2018-01-08 @ミューザ川崎シンフォニーホール
宮田大:チェロ
ジュリアン・ジュルネ:ピアノ
カサド:愛の言葉
ベートーベン:モーツァルト「魔笛」の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲変ホ長調 WoO46
ファリャ:スペイン民謡組曲(M.マレシャルによるチェロとピアノ用編曲全6曲)
同 :バレエ音楽「恋は魔術師」(小林幸太郎によるチェロとピアノ用編曲全7曲)
ピアソラ:リベルタンゴ(伊賀拓郎によるチェロとピアノ用編曲)
カプースチン:チェロ・ソナタ第2番 作品84
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フォーレ:夢のあとに
久石譲:おくりびと
カプースチン:ブルレスク
今年最初のコンサートだ。宮田大も今年最初のコンサートだと言っていた。聴く方も演奏する方も、松の内が過ぎていよいよ本格始動だ。
日本人チェリストの中で、宮田大は各オケの定期でチェロ協奏曲のソリストとして聴く機会が多いので、そのチェロの音色の美しさをいつも楽しみながら聴いている。
今回は、リサイタル形式で、こういう形で聴くのは初めてだ。
しかも、ミューザのアフタヌーン・コンサートのシリーズでは室内楽などの小規模音楽を聴くには絶好の席を確保しているので一層期待が大きい。
今日のプログラムはベートーベンからカプースチンまで幅が広い。
時間的には19世紀から21世紀まで。
空間的には、ドイツ音楽から、カサド、ファリャ(スペイン人)、ピアソラ(アルゼンチン人)といったラテン系の音楽にカプースチンは今なお現役のウクライナの作曲家だ。
音楽形式では古典的な変奏曲、フラメンコ風な民謡やバレエ音楽、タンゴ、そしてクラシック音楽の形を借りたジャズ。
…と、実に多彩な構成だ。宮田も冒頭観客に向かって「チェロという楽器の魅力を十分に味わってほしい。」と言っていたが、まさにチェロ音楽小百科というべきか。
そしていずれも楽しめた。やはり音がいい。ホンの近くでチェロに正対する席なので、まるで自分のために弾いてくれているようなものだ。時にヤニが飛ぶようなギリギリ、ブルブルと低弦が震えるかと思うと、最弱音の高域のハーモニクスまでそれぞれに美しい。
しかも、一曲入魂。1曲弾き終える毎に袖に引っ込んだが、相当汗をかいていたから顔を拭ったり水分補給したりしていたのだろう。
今日は、ロビーに録画のカメラが入るという掲示があり、ホール内の1階上手最後列の後ろと舞台後方のオルガンの下手にビデオカメラが備えられていた。内容は分からないけど宮田大のドキュメンタリーを制作するらしい。そういうこともあったのだろうが、まさに全篇、全力投球という感じで、実に満腹感を味わえる2時間だった。
アンコールも3曲弾いてくれたが、中でもフォーレの「夢のあとに」は大好きで、大昔、自分でもチェロを弾いていた時、原調ハ短調では高くて(♭♭♭も苦手)、イ短調に移調して弾いたものだ。元は声楽で、器楽編曲ではバイオリンもあるが、やはりこれはチェロの哀愁を帯びた音色の方が似合っていると思う。
♪2018-001/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-01