指揮⇒アルフレート・エシュヴェ
演出⇒ハインツ・ツェドニク
美術・衣裳⇒オラフ・ツォンベック
振付⇒マリア・ルイーズ・ヤスカ
照明⇒立田雄士
合唱⇒新国立劇場合唱団
管弦楽⇒東京交響楽団
ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン⇒アドリアン・エレート
フランク⇒ハンス・ペーター・カンマーラ
オルロフスキー公爵⇒ステファニー・アタナソフ
アルフレード⇒村上公太
ファルケ博士⇒クレメンス・ザンダー
アデーレ⇒ジェニファー・オローリン
ブリント博士⇒大久保光哉
フロッシュ⇒フランツ・スラーダ
イーダ⇒鵜木絵里
J.シュトラウスⅡ:全3幕〈ドイツ語上演/字幕付〉
昨秋、日生劇場で観た二期会の「こうもり」も楽しめたけど、あれやこれや演出や舞台美術の面で不満が残った。ナマの舞台としてはその時が初めてだったので、まあ、こんなものなのかもなあ…と飲み込んでおいたのだけど、今日は、なんたって新国立での公演だ。少なくとも二期会公演を上回ることを期待して臨んだが、いやはやその違いは大きかった。
歌唱力の違いはよく分からないが、舞台のセットや衣裳、美術全般がだいぶ違う。よくできている。
なにより違いを感じたのは演出の巧さだ。オペラはやっぱり演出の比重が高い。とりわけ、「こうもり」のような作品はセリフ劇の要素が強く、ストレート・プレイとしての喜劇に近いので、演ずる役者たちも歌が巧いだけでは務まらない。また、第3幕で重要な役割を果たす看守のフロッシュには歌が無い。この為に同役は歌手ではなく喜劇役者が演ずることが多い(本公演でもこの役は俳優が、二期会の公演ではイッセー尾形が、それぞれ演じた。)そうだ。
「喜歌劇」とか「オペレッタ」とも呼ばれる分野の作品がいずれも「こうもり」のような性格なのかどうかは知らないけど、少なくとも「こうもり」は<芝居>の要素が強い。それだけに演出の巧拙がオペラとしても出来栄えを左右するのだろう。
その芝居もコントのような部分が多く、第3幕は爆笑モノだった。この辺の芝居は二期会のものとはぜんぜん異なる。手持ちのウィーン歌劇場のビデオとも異なる。まさにどんな芝居にするかは演出次第なのだ。
喜劇としてもとても楽しめるが、やはり音楽がいい。
ロザリンデの元愛人アルフレードはテノール歌手という役どころなので、劇中「星は光ぬ」を歌ったりするのも面白い。
第1幕の中ほどのロザリンデ、アイゼンシュタイン、アデーレの三重唱は悲しげで美しいメロディーだ。3人共今夜のパーティに行くことは隠して心にもない嘆きを歌うが、段々と本音が出てきて陽気な音楽に変わってゆくところも傑作だ。
ともかく、オペラでこんなに笑ったことは初めて。
この演出、この歌手・役者でもう一度観たいものだ。
♪2018-009/♪新国立劇場-01