2016年2月15日月曜日

劇団民藝:光の国から僕らのために―金城哲夫伝―

2016-02-15 @紀伊國屋サザンシアター


光の国から僕らのために―金城哲夫伝―

金城哲夫⇒齊藤尊史
上原正三⇒みやざこ夏穂
円谷一⇒千葉茂則
満田かずほ⇒岡山甫
金城裕子⇒桜井明美
ヘリのパイロット(航空自衛隊)⇒平野尚
ディレクター⇒本廣真吾
娘たち⇒いまむら小穂、望月香奈、大黒谷まい、榊乃つぐみ、竹本瞳子
海洋博の主催者たち⇒本廣真吾、大野裕生
青年(文学部の学生)⇒細山誉也
 ほか


主人公の金城哲夫という人は、かつて円谷プロが制作したTVドラマ「ウルトラマン」の中心的スタッフだったそうだ。
沖縄から上京し、若くして円谷プロ企画文芸室長(といっても小規模プロダクションではどれほどの意味があるポストなのか分からない。)に就いて、シリーズの企画、構成、メインライターを担当した。69年、ブームに陰りが見えてきたとはいえ、金城自身はシナリオライターとして一定の地位を築いていたが、その仕事に見切りをつけて故郷の沖縄に戻ったのは30歳そこそこだった。
沖縄でも沖縄芝居を書いたり、海洋博の演出なども手がけて活躍したが、酒で心と身体を壊し、家の2階から転落死したそうだ。享年37歳。

この芝居は、そのような事情を背景に金城哲夫の生きざまを描くのだけど、正直なところ、ピンとくるものはなんにもなかった。
どこか、金城の人間性に軽薄な印象がまとわりついて吹っ切れない。

ウチナンチュウとヤマトンチュウの心の壁、沖縄戦、長いアメリカ統治なども投入されるのだけど、これ自身がすでにステロタイプだ。物語のどこに焦点があるのか分からない。
それは金城哲夫そのものの腰の定まらない生き方を反映しているようでもあり、主人公への共感が少しも深まらないのだ。

ありふれた小さな話を「沖縄」という悲劇的な土壌にかぶせて話を無理に大きくした感がある。

大城立裕という沖縄出身の芥川賞作家がプログラムに寄稿していた好意的な批判が的を射ていたように思った。
「君の愛郷心は机上のものにとどまった節がある。あと一皮も二皮もむける必要があったと、僕は見ている」。



♪2015-019/♪紀伊國屋サザンシアター-01