2024年6月24日月曜日

東京フィル第1001回サントリー定期シリーズ

2024-06-24 @サントリーホール



チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
務川慧悟:ピアノ
原田節:オンド・マルトノ

メシアン:トゥーランガリラ交響曲
(トゥランガリーラ交響曲とも)



前回の「カル・ブラ」に続き今回も大ヒット!

「トゥラガリ」は6年5月前の都響に続き2回目。長くクラシックを聴いていてもわずか2回目!

初聴きだった前回も、存外楽しめたが、今日の東フィルの出来は段違いに良かった。

①演奏技術の確かさ。アンサンブルの正確さ。これはチョン・ミョンフンの功績もあるかな。

②今日のサントリーの響の良さが信じられない。
こういう響は5年か10年に一度遭遇するといった感じだ。
それはオケの管弦の交わりの美しさとピアノの響に特によく表れていた。

首都圏最悪のホール、特にピアノの音はトイ・ピアノのような音だと大抵こき下ろしているが、今日のピアノはSTW本来の煌めきがあった(低域はイマイチではあったが)。

どうして?
お客の入り、ホールの乾燥の具合なども関係するだろうが、舞台上手前方にオンマルのスピーカー群が並んだ為に、ピアノは普段の定位置より少し下手寄りだった(指揮台も)。
それによって幸いにも舞台の《最悪のツボ》を外れたのではないか?

③音楽自体、美しくもないし、大して面白くもないのだけど、あれだけ、多種・多量の楽器を鳴らしながら、不快な場面が一度もない。これはメシアンのオーケストレーションの見事さだなあ、と感じ入ったり。

今日の小発見:
ピアノは協奏曲の時と同じ配置だが、今日はその後ろにチェレスタともう一台小型鍵盤楽器が使われた。
あれは何か?編成表にもそれらしいものは見当たらない。

事務局の女性に聞いたら、「ジュ・ドゥ・タンブル」だという。え〜!初耳だぞ!
機能としては「鍵盤グロッケンシュピール」だった。
実際は、この「トゥラガリ」以外にも「魔笛・ダフニスとクロエ・海・マラ7・トゥーランドット」などにも使われているそうだから、当然何度も聴いているのだけど、グロッケンシュピールで代用されていたのかもしれない。

この2台の鍵盤楽器がピアノとユニゾンで旋律を担当する場面が少なからず。その為にピアノが一層煌めいたのかもしれないのだが。

合戦シーンばかり続く映画のバックミュージックのような軽い音楽だが、管弦楽の魅力に溢れている。そして、実に見事な演奏だった。あっぱれ東フィル!


♪2024-090/♪サントリーホール-14

2024年6月22日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第396回定期演奏会

2024-06-22 @みなとみらいホール



小泉和裕:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ベートーべン:「エグモント」序曲 作品84
ベートーべン:交響曲第4番変ロ長調 作品60
ベートーべン:交響曲第7番イ長調 作品92



ベートーベンの交響曲を誰の指揮で一番多く聴いているかと言えば、今日の小泉さんだ。
完全記録のあるこの10年半で12回。
広上さんが11回とほぼ拮抗している。
しかし広上さんは5つのオケにわたっているが、小泉さんの場合は神奈川フィル8回、都響4回と固まっている。

極端な言い方をすれば、昔はともかく、近年の僕のベートーベン交響曲体験は、ほぼ、小泉さんの振る神奈川フィルが核となっている。そして、満遍なく聴いているけど1番だけは聴いていない。お互いが元気なうちに1番も聴いてチクルスを完成させたいね。

そんな事情もあって、この人のベートーベンは安心できる。
もとより、何を振っても外連のない王道の音楽だと思っているが、とりわけ、ベートーベンにはそんな気がする。

今日は、そのベートーベンのみ3本立てで、いずれも良い出来だったと思う。中低域の弦がユニゾンで美しい旋律を奏でる場所が多いが、とても良かった。強いて言うなら管の一部に乱れがあったが、許容範囲だ。

♪2024-089/♪みなとみらいホール-21

2024年6月21日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#24

2024-06-21 @すみだトリフォニーホール



ヤデル・ビニャミーニ:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
小曽根真:ピアノ*

ガーシュウィン(ベネット編):交響的絵画「ポーギーとベス」から
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー*

:ダンソン・ヌメロ・ドス
ガーシュウィン:子守歌
ガーシュウィン:パリのアメリカ人
---------------------------
MO'S NAP*
ポンキエッリ:歌劇「ラ・ジョコンダ」から「時の踊り」


何度も聴いている曲も初めての曲(ダンソン・ヌメロ・ドス/子守歌)も親しみやすくて気楽に楽しめたし、今日も新日フィルは水準の高い演奏だった。

小曽根真のオケ伴曲は何度も聴いているが、ほとんどが、純粋なクラシックで、彼のラプソを聴いたのは初めて。やはり水を得た魚というか、こういうジャンルの方が好き放題に弾けるのではないか。そんな様子だった。

2024-088/♪すみだトリフォニーホール-05

2024年6月18日火曜日

MUZAランチタイムコンサート 6月 ソプラノの歌声をのせて 〜オルガンと馳せる空の彼方〜

2024-06-18 @ミューザ川崎シンフォニーホール



千田寧子:パイプオルガン
内田智子:ソプラノ

ヘンデル:オルガン協奏曲第6番から第1楽章
ヘンデル:歌劇「リナルド」から「私を泣かせてください」
デュリュフレ:組曲 Op.5から前奏曲
<朗読>田中綾乃:詩「讃歌」から
坂本日菜:ソプラノとオルガンのための「讃歌」
Ⅰ空/Ⅱ鳩/Ⅲ風のなかで/Ⅳ星々の香り
カルク=エラート:12の歌から「宵の明星」



ミューザのランチタイムコンサートは、長く、年間セット券で通っている(半分はサボっているが…)。
大抵は小一時間を気楽に楽しめる音楽で構成されているが、今日は違った。

最初のヘンデルの2曲はお馴染みだが、デュリュフレは珍しく、今日の作品は初聴き。坂本日菜やカルク=エラートなんて名前を聞くのも初めて。

私たちは、これをやりたいのです!という感じで、昼時の気楽なお客にも阿らないというか、筋を通したリサイタルという感じだった。

デュリュフレの前奏曲は、オルガンの機能を駆使したような迫力のある作品で、なかなかの聴きものであった。

♪2024-086/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-03

2024年6月16日日曜日

ハマのJACK スペシャル・コンサート ~白熱の室内楽~ソワレ

2024-06-16 @みなとみらいホール
<2024-084と同文>



ピアノ:ナターリア・ミルステイン*
ハマのJACK:弦楽五重奏
 Vn 三又治彦
 Vn 倉冨亮太
 Vc 海野幹雄
 Va 村松龍
 Cb



モーツァルト:オペラ「フィガロの結婚」K.492から序曲
モーツァルト:「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲 K.265(きらきら星変奏曲)
ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 作品11*
----アンコール-----------------
ドビュッシー:「映像」第1集から「水の反映」*



マチネとソワレはいずれもCC+Encを含み、休憩なしの80分ずつくらいあったので、両公演の間に約2時間の長い幕間があったとはいえ、中身の濃い、そして今日の僕には体力的にハードなコンサートだった。

両公演は1回券も売っていたが、多くのお客は通し券だったと思う。

それにしても、お客が少ない。
5割くらいしか入っていなかったのではないか?
実にもったいないことだ。

ハマのHACKは結構魅力的なプログラムをリーズナブルな価格て提供してくれるので、都合がつく限り参加しているけど、イマイチ売れていない。

核となる奏者たちは(今日は白井篤氏は乗っていなかったが)多くがN響奏者で水準は十分に高い。「ハマのJACK」という法人名が漫画ぽくて良くないのではないか。
いっそ、石田組の向こうを張って横浜組とか港組と変えて、一同黒い法被に剃り込み入れたら、もっと集客できると思うがなあ。

昼夜両方で、弦楽五重奏をバックに、バイオリン:水野琴音、ピアノ:桑原志織とナターリア・ミルステインによるモーツァルト、シューマン、ショパンの協奏曲を楽しんだ。

こういう編成だと音楽のスケルトンがよく分かって面白いし新鮮だ。

不思議なこと(でもないかも)に、昼と夜ではピアノの響がだいぶ違った。奏者や音楽の違いによるのではなく、響が違った。夜の方が明るく粒ダチが良かった。聴く側の体調も関係していたのかもしれないが。

♪2024-085/♪みなとみらいホール-20

ハマのJACK スペシャル・コンサート ~白熱の室内楽~マチネ

2024-06-16 @みなとみらいホール



バイオリン:水野琴音*
ピアノ:桑原志織**
ハマのJACK:弦楽五重奏
 Vn 三又治彦
 Vn 倉冨亮太
 Vc 海野幹雄
 Va 村松龍
 Cb 松井理史

モーツァルト:バイオリン協奏曲第5番イ長調 K.219「トルコ風」*
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 Op54**
----アンコール-----------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのためのパルティータ第3番 BWV 1006からジーグ*
シューベルト:即興曲第3番 D899 作品90の3**



マチネとソワレはいずれもCC+Encを含み、休憩なしの80分ずつくらいあったので、両公演の間に約2時間の長い幕間があったとはいえ、中身の濃い、そして今日の僕には体力的にハードなコンサートだった。


両公演は1回券も売っていたが、多くのお客は通し券だったと思う。

それにしても、お客が少ない。
5割くらいしか入っていなかったのではないか?
実にもったいないことだ。

ハマのHACKは結構魅力的なプログラムをリーズナブルな価格て提供してくれるので、都合がつく限り参加しているけど、イマイチ売れていない。

核となる奏者たちは(今日は白井篤氏は乗っていなかったが)多くがN響奏者で水準は十分に高い。「ハマのJACK」という法人名が漫画ぽくて良くないのではないか。
いっそ、石田組の向こうを張って横浜組とか港組と変えて、一同黒い法被に剃り込み入れたら、もっと集客できると思うがなあ。

昼夜両方で、弦楽五重奏をバックに、バイオリン:水野琴音、ピアノ:桑原志織とナターリア・ミルステインによるモーツァルト、シューマン、ショパンの協奏曲を楽しんだ。

こういう編成だと音楽のスケルトンがよく分かって面白いし新鮮だ。

不思議なこと(でもないかも)に、昼と夜ではピアノの響がだいぶ違った。奏者や音楽の違いによるのではなく、響が違った。夜の方が明るく粒ダチが良かった。聴く側の体調も関係していたのかもしれないが。

♪2024-084/♪みなとみらいホール-19

2024年6月15日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 県民名曲シリーズ第21回 〜「第九」初演200周年記念公演〜

2024-06-15 @県民ホール



現田茂夫:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

神奈川ハーモニック・クワイア
独唱者:ノン・クレジット
ダンス:森下真横+森下スタンド ルードヴィヒ5
森下真樹/伊藤奨/黒田勇/中村駿/中村理/山口将太朗

ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125




「第九」初演200年記念はいいけど、フツウーにやって欲しかったよ。

全楽章、コンテンポラリーダンスとやらがオケの前で踊るのだけど、バレエなら所作が美しいから歓迎できるけどコンポラダンスはちっとも美しくない。

終楽章の独唱・合唱も舞台の前でダンサーと一緒に歌う。

ダンスは音楽の邪魔をし、音楽はダンスと遊離し、結局自己満足に過ぎないと思ったよ。

オケの演奏だけをとっても雑だった。
特に管がピリッとしない。

第二楽章の超スローテンポには驚いた。朝比奈隆もビックリだ。
終楽章低弦のレシタも遅く独自なアーティキュレーションに加え、一部音を変えていなかったか?

感心したのは、ノン・クレジットの独唱者(合唱団メンバー)が、舞台最前列で歌ったこともあって、とても明瞭で気持ちよく聴けたことかな。

♪2024-083/♪県民ホール-4

2024年6月12日水曜日

横浜交響楽団 第732回定期演奏会 【アンサンブルの楽しみ】

2024-06-12 @県立音楽堂



平野桂子:指揮
横浜交響楽団

コープランド:市民のためのファンファーレ
R.シュトラウス:13管楽器のための組曲
レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲
 Ⅰイタリアーナ
 Ⅱ宮廷のアリア
 Ⅲシチリアーナ
 Ⅳパッサカリア
ベートーべン:交響曲第7番イ長調 Op.92
-----------------------
シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ




平野桂子さんの指揮で聴くのは2回目。美形だし説明が上手なので楽しみにしていたが、今日は楽曲説明が2曲終わってからという変則だった。

そもそもプログラムが変わっている。

①金管11+打3 によるファンファーレ
②金管(Hrのみ)4+木管9 による組曲
③弦楽合奏
までが前半。
後半がベートーベン7番で、ようやく管打弦が揃った。

アンコールが
打(Tymp)+弦楽

これなら、いっそベト7やめて、ショスタコのピアノ協奏曲第1番(しか思いつかないが。独奏ピアノ+トランペット1+弦5部)のような変則編成のものばかり組み合わせたら面白かったのにな。

①はずいぶん久しぶり。
②は初聴き、だった。
この2本の出来はアマチュアらしい?仕上がりだったが、驚いたのは③で、一番ボロが出てしまうのではないかと思った弦楽合奏が、何ときれいなこと。特にビオラは終始高水準を保った。バイオリン群も一部高域に乱れがあったが、横響の弦がかくも上出来だったのは初めて…と言えば失礼かもしれないが、いつもこのレベルで聴きたいよ。

メインのベト7は、それまでに各部の直前リハを済ませてからの合奏なので?前半はとても良かった。3-4楽章のリズミカルな楽章はどうだったか。技術的にも合わせるのが難しいのかな、と思いながら聴いたよ。

♪2024-082/♪県立音楽堂-05

神奈川フィル”ブランチ”ハーモニーin かなっく 〜 木管五重奏 〜

2024-06-12 @かなっくホール



フルート:江川説子
オーボエ:古山真里江
クラリネット:安藤友香理
ファゴット:鈴木一成
ホルン:戸田大貴
----------------------
榊原徹(司会/神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽主幹)

ビゼー(ワルター編曲):「カルメン」組曲から“トレアドール”
◆トーク/楽器紹介◆
山の音楽家じゅんばん協奏曲
アメリカ民謡:わらの中の七面鳥
映画マイ・フェア・レディから「踊り明かそう」
久石譲(大森洋一編):スタジオ・ジブリ・メドレー
S.ジョップリン:ジ・エンターティナー
美空ひばりメドレー
------------------------
ファルカシュ:17世紀の古いハンガリー部曲集から最終楽章



今日は、ホルンは首席の坂東ちゃんが予定されていたが、体調不良で交代した。しかし、今日の戸田くんというのもなかなか上手だった。
木管はいつも弦の後ろに並んでいて、1階席からは見えにくいので、今日のメンバーではフルートの江川さん、オーボエの古山さんしか名前と顔は一致しなかった。

みんな上手で、気楽な音楽を楽しんだが、1曲くらい”固い”のがあっても良かったな。

余談:このシリーズで《金管》五重奏も何度か聴いているが、ここでもホルンは欠かせない。というか、本来入るべき楽器だが、《木管》五重奏にもホルンは当然のように入っている。歴史的にもそういう編成の作品が書かれているからだろう。バスクラとかバリトンサックスでもよいのではないかと思うが、そういう編成は聴いたことがない。

♪2024-081/♪かなっくホール-02

2024年6月8日土曜日

NHK交響楽団2013回A定期 06月公演

2024-06-08 @NHKホール



原田慶太楼:指揮
NHK交響楽団
反田恭平:ピアノ*

スクリャービン:夢想 作品24
スクリャービン:ピアノ協奏曲嬰ヘ短調 作品20*
スクリャービン:交響曲第2番ハ短調 作品29
---------------------
グリーグ:抒情小曲集から「トロルハウゲンの婚礼の日」*




プログラムは全部スクリャービン。
好きじゃないよ。
もう、あまり長生きもできないから、何人かの作曲家は聴かずともいいと思っている、その1人だ。

おまけに日フィルに続いてハシゴしたので、結構疲れていた。

しかし、「夢想」は寝る間もない短さで、これはちゃんと聴いた。ま、悪くない。

Pf協奏曲は18年にN響で聴いたが、全く覚えていなかった。ピアノが当然のように忙しく活躍する。第2楽章の頭を別にすればずっと弾きっぱなし。それもかなり元気の良い音楽で、反田君がエネルギッシュに弾いたので、ここでも寝る間もなかった。
毛嫌いせずに聴くと案外楽しめるのかな、と思いを新たにして前半が終わった。

しかし、後半の交響曲第2番。これは完全に初聴き。
う〜む。よく分からないままに終わってしまったな。

スクリャービンの交響曲では3番と4番は2-3回聴いたことがあって、いずれも調性のある案外聴きやすい音楽だったと記憶しているが、今日の2番はダメだ。全然乗っていけなかった。

1-2楽章と4-5楽章は続けて演奏されるそうだが、そのせいもあって、途中で迷子になってしまった。

体調が良ければ、案外着いてゆけたかもしれないのだけど。

♪2024-080/♪NHKホール-05

日本フィルハーモニー交響楽団 第761回東京定期演奏会

2024-06-08 @サントリーホール



大植英次:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
信末碩才:ホルン(首席奏者)

ベルク:管弦楽のための3つの小品 op.6
(リーア編曲:室内アンサンブル版)
R.シュトラウス:ホルン協奏曲第2番変ホ長調 TrV283
ドボルザーク:交響曲第7番ニ短調 op.70 B.141



ベルクは初聴きかと思ったら、19年に東響で聴いていたよ。でも全く覚えていない。尤も、その時は管弦楽版で、今日の室内アンサンブル版ではなかった。この版では日本初演だそうだから当然聴いてはいない。

しかし、なんでこういう編曲をしたのだろう。
弦5部は各部2人ずつ(計10人)だが、管打鍵の多いこと。奏者の数だけで23人だ。各自はいろんな楽器を持ち替えるので楽器の編成としてはさらに大きい。ティンパニーは2組。大小太鼓、銅鑼にハンマーまであった。ピアノにチェレスタ、マリンバ、シロフォン等々。

こんな大編成にしては弦が非力すぎる。そこが狙いなのだろうが、そもそも馴染みにくい音楽ということもあって、全然楽しめず。

その他は聴き慣れた音楽だけど、振替席で2階LBだったので、落ち着いて聴くことができなかった。見える景色が違うと聴き方に戸惑ってしまう。
大植ちゃんは好きな指揮者だけど、ドヤ顔するほどコントロールしていたようには見えなかった。
秋山御大の代役だし、やむを得なかったかな。


普段は1Fのど真ん中辺りで聴いている。

今日は、家のステレオでわざわざ左スピーカーの前で聴くようなもので、落ち着かなくて困った。
ただ、心配したほど違和感はなく、視覚が補ってくれるので各楽器の音がそれぞれの位置から聴こえてくるような気がする(そんなはずはないけど。)。

普段なら、下手高域弦の鳴り方や管と弦の混ざり具合などが気になるのだけど、2階のLBではもう混ざって出来上がった音として聴こえてくるので、これでもいいか、という気になる。いや、よくはないのだけど。今日はやむを得ない。

♪2024-079/♪サントリーホール-12

2024年6月4日火曜日

東京都交響楽団 第1000回 定期演奏会Bシリーズ

2024-06-04 @サントリーホール



エリアフ・インバル:指揮
東京都交響楽団

【定期演奏会1000回記念シリーズ⑤】
【ブルックナー生誕200年記念】
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB109
(2021-22年SPCM版第4楽章付き)[日本初演]



都響の定期1000回記念シリーズの真骨頂、今日が本当の1000回目。という訳で大作が選ばれたのだろう(N響2000回に比べるとちとお粗末だけど。)。

ブルックナーの9番は珍しくない(全10作中一番聴いた回数が多い!)が、未完成の本作の演奏に当たっては、完成された3楽章までを演奏するものがほとんどで、稀に作曲家本人が指示したという自作の「テ・デウム」を続けて演奏したものも聴いたことがある。

今日は、4人(そのイニシャルがSPCM)が補筆して完成したという第4楽章も続けて演奏された(日本初演)。
これがプログラム上23分と予定されており、本編1-3楽章と合わせて約83分という長尺となった。

1000回記念ということで力が入っていたのか、今日も当然のように弦16型の大編成だったが、冒頭の響がとても美しい。いや初めだけでなく、最後までアンサンブルの良さは崩れなかった。
大編成の都響がサントリーで演奏しているとは思えないほど聴き応えのあるアンサンブルだった。

ほぼ全編大袈裟で刺激的で賑やかで長い、というのは困ったものだけど。

今年88歳のインバルの矍鑠としていること!
今日の上出来はこの人の牽引力だったのかな。

♪2024-078/♪サントリーホール-11

新国立劇場オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」

2024-06-04 @新国立劇場



【指揮】飯森範親
【演出】ダミアーノ・ミキエレット
【美術/衣裳】パオロ・ファンティン
【照明】アレッサンドロ・カルレッティ
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

フィオルディリージ⇒セレーナ・ガンベローニ
ドラベッラ⇒ダニエラ・ピーニ
デスピーナ⇒九嶋香奈枝
フェルランド⇒ホエル・プリエト
グリエルモ⇒大西宇宙
ドン・アルフォンソ⇒フィリッポ・モラーチェ

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:
歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間30分
第Ⅰ幕
 90分
 --休憩30分--
第Ⅱ幕
 90分




「コジ〜」を初めて観たのは40年以上前。それが初めての日生劇場オペラだった。つまらなかった。
以後、何度も観ているしビデオも数種類あるが、ほぼすべて話に腑に落ちない。どんなに演出に工夫をしても台本を変えられない以上、話が腑に落ちるはずがない。

とはいえ、実は、過去に観た中で一番腑に落ちそうなのが新国立劇場の2011年以降今回に至る演出だ。2013年から観たのだけど、11年も前の舞台を細部まで覚えていないけど基本的に同じに再現されていたと思う。

D.ミキエレットの演出だけは、やや腑に落ちるというのは、結末が、そりゃそうでしょう、そうでなくちゃ、という気にさせるから。
つまり、圧倒的多数の演出が、最後強引にめでたしめでたしで終わらせるのに対して、この演出では、4人の男女が気持ちを収めることができずバラバラに舞台をさってゆくのだ。
同じ台本を使いながらよくまあ、こんな始末の付け方が不自然さもなくできたものだと感心するが、人間ドラマとしては当然だ。

設定は、本来の18世紀のナポリから現代のキャンプ場に変更された。
それで大きな破綻はなかったものの、なぜわざわざ設定を変える必要があったかは見えてこなかった。

今回は、歌手陣が良かった。
特に大西くんと九嶋ちゃんの大健闘が素晴らしい。海外勢以上の魅力・迫力だ。
13年の公演では姉妹2人が傑出していたと記憶しているが、今回はちょっと地味だったな。

おかげで、久しぶりにモーツァルトの才能をとことん味わった気がする。なんて素晴らしいオペラだ。

しかし、演出には工夫が必要。
今後も万事めでたしなんてやっていたら、いずれ女権拡張活動家に上演禁止を求められると思うよ。

♪2024-077/♪新国立劇場-08