  2ケッヘル博士の忘れもの(モーツァルト) 
  3嵐のハイリゲンシュタット(ベートーベン)
  4クララのためのロマンス(シューマン)
  5紅葉のマズルカ(ショパン)
  6指輪はお嫌い?(ブラームス)
  7コスモスの舞踏(バルトーク)
  8オレンジ色の行進曲(プロコフィエフ)
  9星に憑かれた十二音(シェーンベルク)
 10たそがれどきのレント(フランセ)
 11フィナーレ:もう1つのフーガと主題(ブリテン)
プーランク:六重奏曲 FP 100から第1楽章
ラヴェル(川島素晴編):ボレロ
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ビゼー:ファランドール


メンバーはオケや室内楽で知っている人ばかりだが、東京六人組としては初めて。ピアノと木管五重奏団(Obは代打)。
ホルンは金管合奏でも欠かせない存在だが、木管と組むと木管扱いでコウモリみたいな存在だ。ま、木管にも馴染むので、そういう扱いになっているのだろう。

福士さん、お久しぶりです。
今日はかぶりつきの正面がFgで、こんなに近くでお目もじ叶ったのは初めてだ。

女性4人は揃って赤いドレス。
男性は黒。なんとかしろよ!せめて白で統一したらどうか。

大分類では4曲。細分すれば16曲。

面白かったのは「きらきら星”変装”曲」だ。
単なる「変奏」ではなく、バッハからブリテンまでの11人の作曲家の作風〜音楽の切れ端を取り込んだ「変装」なのだ。各「変装」にそれらしいタイトルも付けられているが、その意味の分かったものについては、知的なユーモアとは思えないし、不明なのもが多い。だからというのではないが、ここまで遊ばなくとも良かったのに。

最後は「ボレロ」。あのリズムをどうするのかと思ったが、最初は出番のないObが指でリード箱?を叩いていたが、やがてFlがタンギングして、さらにはPfが受け持ってそれらしくリズムを維持したが、全体として原曲をなぞってみただけであまり成功しているとは思えなかった。

木管+Hrの五重奏自体、音色が区々でブラスの合奏のようには溶け合わないのが難点。Pfが接着剤かといえば、そうとも感じられなかったな。

♪2023-208/♪みなとみらいホール-44

2023年12月3日日曜日

第14回 音楽大学オーケストラ・フェスティバル2023 桐朋学園大学/洗足学園音楽大学

2023-12-03 @ミューザ川崎シンフォニーホール


指揮:
桐朋学園オーケストラ/尾高忠明
洗足学園音楽大学管弦楽団/秋山和慶

桐朋/ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 作品27
洗足/ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 作品47



アマオケをプロオケのように響かせる魔法の箱ミューザが、今日は響が硬かった。
前半の桐朋を聴いて、”実力”しか発揮できない桐朋オケの”実力”を聴いてがっかりした。
音は濁っている、弦高域の不快な軋みも聴こえる。終始ザワザワして透明感がなく、アンサンブルの妙味などどこにもない。本来、極めて情緒的で美しいはずの第3楽章も乾いて潤いがない。ま、終楽章が元気に終えられてまあ良かったが。

ホールの響の助けがなければやはり音大オケといえどもこの程度か、とがっかりした。

ところが、後半、同一条件下にあるの洗足を聴いたら、響の硬さは変わらないが、オケの出来が全然違う。

桐朋は弦16型だったが洗足は14型。このサイズの違いはあまり関係なかったと思う。弦がそれなりに美しいし、管打鍵も実力発揮。ちゃんとアンサンブルが成立している。秋山御大の求心力に向かって音楽が収斂してゆく。

これまで、音大フェスはかなりの確率で聴いているので各音大オケを何度かずつ聴いており、その実力に有意差があるとは感じてこなかったが、これはどうした?

おそらく、一つは桐朋の選曲ミス。
ラフマニノフの2番て、聴いていても合奏力を要する音楽だと思う。緊張感を維持するのが難しそうだ。
もう一つは、リハーサルが十分ではなかったのではないか。
「♪〜稽古不足を、幕は待たない」で本番を迎えてしまったな…と思ったよ。

♪2023-207/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-26

2023年12月2日土曜日

かなっく de クリスマスコンサート 小林沙羅 with 加羽沢美濃

2023-12-02 @かなっくホール


小林沙羅:ソプラノ
加羽沢美濃:ピアノ*

フンパーディンク:クリスマス
クリスマスメドレー(加羽沢美濃 編曲)
 もみの木
 もろびとこぞりて
 ホワイトクリスマス
 ジングルベル
ハーライン:星に願いを(加羽沢美濃 編曲)
ドビュッシー:星の夜
レーガー:マリアの子守歌
カッチーニ:アヴェ・マリア(加羽沢美濃 編曲)*
シューベルト:アヴェ・マリア
バッハ&グノー:アヴェ・マリア
アメージング・グレイス(加沢美濃 編曲)

宮沢賢治(詞も):星めぐりのうた(加羽沢美濃 編曲)
山田耕筰(北原白秋詞):ペチカ
武満徹(詞も)(轟千尋 編曲):小さな空
加羽沢美濃(金子みすず詞):みえない星

<加羽沢美濃リクエストコーナー>
 客席からのリクエスト曲/即興5曲メドレー

加羽沢美濃(阿久悠詞):ララバイをどうぞ
加丹沢美濃(小林沙羅詞):月夜の祈り
ドボルザーク:歌劇「ルサルカ」から “月に寄せる歌”
プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」から “私が街を歩くと”
-----アンコール----
プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」から“私のお父さん”
小林沙羅(詞も):えがおの花
加羽沢美濃(詞も):ひととせのクリスマス


沙羅&美濃の組合せだ。
それぞれ個別には経験済みだが、この2人のDUOリサイタルは初めて。しかも、小ホールのかぶりつき。

2人がきれいなドレス姿で姿を見せた途端、年甲斐もなく照れてしまって、これは場違いな処に来てしまったか、と思った。
鑑賞の構えが定まらないまま、やっと前半が終わった休憩後は、2人ともお色直しして登場。また振り出しに戻る高揚感。
眼福というより、危険物に接近してしまった気分。

さて、中身。
プログラム編成の妙に感心した。
ピアノ独奏を挟んで小品ばかり23曲の歌が、関連性を持った一括りにして繋がって、いろんなジャンルを聴かせた。最後にソプラノの面目躍如のオペラアリアをアンコール含め3曲続けて、かなりの音圧で歌い切ったという感じ。

また、美濃さんの方も、作曲家兼ピアニストの力量をリクエストコーナーで発揮した。客席からのリクエスト5曲をすべて織り込んだ即興演奏は相当高等な”芸”で面白い。普通の上手なピアニストではこうはいくまい。「作曲家」の面目躍如。


余談:2人が別々に、期せずして「かなっくホール」の音の良さに言及した。美濃はピアノ独奏の独り舞台の際に、沙羅は歌の合間に。多分、リハーサルの際に2人の話題になったのだろう。それは、演奏者としての音の良さで、自分の音・声がクリアに聴き取れるという点で、かなり驚いていた様子だった。

僕の耳にはいつもの好ましい響だったが、この日特に感心したのは、ピアノが良く整えられていたことだ。休憩中も調律師がポロンポロンと微調整していたが、ピアノ本来の美しさがピュアに発揮された気がした。

♪2023-206/♪かなっくホール-17