2015-11-26 @みなとみらいホール
地方予選を勝ち抜いてきた高校生13人
ピアノ部門高校の部入賞者
第1位 尼子裕貴(あまこ・ゆうき)
第2位 平間今日志郎(ひらま・きょうしろう)
第3位 大野志門(おおの・しもん)
第3位 波田紗也歌(はだ・さやか)
横浜市民賞 平間今日志郎(さなだ・たいせい)
全日本学生コンクールの全国大会がみなとみらいホールで開催されるようになったのが2007年の第61回大会からで、その時から、コンクールの顕彰1~3位とは別に、聴衆賞である「横浜市民賞が」各部門毎に1人、贈られることになった。
それを選定するのが、横浜市民賞選定員だ。各部門は20名程度。多数の部門を兼ねることも可能だ。
選定員になるには何の資格も不要(横浜市在住が条件だったかも。)で、なりたいものが手を上げて応募し、年齢層や性別、地域などのバランスはとっているのかもしれないが、詳しいことは分からない。その上で、多数の場合は多分抽選だろう。
まあ、音楽好きで暇のあるものでないと勤まらないが、僕は今年で4年連続して応募し、選定員になっているのだから、大した競争率ではないらしい。
以前は複数の部門を担当したが、今年はピアノ部門高校の部だけになった。他の予定と重なって参加できなかった。特にフルート部門は過去3年間ずっと聴いてきていたので是非とも参加したかったが残念だった。
ピアノとバイオリン部門は、小学校~中学校~高校の部に分かれており、フルートは中学校~高校、声楽は高校~大学に分かれている。
全国大会であるから地方予選を勝ち抜いてきた子どもたちばかりだけど、同じ部門に毎年参加する(参加できる実力を持っているということだが)子供もいて、選定員として連続参加していると、顔なじみもできて、心の中では応援したくなる。
ま、そういう事情で選ぶ訳ではないのであって、「演奏に感動したこと。もう一度聴きたいと思ったこと」というのが基準だと説明されているが、これはとても曖昧で、実際は選ぶとなると非常に難しい。
しかし、全員の演奏を聴き終えて(今回は13人)、各自1票を投ずるのだが、主観的な基準ではあっても投票結果を見ると、必ずしも自分の選択した子供が選ばれなかったとしても、なるほど彼も良かったなというところに落ち着くのが面白い。
今回は、いやいつもだけど、真剣に聴いた。
大げさに言えば、自分の音楽性が試されているようなものだった。
高校生ともなると、技術的には完璧に聴こえる。
ピアノ部門だけに限っても、中村紘子、野島稔、小山実稚恵、仲道祐子、横山幸雄などを輩出しているのだから、音楽表現においてもレベルの高さは素人好事家である選定員を遥かに上回っているはずで、ここで、感動の素を手繰り当てるのは、やはり自分の精神力を集中して彼らの音楽を聴き取らなくてはいけない。
これは容易なことではない。
今年は、技術ではなく、子どもたちがどのように自分の音楽を構成しようとしているのか、について考えるようにした。
それでも難しく、13人のリストに自分なりの点数をつけてゆくのだけど、書いては消し、次の演奏を聴くと遡って点を付け直したりで、容易なことではなかった。
しかし、幸いなことに最終的には迷いもなく一人に絞ることができた。もちろん、その子に投票したが、選定員の全体の投票結果とは異なった。でも、その多数決の結果にも同意できるものではあった。
みんな、よく聴いているなと思った。
さて、選定員の仕事が終わるとほぼ半日の缶詰状態から開放され帰ってもいいのだけど、やはり、本審査の結果が気になる。
発表されるまで少しの間だけど、出演者やその保護者たちと一緒にロビーで待った。
待ったかいがあった。
専門家審査員の選んだ結果、1位になったのは、僕が選んだ子だった。ああ、間違っていなかったな、と思い、嬉しかった。
子どもたちの演奏を聴きながら、今日は、音楽の聴き方や表現についてじっくり考えさせられた。良い勉強になった。
♪2015-117/♪みなとみらいホール-36