2016年2月6日土曜日

読響第85回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2016-02-06 @みなとみらいホール


シルヴァン・カンブルラン:指揮
辻井伸行:ピアノ*
読売日本交響楽団

デュティユー:音色、空間、運動 
ベートーベン:ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15
ベートーベン:交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
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アンコール(ピアノソロ)*
ベートーベン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調第1楽章


全盲のピアニストは辻井くんのほかにも聴いた経験があるが、その度思うのは、彼らの心の中には何が見えているのだろう。
ひょっとして目明きには見ることが難しい「音楽」そのものが写っているのだろうか。

協奏曲も良かったが、アンコールは月光第1楽章。
これは辻井くん!反則じゃないの。
そうでなくとも全盲というハンデを持った若者で見かけも愛嬌があって、見事な演奏を終えると万雷の拍手に応えて腰を90度以上に曲げて三方、四方にお礼をする姿を見て、十分感動せざるを得ないところに、よりによって「月光」のアルペジオが始まったのでは、会場の観客も舞台のオケの団員もみんなやられてしまうが必然。

夜空と化したみなとみらいホールの天井には満月が出て、薄暗い客席を明るく照らし、しばし天国に誘われた如しであった。

ホンにコンテンツ(音楽)はストーリーを纏い、美しく膨らんだストーリーに人々は共感する。
音楽の本質とは離れたところに感動することがしばしばあるのは要注意だ。
辻井くんのような感動的ストーリーを身に纏った場合は、コンテンツが正しく見えなくなり易いかもしれない。

先日、東響の「田園」で今更ながらその良さを再発見した思いがしたが、読響はさすがの力量を見せつけて一段格上の仕上がり。

今日の読響定期は、常任指揮者のカンブルラン、久々登場の日下紗矢子コンマス、辻井くんと役者が揃ったことあって大いに盛り上がった至福の2時間だったが、おかげであらためてベートーベンの魅力を堪能した。


♪2016-014/♪みなとみらいホール-04