2022年5月14日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第377回横浜定期演奏会

 2022-05-14 @ミューザ川崎シンフォニーホール



カーチュン・ウォン:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
南紫音:バイオリン*

モーツァルト:歌劇《後宮からの誘拐》K.384 序曲
シベリウス:バイオリン協奏曲 ニ短調 op.47*
ドボルザーク:交響曲第7番 ニ短調 op.70 B.141
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J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのためのソナタ第3番からラルゴ*
ドボルザーク:チェコ組曲からポルカ


今日は神奈川フィルとハシゴだったので、みなとみらい線-東海道線を乗り継いで開演ギリギリに着座した。間に合って良かったよ。

カーチュン・ウォンにハズレなし!とこれまで言ってきたが、今日は偽物だったかも?
最初から最後まで一度もマスクを外さなかったから怪しい…と言うのは冗談だが、NoMaskで頼むよ!

棒捌きと言うか、特に左手をコンマスの千葉ちゃんにばかり向けていたような気がしたが、あれで本物だと得心した。

神奈川フィルの演奏が全曲素晴らしかったが、続けて聴くと違いがよく分かる。

日フィルのなんと明瞭な響き…に驚いたが、ま、これがホールの違い。

今日の収穫は南紫音のシベリウス。

南紫音は過去に数回バイオリン協奏曲を聴いたが、いずれも良い印象はなかった。彼女がと言うよりオケ(日フィル、N響など)が不調だった。

しかし、今日の聴き取れないような最弱音から始まったシベリウスは確実に僕の琴線に触れた。
惹き込まれて聴いていると、オケの鳴りまでどんどん良くなる。やはり、実力者なんだ。今日納得できて良かったよ。

な訳でドボルザーク交響曲第7番も良かったがシベリウスこそ本日の白眉!

♪2022-070/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-16

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第377回定期演奏会

2022-05-14 @県民ホール




阪哲朗:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
クレア・フアンチ:ピアノ*

酒井健治:Jupiter Hallucination「ジュピターの幻影」
モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503
シューベルト:交響曲第8番ハ長調D944「グレイト」


先日の横浜バロック室内合奏団はD調の作品ばかり取り上げたが、今日の神フィルはC調…正しくはC-durハ長調作品ばかり。

邦人作「ジュピターの幻影」は初めて聴いた。
2021年初演という出来立てだ。
すっきりとした調性は感じられないが、その名のとおりモーツァルトの「ジュピター」のオマージュで、なので、「大管弦楽の雲の彼方に、モオツァルトの可愛らしい赤い上着がチラチラ…」(小林秀雄)することから、これも全体としてはハ長調を基調としているのだろう。

いじくり回したジュピターを聴きながら本物を聴きたいっ!と強く思ったよ。でも演奏はとても良かった。合奏力を感じた。
昨日の新日フィル「風神・雷神」の時と同じく作曲家も会場にいて終曲後紹介を受けていた。

そのモーツァルトのハ長調のピアノ協奏曲を、初聴きのクレア・フアンチが弾いたが、これもとても好ましい。

玄米23%まで削りました、みたいな真ん中の口当たりの良いところだけの音!でとてもまろやかだ。コロコロ転がって粒立ち良し。が、刺激的な音は見事に避けられている。カデンツァだけはややダイナミズムが現れたが、全体としてフォルテピアノを模しているように聴こえた。面白い!

「グレイト」。
冒頭のホルンが怪しくも見事に惹き込んた。

終演が16時15分。
カーテンコールもそこそこに席を立ち、次の日フィル定期@ミューザに走ったよ。

♪2022-069/♪県民ホール-07

2022年5月13日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#7

2022-05-13 @すみだトリフォニーホール



井上道義:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

石丸由佳:オルガン*
林英哲:和太鼓**

サン=サーンス:糸杉と月桂樹 op. 156より「月桂樹」*
新実徳英:和太鼓とオルガンとオーケストラのための「風神・雷神」* **
ファリャ:バレエ音楽『三角帽子』
ラヴェル:ボレロ
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ラヴェル:ボレロ (最終部分)**


4曲とも原始脳を強力に刺激する作品ばかり。
最初の2曲はオルガン入り。これが先ずは上出来。

オケ+オルガンでは時にオルガンがオケに埋没することもあるが、今日のオルガンは溶け込むところは新鮮な音色を合奏に齎し、存在を主張するところでは朗々とホールを揺るがした。特にその音色に惹かれたが、ストップの組み合わせが良かったのか、オルガン自体の性能なのか、このホールではもっとオルガンを聴いてみたいと思った。

2曲目「風神・雷神」でもオルガンは大活躍したが、特筆は大和太鼓(おおわだいこ)の迫力。

風神はオルガン、雷神は太鼓を意味しているそうだが、途中で舞台照明が落ち、両者のみが闇の中に浮き上がって、ジャズセッションのようなアドリブの応酬がスリリングで面白い。
ここに管弦打楽器が重なり合って狂乱のクライマックス!お見事!

後半のファリャ、ラヴェルは、弦の透明感が…等と考えるのも野暮な、リズムと色彩感に溢れた興奮の連続。

道義さんのドヤ顔が何度も見られて、こちらも思わず頬が緩んだ。

最近の新日フィルは弦のマスク着用率が約2割。
多くがNoMaskなのは見ていても気持ちいい。
Vn2首席はN響大宮君の客演。


♪2022-068/♪すみだトリフォニーホール-04

2022年5月12日木曜日

音楽堂アフタヌーンコンサート2022前期 「チェロ・名曲の響き」 藤原真里 チェロ・リサイタル

2022-05-12 @県立音楽堂




藤原真理:チェロ
倉戸テル:ピアノ

ブラームス:チェロ・ソナタ第1番ホ短調 op.38
ベートーベン:チェロ・ソナタ第3番イ長調 op.69
フォーレ:エレジーハ短調 op.24
フォーレ:無言歌第3番 ~3つの無言歌 op.17から
----アンコール----
宮沢賢治(林光編):星めぐりの歌


藤原真理を初めて生で聴いたのも音楽堂だった。随分昔の事。その時の印象を「弦の振動で脂が粉となって飛んでゆく時の、摩擦音が楽音に変化する微妙な両者の共存が聴かせる豊かな音色だ。チェロの、これほど美しい音を聴いたことは今までになかった。」と書いている。


今日も全く同様で、良く鳴り、良く響く。

あまりに美しいので、ああ、もう少し前の席で聴きたかったとの思いが最後まで払拭できなかった。


プログラムが凄い。

ソナタ2本はブラ1とベト3の鉄壁!

に小品のおまけ付き。


ブラ1もベト3もVcが中低域の豊かな音色で先導して音楽が始まる。もう、そこで惹き込まれてしまう。


音楽堂は残響が短い古いタイプの音響設計で、アマチュア泣かせでもあるが、名人が奏でる原音が僅かに残響を纏う微妙なブレンドが至福の響きになる。


王道の音楽を音楽堂で味わう幸せ。


♪2022-067/♪神奈川県立音楽堂-05

2022年5月10日火曜日

石田泰尚スペシャル 熱狂の夜 第1夜《無伴奏》

2022-05-10 @ミューザ川崎シンフォニーホール



石田泰尚:バイオリン
山本裕康:チェロ*

ビーバー:パッサカリア
テレマン:12のファンタジアから
 第1番、第7番、第9番、第12番
ブロッホ:無伴奏バイオリンのための組曲第1番
コダーイ:バイオリンとチェロのための二重奏曲op.7
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのためのパルティータ第2番からシャコンヌ
------アンコール-----------
モーツァルト:バイオリンとチェロのための二重奏曲ト長調 K.423から 第3楽章*
テレマン:12のファンタジア第8番から スピリトゥオーソ
ピアソラ:タンゴ・エチュード第3番
ハルヴォルセン:パッサカリア*


石田泰尚「熱狂の夜」は今日が第一夜「無伴奏」。
以後9月まで1回毎に編成を大きくして全5回続くが、今日が第一夜にして既にクライマックスだったのではないか。
”熱狂”とは裏腹に、こんなにも静粛に音楽を傾聴したのは久しぶりだ。
いつもながらの繊細な美音。

ステイジングが苦手の兄いは1人では間が持たないと思ったか、ゲストに山本裕康を招いたコダーイのデュオも息の合ったところを見せた。

無伴奏はどれもよく知っているか、初聴きもあったが何やら懐かしいような調べで楽しめた。
特にテレマンの12のファンタジアからの4曲中、1番と7番は僕の睡眠の友として親しんでいるのでうっかり寝そうになった…は冗談で、しっかり覚醒して味わった。

なんと言っても白眉はJ.S.バッハ「シャコンヌ」。
小節頭に多い重音の弾き方に個性が出るところだが、初めて聴いた石田の弾き方は独特だったが、繰り返されるうちに耳に馴染み説得力がでてきた。

ほぼ1曲毎に(時には楽章毎に)調弦を繰り返すのもいつものスタイル。その必要はないのではないかと思うが、コンマスとしての習慣か、あるいは彼のルーティンなのか。
ともあれ、長時間(休憩込み2時間半)弾いていても繊細な響きにこだわり抜くスタイルは見事だった。

♪2022-066/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-15

2022年5月8日日曜日

豊竹咲太夫文化功労者顕彰記念 文楽座命名150年 文楽公演第Ⅲ部

2022-05-08@国立劇場


●桂川連理柵 (かつらがわれんりのしがらみ)
 石部宿屋の段
  竹本三輪太夫・ツレ:豊竹咲寿太夫
 /野澤勝平・鶴澤清允

 六角堂の段
  豊竹希太夫/竹澤團吾

 帯屋の段
前 豊竹呂勢太夫/鶴澤清治
切 豊竹呂太夫/鶴澤清介

 道行朧の桂川
お半       豊竹睦太夫
長右衛門 豊竹芳穂太夫
ツレ       竹本津國太夫・竹本碩太夫・豊竹薫大夫
/竹澤團七・鶴澤友之助・野澤錦吾・鶴澤清方

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人形役割
娘お半⇒    豊松清十郎
丁稚長吉⇒      吉田玉佳
帯屋長右衛門⇒吉田玉也
出刃屋九右衛門⇒桐竹亀次
女房お絹⇒  吉田勘彌
弟儀兵衛⇒  吉田玉志
母おとせ⇒  桐竹勘壽
親繁斎⇒   吉田清五郎


「桂川連理柵」(かつらがわれんりのしがらみ)は文楽でも歌舞伎でも数回観ている。これは面白い!

立派な妻・お絹がいるのに、女性にだらしない帯屋の主人・長右衛門(38歳。以下、数え年だと思う)。

旅先で、彼女にしつこく言い寄るのが隣家信濃屋の丁稚の長吉。彼から逃れて長右衛門の部屋にきたのが信濃屋の娘・お半(14歳)。子供ゆえに寝間に入れてやる。それが間違いの元。

長右衛門は帯屋の跡取り養子。帯屋の隠居・繁斎の妻は後妻で連れ子が儀兵衛。繁斎はできた男だが、後妻と儀兵衛は性悪で長右衛門を追い出しにかかっている。

旅先での出来事を盗み見した丁稚長吉も、長右衛門からお半を奪わんとする悪党。

長右衛門は前後左右から濡れ衣を着せられ、悪い事にお半は妊娠。

懸命なお絹の働きにも拘らず八方塞がりの中、先に死を決したお半の後を追って、長右衛門も桂川に。

四段構成だが、これが実に効果的に組み立てられている。
一番面白いのが「帯屋の段」で1時間超だが、長さを感じさせない。前半の儀兵衛と長吉の遣り取りが傑作だ。呂勢大夫の語りが素晴らしい。

この浄瑠璃が作られた当時(1776年初演)、上方では大流行して、「帯屋」の段は「お半長」とも呼ばれて子供でも知っている話となった、と上方落語「胴乱の幸助」に取り入れられていて、こちらも大傑作だ(枝雀が素晴らしい)。

追記:
4月から呂太夫/錣大夫/千歳太夫が切語りに昇格した。同慶也。

♪2022-065/♪国立劇場-04

豊竹咲太夫文化功労者顕彰記念 文楽座命名150年 文楽公演第Ⅱ部

2022-05-08@国立劇場


●競伊勢物語 (はでくらべいせものがたり)
 玉水渕の段
口 豊竹亘太夫/鶴澤清𠀋
奥 竹本織太夫/鶴澤清友

 春日村の段
中 竹本小住太夫/鶴澤清馗
次 豊竹藤太夫/鶴澤藤蔵
切 竹本千歳太夫/豊澤富助/琴:鶴澤清公
************************
人形役割
娘信夫⇒    吉田一輔
磯の上豆四郎⇒吉田玉勢
鉦の鐃八⇒  吉田簑一郎
代官川島典膳⇒吉田玉輝
亭主五作⇒  桐竹勘次郎
母小よし⇒  吉田和生
紀有常⇒   吉田玉男
在原業平⇒  吉田玉彦
井筒姫⇒   吉田和馬


「競伊勢物語」は東京では35年ぶりの上演だそうだ。勿論、初めての観賞。

朝廷の争いに巻き込まれた公家・紀有常が忠義の為に実の娘を手に掛け、その若い夫も自害するという悲惨な話。

それに先行して、これも忠義で犯した大罪の、類が実母に及ばぬように、必死でわざと実母に悪態をつき、なんとか勘当してもらおうとするが、母の限りのない我が子への深い情愛がそれを受け付けない。このやりとりがウルっとなる。

ところで、伝統芸能でジェンダー不平等やセクハラ・パワハラは洋の東西を問わないが、身代わりに我が子の首を差し出す児童虐待?は日本のお家芸かも。

追記:
文楽では初めて観たけど、過去の記録を見ていたら2015年の歌舞伎座秀山祭で、吉右衛門・菊之助・染五郎*・東蔵・米吉*(*当時の名前)らの豪華版で(歌舞伎では)観ていた。
強烈な話なのにもう忘れているなんてかなりショックだ。

♪2022-064/♪国立劇場-03