2019年4月7日日曜日

東京・春・音楽祭-2019-歌劇「さまよえるオランダ人」

2019-04-07 @東京文化会館


ダーヴィト・アフカム:指揮
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ

ブリン・ターフェル:オランダ人(バス・バリトン)
イェンス=エリック・オースボー:ダーラント(バス)
リカルダ・メルベート:ゼンタ(ソプラノ)
ペーター・ザイフェルト:エリック(テノール)
アウラ・ツワロフスカ:マリー(メゾ・ソプラノ)
コスミン・イフリム:舵手(テノール)
ほか

ワーグナー:オペラ「さまよえるオランダ人」
演奏会形式
全3幕〈ドイツ語上演/字幕・映像付き〉  

予定上演時間:約2時間45分
第Ⅰ幕50分
 --休憩30分--
第Ⅱ幕・第Ⅲ幕85分

帰宅後も頭の中はオランダ人の動機が鳴り止まない。

ブリン・ターフェル(オランダ人)やピーター・ザイフェルト(エリック)もワーグナー物の映像でよく観ているが生では聴いたことがなかった。
舞台に接したのはリカルダ・メルベート(ゼンタ)だけで、彼女は新国立劇場で「ジークフリート」(ブリュンヒルデ)、「ばらの騎士」(元帥夫人)、「フィデリオ」(レオノーレ)を観ている。いわばおなじみ様で好感度の高いソプラノだ。彼女の歌をまたもや聴けるのが、「オランダ人」の一番の楽しみだった。

が、幕が上がってみると、やはりみんな世界一流のワーグナー歌手である。彼女だけでなくターフェル、ザイフェルト、そして急遽の代役で登場したオースボーも全員素晴らしいので、当たり前とはいえ、期待以上で驚いた。

加えて席にも恵まれた。なにしろ、5列目のセンターだ。
新国立劇場では最前列で聴いたこともあるが、今回は、演奏会形式なのでピットがない分舞台が近い。10mと離れていなかっただろう。歌手の微かな息音まで明瞭に聴き取れる一方、人間トランペットか人間トロンボーンかと思うくらいの特大声量は耳を劈(つんざ)くようでもある。

N響も合唱も期待以上の出来だ。
オケの演奏は一桁列では聴きたくないなあと、この点に関しては選んだ席に不安があったが杞憂だった。奥行きを持たせた舞台のせいもあったかもしれないが、さすがのN響は弦もきれいな響きを聴かせた。

クライマックスの終幕が、音楽的にもとりわけ迫力があった。オケ、合唱、声楽独唱陣がいやが上にも不安や焦燥を掻き立て、ついには救済の安息へ。いやはやこんなに凄い舞台になるとは予想外。

これまで映像ディスクでの鑑賞はしていたが、イマイチ入魂できずにいた「オランダ人」。
筋はともかく若いワーグナーの分かりやすい音楽がとても親しめたのも収穫なり。

♪2019-44/♪東京文化会館-04