2019年4月17日水曜日

新国立劇場オペラ『フィレンツェの悲劇』/『ジャンニ・スキッキ』

2019-04-17 @新国立劇場


指揮:沼尻竜典
演出:粟國淳
美術:横田あつみ
衣裳:増田恵美
照明:大島祐夫
舞台監督:斉藤美穂

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

<フィレンツェの悲劇>
グイード・バルディ⇒ヴゼヴォロド・グリヴノフ
シモーネ⇒セルゲイ・レイフェルクス
ビアンカ⇒齊藤純子

<ジャンニ・スキッキ>
ジャンニ・スキッキ⇒カルロス・アルバレス
ラウレッタ⇒砂川涼子
ツィータ⇒寺谷千枝子
リヌッチョ⇒村上敏明
ゲラルド⇒青地英幸
ネッラ⇒針生美智子
ゲラルディーノ⇒吉原圭子
ベット・ディ・シーニャ⇒志村文彦
シモーネ⇒大塚博章
マルコ⇒吉川健一
チェスカ⇒中島郁子
スピネッロッチョ先生⇒鹿野由之
アマンティオ・ディ・ニコーラオ⇒大久保光哉
ピネッリーノ⇒高橋正尚
グッチョ⇒水野秀樹

アレクサンダー・ツェムリンスキー:
「フィレンツェの悲劇」全1幕<ドイツ語上演/字幕付>

ジャコモ・プッチーニ:
「ジャンニ・スキッキ」/全1幕<イタリア語上演/字幕付>

予定上演時間:約2時間25分
フィレンツェの悲劇60分
 --休憩25分--
ジャンニ・スキッキ60分

いずれも上演時間が1時間程度の短いオペラの2本立てだ。ダブル・ビルdouble billというそうだ。
大野和士新音楽監督の意向で今後1年おきにダブル・ビル公演を行うとか。

そういえば、プッチーニの<三部作>も本来は3本立て公演を意図されたもので、この中に「ジャンニ・スキッキ」も含まれている(残りは「外套」、「修道女アンジェリカ」)。これはトリプル・ビルということか。
二期会が昨年この本来形で公演をしたらしいが、1日で3作は歌手たちも大変だが、お客も疲れる。

今回の新国立劇場の公演は、2本に絞り、性格(悲劇と喜劇)も出演者数(3人と15人)も異なるが、いずれもフィレンツェを舞台にしたほぼ同年代(1916年と1918年)の作品ということで、その好対照を楽しむことができるよう意図されている。

「フィレンツェの悲劇」は初めて観た。
ツェムリンスキーの音楽はナマではこれまでに2作品(交響詩《人魚姫》、抒情交響曲〜ラビンドラナート・タゴールの詩による7つの歌)を聴いているが、いずれもあまり面白くはなかった。この2作とも大野和士指揮都響で聴いているのは偶然ではなかろう。
という次第で、あまり期待をかけていなかった「フィレンツェの悲劇」だが、これがなかなか面白い。音楽はプッチーニと同時代とは思えないモダンな感じで必ずしも馴染めないが、物語が面白い。家に帰った男は、妻が浮気相手を連れ込んでいるのを知り、決闘によって彼を殺し、次はお前だ、と妻の首を絞めるが…。ラストの思いがけない展開が面白い。間男にとっては「悲劇」であったが夫婦にとっては「悲劇」とはいえないから、このタイトルの意味するところはよく分からないが。

「ジャンニ・スキッキ」はもうお馴染み。例の「私のお父さん」という大ヒットアリアがある。15人も登場して雑駁な印象を受ける物語だ。好みのソプラノ、砂川涼子がラウレッタを演じ「私のお父さん」を歌った。これはとても良かった。
が、プッチーニの中ではさほど重要な作品とも思えない。
彼が<三部作>の1本として作曲したように、映画で言えばプログラム・ピクチャー程度のものではないか。
ま、気軽に楽しめる作品ではあるが。

♪2019-049/♪新国立劇場-04