2015年11月14日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第312回横浜定期演奏会

2015-11-14 @県民ホール


ピエタリ・インキネン[首席客演指揮者]:指揮

ピエタリ・インキネン:バイオリン*
扇谷泰朋[ソロ・コンサートマスター]:バイオリン*

シベリウス:歴史的情景第2番
J.S.バッハ:2挺のバイオリンのための協奏曲*
チャイコフスキー:交響曲第5番
---------------
アンコール
シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ

日フィル横浜定期の会場はみなとみらいホールなのだけど、どういう訳か今回だけ県民ホールだった。特に大規模な合唱団が加わるという事情もなかったし、会場変更の説明はとくに行われなかったが、みなとみらいホールのコンサートカレンダーを見ると今日と明日の2日間、「全日本高等学校吹奏楽大会 in 横浜」というコンクールが開かれているので、これにダブって会場変更になったのだろう。

その結果、というべきかどうかは断言できないけど、日フィルの「実力」に対する疑問が湧いてきたコンサートになった。

映画は冒頭の10分が勝負だ。10分程度は面白くなくとも我慢できる。それを超えても興味を惹かれなければその後はネガティヴな思いが支配的になってしまう。その間にキュッと気持ちを掴まれるとその後の進展がはかばかしくなくともなんとか好意的に観続けることができる。

しかし、コンサートは違う。
最初の第一声(音?)が大切で、ここでキュッと気持ちを掴んでくれないともうその先は残念感で一杯になる。

今日の日フィルの第一声はそんな非力な響から始まった。そして、これは僕の気持ちがもうそういう不信感で満ちているためもあったろうけど、最後まで気分が乗れなかった。

弦の響がざわついている。スッキリとした透明感がない。
高音部になると干渉縞のような濁りが交じる。
となると、弱音における繊細さも強奏部分の重厚感も不足する。

いつも、みなとみらいホールではまろやかな艶のある音なのだけど、一体どうしたものか。

聴いた席は、会場が変わったため似たような場所に振り替えられたけど、みなとみらいホールよりもむしろ音響的には好条件(のはず)の場所だった。

外は雨でホールの中も少しは湿気があったのだろうか?
いや、温湿度の管理はやっているはずだけどなあ。

ま、弦楽器の共鳴効果が十分働いていなかったのはピッチの甘さが原因なのか(まさか!)、会場内が湿っていたせいなのかよく分からないが、元々みなとみらいホールに比べて残響時間が短いので、音響のまろやかさには欠ける。
ごまかしが効かないとも言える。
でも、ホールの残響の長短は聴く人の好きずきで、音楽によっては原音のガリガリ感が好ましい場合もある。

そんな次第で、みなとみらいホールでは気が付かなかった弦セクションの不安定感を感じてしまったのは良かったのか悪かったのか。これからも日フィルを聴き続けるつもりだけど、いよいよもって第一声を気にすることになるか…。

シベリウスに「歴史的情景」という作品があるとは知らなかった。それも第2番というからには2曲ある訳だ。少なくとも今日の第2番は<楽章>とは明記されていないが、3つの小品で構成されていた。
あまり引き込まれなかったのは、音楽というより音に引っかかりが生じたせいもある。

指揮のインキネンはフィンランドの出身だから、得意にしているようで、帰宅後どんな音楽だったか反芻したいと思ってAmazonをチェックしたら彼の指揮によるCDを見つけたが、各曲45秒ずつの試聴では全然思い出せなかった。

J.S.バッハの2つのバイオリンのための協奏曲(弦5部とハープシコード)ではインキネン自身がソロ・コンマスの扇屋とともにソロバイオリンを受け持ち、弾き振りというのか半端ではない腕前を聴かせてくれた。

チャイコの5番では、やや野性味が欠けた。特に終楽章。
実は、明日も、N響で同じ曲を聴く。違いを聴き分けるのも楽しみだ。

♪2015-112/♪県民ホール-03