2021年11月14日日曜日

東京交響楽団川崎定期演奏会 第83回

2021-11-14 @ミューザ川崎シンフォニーホール


クシシュトフ・ウルバンスキ:指揮
東京交響楽団
新国立劇場合唱団
東京少年少女合唱隊

バイオリン:弓新*
ソプラノ:盛田麻央
カウンターテナー:彌勒忠史
バリトン:町英和

シマノフスキ:バイオリン協奏曲第1番 op.35*
オルフ:カルミナ・ブラーナ

「カルミナ・ブラーナ」は今年の最大の楽しみだった。

しかも、指揮は久しぶりに好感度大のウルバンスキだ。


とは言え、「カルミナ〜」は過去にも名演を聴いており、特に2018年のNHK音楽祭におけるPヤルヴィ+N響の素晴らしい演奏が頭にこびりついている。


あれに敵うものはなかろう。

まあ肉薄できたらいい。

いや、生で聴けるだけでもよしとせねば…

と、うんとハードルを下げて臨んだが、どっこい。


バリトンが入るまでは少しもたつきを感じたが、徐々にエンジンが暖まり、オケも合唱も独唱も調子を上げて、こちらも前のめりに、オルフの描く奇妙な世界にズンズン惹きこまれて行った。


重厚で荘厳な響あり、自然賛歌あり、官能的な歌、清らかな世界を描く歌など聖俗混淆のごった煮が、次から次へと繰り出され、原始脳を刺激する狂乱の60分。


NHK音楽祭に立派に肉薄する!上出来だった。


欲を言えば、合唱がかなりの熱量だったとはいえ、薄い。

児童合唱団は10人、新国立劇場合唱団は48人?


これでは弦14型多くの管打鍵盤楽器を交えたオケを圧倒するには至らない。


因みに18年N響の「カルミナ〜」では児童50人、新国80人という編成だった。


今の時期ではやむを得ないが、出来が良かっただけに、やはり大ホールを揺るがす厚みが欲しかった。


前半にシマノフスキのVn協奏曲。急遽選手交代で弓新が登場したが、かつてチャイコを聴いて好感を持ったのでちょっと楽しみだった。

たぶん、技術的は相当難しそうだ。とても歌えない旋律?が延々と続き、決して心地良い音楽ではないけど、緊張感あふれる気迫の演奏にオケも応えて存外楽しめた。


♪2021-128/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-36

2021年11月13日土曜日

NISSAY OPERA 2021「カプレーティとモンテッキ」

2021-11-13 @日生劇場


指揮:鈴木恵里奈
演出:粟國安彦
美術:横田あつみ
照明:大島祐夫
衣裳:増田恵美
舞台監督:山田ゆか
演出助手:橋詰陽子
合唱指揮:大川修司

ロメーオ⇒山下裕賀
ジュリエッタ⇒佐藤美枝子
テバルド⇒工藤和真
ロレンツォ⇒須藤慎吾
カペッリオ⇒狩野賢一

台本:フェリーチェ・ロマーニ
作曲:ヴィンチェンツォ・ベッリーニ
歌劇『カプレーティとモンテッキ』
全2幕(原語[イタリア語]上演・日本語字幕付)


本作は生どころかビデオ映像さえ見たことがなかったが、シェークスピアの「ロメオとジュリエット」と元の話は同じであるとは知っていたので、初見でもすんなり頭に入った。

暗い話だけど、初めて聴く音楽は心地よく、大いに楽しめた。


ベッリーニはベルカントの作曲家として括られることが多いが、9歳年長のロッシーニと比べると遊戯のような超絶技巧はなく、ベルディ作品と言われても何の違和感もない感じだ。


また、オペラはややもすると音楽優先でドラマに無理があったりするが、この作品は理路整然としてストレスを感じさせない。


主要な5人の歌手のうち、佐藤・工藤・須藤はお馴染みだが、ロメーオ役の山下裕賀とカペッリオの狩野賢一は、多分、初聴き。いずれも朗々と歌って気持ちがいい。

特にズボン役の山下はベテラン佐藤相手に健闘。


Wキャストで明日も公演がある、各人1日しか出番がないとは勿体無い。


舞台美術や照明も良かった。

日生劇場の狭い舞台を有効活用して単純だが重厚感のある舞台装置。衣装も手抜き感なし。

ハーフミラーを使った演出も奥行きを感じさせるとともに、客席を舞台の中に取り込んだような不思議な感覚も面白かった。


♪2021-127/♪日生劇場-05

2021年11月9日火曜日

タレイア・クァルテット 山崎伸子プロデュース 輝く若手演奏家による「未来に繋ぐ室内楽」Vol.6

2021-11-09 @フィリアホール



タレイア・クァルテット THALEIA QUARTET

山田香子:第1バイオリン
二村裕美:第2バイオリン
渡部咲耶:ビオラ
石崎美雨:チェロ

山崎伸子:チェロ(特別出演)*

ストラヴィンスキー:弦楽四重奏のための3つの小品
ベートーベン:弦楽四重奏曲第10番 Op.74 「ハープ」
シューベルト:弦楽五重奏曲ハ長調 D956*


初聴き。

このアラサーと思しき女性ばかりのカルテットは、2014年芸大時結成。各方面で活躍の様子。

それにしても、女性・音楽家(に限らぬ)は器量良しでないと成功しないのか?という予てからの疑問を口にするのはタブーかな。


演奏技術やアンサンブル力に何の不足も感じなかったが、問題は別の処にあった。


「雨の日はホールが良く鳴る」というみつばち仮説は時々外れる。今日がそれ。

フィリアホールは大抵響に満足するが、今日はダメだった。エアコンが十分効いていなかったのではないかと思う。

それで、本来なら味わえたであろう弦の響きに潤いがなかった。


特にメインのシューベルト五重奏曲はチェロが2本(ゲスト:山崎伸子)という編成なので、2本のチェロがユニゾンでぐわ〜ンと出てくるとことろなど、もっと豊かに鳴るべきだが、響かなかった。


ところで、この五重奏曲。何度聴いても、今回も(ホールの響きを除いても)満足できない。

シューベルト死の数ヶ月前の(最後の室内楽)だが、大失敗作では?


チェロ2本使ったアイデアが奏功していない。

長過ぎる(今回は実測55分!)。

暗過ぎる…ハ長調で作曲する意味が?


…どうも納得できる演奏にお目にかかれないのは演奏の良し悪しではなく音楽自体の問題だ。


シュベちゃん!第1楽章カットすればどう?

【個人の意見です。】


♪2021-126/♪フィリアホール-06

2021年11月6日土曜日

第39回横浜市招待国際ピアノ演奏会

2021-11-06 @県立音楽堂



ダニエル・チョバヌ(ルーマニア)*
桑原志織(日本)
ケイト・リウ(アメリカ)
ジャン・チャクムル(トルコ)
*Disklavier™によるリモート出演

●ダニエル・チョバヌ(ルーマニア)*
ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》
Enc⇒モシュコフスキ:「8つの性格的小品」作品36から第6曲「火花」

●桑原志織(日本)
J.S.バッハ/ブゾーニ:《無伴奏バイオリン・パルティータ第2番ニ短調》BWV 1004から第5曲〈シャコンヌ〉
ベートーベン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調 作品110
Enc⇒リスト:ラ・カンパネラ

●ケイト・リウ(アメリカ)
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番イ短調 KV 310
ショパン:バラード第1番ト短調 作品23
Enc⇒J.S.バッハ(シロティ編):プレリュード ロ短調

●ジャン・チャクムル(トルコ)
シューマン:クライスレリアーナ 作品16
Enc⇒シューマン:「ミルテの花」作品25から第26曲「終わりに」


横浜市招待国際ピアノ演奏会は、ここ数年聴きに行っているが、今年の海外勢は名の売れた実力者が揃った為かほぼ満席で、特に若い女性が多かったのはチャクムルファンなのだろう。

個人的には2016年に出演予定だったが体調不良でドタキャンしたケイト・リウが楽しみだった。

チョバヌのマジックのような登場*については別に書こう。

YAMAHA協賛なので使用ピアノはチョバヌだけCFⅢ、他の3人がCFX。
その煌びやかな音色が、響きの良い音楽堂を直撃したが、最前列で聴いたので、もうその音を聴いているだけで幸福。
どんな最弱音も粒だち良く、最強音は弦がビリビリ震えるのが伝わってくる。
ピアノの滝に打たれた至福の3時間余。

チョバヌ:”展覧会”とアンコールはピアノテクニックの粋を集めたような演奏。
桑原:ピアノ版”シャコンヌ”はこれ迄に色々聴いてきたが、これ程迫力を感じたことはなかった。アンコールの”カンパネラ”で超絶技巧も。

ケイト・リウ:あまりに鮮烈だったので、Pfソナタ イ短調K310はモーツァルトとは思えない程。軽い衝撃。
バラードには共感。

チャクムル:彼だけ過去に協奏曲、単独リサイタルを聴いており、今回3回目だった。常に真摯で愛想も良い。
「クライスレリアーナ」を生で聴くのは2度目。
初めてが5年余前にユジャ・ワンで奇しくも同じ音楽堂のかぶりつきで聴いた。
前回はやや目が眩んだが、今回は冷静に音楽に接し、シューマンに一歩近づけたかも?

♪2021-125/♪県立音楽堂-07

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*「DisklavierTM」とは
アコースティックピアノとして演奏するだけでなく、ヤマハ独自の高精度デジタル制御システムによって繊細な鍵盤タッチやペダルの動きを極めて正確に再現できる自動演奏機能を搭載したハイブリッドピアノ。演奏を録音再生できるほか、アーティストの演奏を記録したデータを別のDisklavierTMで再生して、演奏を生音で楽しむことができる(YAMAHA)。

2021年11月5日金曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第735回東京定期演奏会

2021-11-05 @サントリーホール


角田鋼亮:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

郷古廉:バイオリン**
河野直人:ツィター*

J.シュトラウスⅡ:ワルツ[ウィーンの森の物語]*
コルンゴルト:バイオリン協奏曲ニ長調 op.35**
シュミット:交響曲第4番ハ長調
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ハイドン(クライスラー編):
 皇帝讃歌(弦楽四重奏曲第77番ハ長調「皇帝」第2楽章から)**


横浜定期不都合による振替席…は選べない…ので大抵悲しい事になる。
今回は一桁列中央だった。まるで映画館のDolbyCinemaの音響のような迫力(話がアベコベだが)。

音楽を聴くというより管弦楽による風圧耐久試験みたい。
最前列が好きという人がいるが、その気持ちが分からない。

ウィーン特集は全て珍しかったのが、まあ良かったか。

「ウィーンの森〜」は親しんでいるものの生で聴くのは珍しく、おまけにツィターが独奏扱いというのも初めて。電気拡声していたようだが、この曲には前方席が幸いした。
繊細で美しい音色が「第三の男」を彷彿とさせた(これも順序が逆だが!)。

コルンゴルトは近年聴く機会が多くなった。

10年前はその名も知らなかった。
現代の人だが、映画音楽作家でもあるだけに分かりやすいのがいい。

シュミット作品は過去に1曲だけ聴いた…記録あり。全く覚えていない。
第二次世界大戦への切迫感、急逝した娘への哀悼などからか、全曲重くて暗い!

♪2021-124/♪サントリーホール-18

2021年11月2日火曜日

国立劇場開場55周年記念 令和3年度(第76回)文化庁芸術祭協賛公演 11月歌舞伎公演『一谷嫰軍記』

2021-11-02 @国立劇場


並木宗輔=作
一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)  二幕
国立劇場美術係=美術

序   幕    御影浜浜辺の場
二幕目    生田森熊谷陣屋の場


熊谷次郎直実     中村芝翫
源義経        中村錦之助
梶原平次景高     中村松江
経盛室藤の方     中村児太郎
堤軍次        中村橋之助
亀井六郎       市村竹松
片岡八郎       市川男寅
伊勢三郎       中村玉太郎
駿河次郎       中村吉之丞
庄屋孫右衛門     中村寿治郎
番場の忠太      中村亀鶴
熊谷妻相模      片岡孝太郎
白毫の弥陀六         中村鴈治郎
 実ハ弥平兵衛宗清
ほか



初日観賞。
この演目の完成形を知らない。
『一谷嫰軍記( いちのたにふたばぐんき)』と言っても、一谷の合戦は描かれない(文楽版では全五段版を見たが、戦に出かけるところから演じられるのでこの芝居の隠された面白さが明らかになる。)。

多くの場合、戦が終わってからの「熊谷陣屋」だけ、それも冒頭部分がカットされて演じられるのが通例だ。

その「陣屋」の演じ方には芝翫型と團十郎型があるそうな。
いずれも何度も観ているが表札の扱いなどは違いが分かるが、細かい点まで覚えていないので大した違いではないと思う…。

芝翫型を正しく受け継ぐのが中村芝翫だ。
2016年の襲名披露興行でも演じた。
これも観たが、5年経過してうんと良くなったような気がする。分かり易い。それだけ観ている方も入魂できる。

●一つには「陣屋」の前に「御影浜」の場が置かれ、弥陀六<鴈治郎>が陣屋に登場する経緯などが明確になったこと。

●「陣屋」の冒頭に敦盛の母・藤の方<児太郎>が訪ねてきて直実の妻・相模<孝太郎>に匿われるという経緯が置かれる。
襲名披露版ではそこが省かれていたからお客にはなぜ藤の方がいきなり懐剣を持って奥の部屋から出てくるのかが分からなかった。
…と細かい工夫がなされて、成程納得。目から鱗。

芝翫は熱演!児太郎はこれまで随分観ているけど、今回の藤の方はとても良かった。
弥陀六の鴈治郎も強かさを秘め軽さもありで面白い。
一番感心したのは相模を演じた孝太郎だ。
この芝居の主人公は相模かもしれないなと思いながら観入った。
「敦盛」の首を抱えて悲痛な母の思いが胸を打つ。

これまでに観た「熊谷陣屋」の中では一番”筋”が通っていたこともあり、とても楽しめた。

しかし、残念なことに、初日だというのに客席はガラガラだった。


♪2021-123/♪国立劇場-09

2021年11月1日月曜日

東京フィル第960回サントリー定期シリーズ

2021-11-01 @サントリーホール




アンドレア・バッティストーニ:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

トンマーゾ・ベンチョリーニ:フルート*

バッティストーニ:フルート協奏曲「快楽の園」(日本初演)*
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op.64
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J.S.バッハ:無伴奏フルートのための組曲BWV1013からサラバンド*
リスト(バッティストーニ編):『巡礼の年』第2年「イタリア」からサルヴァトール・ローザのカンツォネッタ

前半のバッティストーニ作:フルート協奏曲(日本初演)は、心配したほどややこしい音楽ではなく、楽器も木製?のような柔らかな音色で、初めて聴いたにしては全体として抵抗感はなかった…が再度聴きたいとは思わない。


チャイコフスキーの交響曲第5番は10月22-23(読響-神フィル)の両日に聴いたばかりでいささか辟易していた。


その前2回と異なり、東フィルの編成は、弦が12-10-8-8-6だった。チャイコの5番をこんなコンパクトな編成で聴いた記憶がない。

その割には音圧は高く、輪郭のはっきりした演奏で好感した。

ただし、終楽章の金管の咆哮に対し、流石に弦高域は厚みに欠けた。


さて、なぜか、チャイコ5番は今月中にあと2回聴くことになっている。1か月の間に5回も同じ交響曲を聴くって、取り憑かれている感じだ。


♪2021-098/♪サントリーホール-12