2014-11-22 @みなとみらいホール
ピエタリ・インキネン[首席客演指揮者]:指揮
舘野泉:ピアノ
日本フィルハーモニー交響楽団
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ドビュッシー:交響詩《海》
ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲
ラヴェル:《ダフニスとクロエ》第2組曲
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アンコール
カッチーニ(吉松隆編曲):アヴェ・マリア(ピアノソロ)
ピエタリ・インキネンはフィンランド出身の若手指揮者。
インキネンとフランス音楽との関わりはプログラムに何ら説明はなかったが、3年半前の企画が東日本大震災で流れたのを、今回実現したということらしい。
ドビュッシーとラヴェルの作品だけでプログラムを組むというのは近代のフランス音楽の粋を楽しもうということだろう。
ドビュッシーの音楽史上の位置づけとか功績についてもっともらしいことを書けるほど詳しくないけど、手法的には調性を自由に拡張した旋律や和声を用い、表現においては幻想、情感など、それまでのロマン派音楽とは一線を画している。
時代は20世紀初頭。
まさに新世紀の音楽がドビュッシーによって開かれた。
ラヴェルはドビュッシーと同じフランス人で13歳若いだけだから、ほとんど同じ場所で同じ時代の空気を吸って生きた人だ。
御本人はどビュッシーからの影響を否定しているそうだが、彼が18歳の頃に発表された「牧神の午後への前奏曲」を聴かなかったはずはなく、聴いた以上大いに触発されたはずだ。
ところで、今月は(というより今年はというべきか)「ダフニスとクロエ」第2組曲がこの日で3回めだった。
東響(11月1日)、神奈川フィル(11月15日)、日フィル(11月22日)だ。実は16日のN響も当初は予定していたので、急遽の変更がなければ短期間に4回も立て続けに聴くことになっていた。
そこで不思議なのは、どうして、2014年11月に少なくとも4つのオケがそれぞれの定期演奏会で「ダフニスとクロエ」第2組曲をこぞって取り上げようとしたのかということだ。
今年はC.P.E.バッハの生誕300年に当たるというので、夏までに何度か作品を聴く機会があったが、ラヴェル(1875年-1937年)の生没年や「ダフニスとクロエ」の初演などの年のどれをとっても2014年が記念となるようなキリの良い数字にはならない。
偶然にしては重なりすぎで、気になってあれこれ調べてみたがまったく手がかりがない。
牧神の午後への前奏曲はフルートのソロで始まる。まずは4小節だけどその間息を継いでいないように見える・聴こえるのだけど本当は上手に息継ぎしているのだろうか。
あの長さを一息で吹き切るって自分の年齢分のローソクの火を消すより難しいな。まずはそこに感心した。
それはともかく、ドビュッシーもラヴェルも木管・金管・打楽器をフルに活用している。当時は古典は以前から存在した管楽器も改良が進んだという背景もあったろう。また、できたばかりの楽器を進んで取り入れたりしている。
管楽器奏者は、腕に自身があれば、そりゃモーツァルトやベートーベンを演奏するよりずっと楽しいだろう。
しかし、奏者には高い技量が求められるようで、特に「ダフニスとクロエ」ではピッコロ~フルート1~フルート2~アルト・フルートの連続技があるのに今回初めて気がついた。
近代ロマン派までの音楽を革新した旋法や和声を存分に活かすにはやはり新しい革衣(管弦楽技法)が必要だったのだなと納得した。
「左手のためのピアノ協奏曲」については、片手で弾いているとは思えない名人芸だったという感想にとどめておこう。
♪2014-106/♪みなとみらいホール大ホール-42