2015年11月2日月曜日

東京都交響楽団第797回 定期演奏会Bシリーズ

2015-11-02 @サントリーホール


大野和士:指揮

ワディム・レーピン:バイオリン
イルゼ・エーレンス:ソプラノ*
スザンヌ・エルマーク:ソプラノ*

ラヴェル:スペイン狂詩曲
プロコフィエフ:バイオリン協奏曲第2番 ト短調 op.63
[都響創立50周年記念委嘱作品・世界初演]
細川俊夫:嵐のあとに - 2人のソプラノとオーケストラのための(2015)*
ドビュッシー:交響詩《海》-3つの交響的スケッチ


プロコフィエフはオーケストラの定期演奏会ではしばしば取り上げられるので、代表曲はたいてい聴いているし、今日のバイオリン協奏曲第2番は昨年のN響定期でコパチンスカヤというちょっと風変わりで印象に残ったバイオリンで聴いているが、その時も、音楽自体はあまり楽しめなかった。どうも、調性拡大音楽というのが肌に合わない。
この第2番(第1番も似たような調子だけど)は、ト短調という調性があり、冒頭のメロディは耳に馴染んでいるのだけどとても暗く、別のところで登場する旋律も全部が押し込められた雰囲気で、賑やかなのに鬱屈したイメージのまま終曲して、僕にはカタルシスが得られない。
バイオリニストにとっては弾きがいのある作品かもしれない。
いつか好きになるだろうか…。

「嵐のあとに」は、まさに現代の、現在の作曲家による作品で、今日が世界初演だ。
7月にも神奈川フィルで同氏の「冥想」という管弦楽曲を聴いたがこれは日本初演ということだった(たぶん、同時に世界初演だったのだろう。)。

「瞑想」も、東日本大震災を受けて、人々の祈りを主題にしたものであったと思うが、「嵐のあとに」も同様で、今こうして書きながら気がついたが、「嵐」は3.11を指すのだろう。

非常に精密に作られた音楽というのか、持続する音の集合体といった方がピッタリするが、ちょうど、前回の都響の定期でリゲティやシェーンベルクの合唱曲を聴いたばかりで超不協和音に対する抵抗力が付いてきたか、不思議にすんなりと聴くことができた。

前半はオーケストラのみで短いフレーズが繰り返されながら段々と重層化して爆発し、後半ソプラノによるヘッセの詩「嵐のあとの花」に付けた歌が続く。
2人のソプラノが音程の取りにくい歌?をきちんと発声し、オーケストラもとても精密な音楽を奏でて、20分近い長さを感じさせなかった。


いよいよメインプログラムはドビュッシーの「海」だ。
ここでは都響が持てる力を思い切り発揮したのではないか。
多彩で大規模な管弦楽が海の三態を精妙な音楽で聴かせる。
オケの実力がホンに試される作品だと思うが、これを安心して聴いておられるのは幸福なことだ。


♪2015-109/♪サントリーホール-06