2022年5月13日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#7

2022-05-13 @すみだトリフォニーホール



井上道義:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

石丸由佳:オルガン*
林英哲:和太鼓**

サン=サーンス:糸杉と月桂樹 op. 156より「月桂樹」*
新実徳英:和太鼓とオルガンとオーケストラのための「風神・雷神」* **
ファリャ:バレエ音楽『三角帽子』
ラヴェル:ボレロ
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ラヴェル:ボレロ (最終部分)**


4曲とも原始脳を強力に刺激する作品ばかり。
最初の2曲はオルガン入り。これが先ずは上出来。

オケ+オルガンでは時にオルガンがオケに埋没することもあるが、今日のオルガンは溶け込むところは新鮮な音色を合奏に齎し、存在を主張するところでは朗々とホールを揺るがした。特にその音色に惹かれたが、ストップの組み合わせが良かったのか、オルガン自体の性能なのか、このホールではもっとオルガンを聴いてみたいと思った。

2曲目「風神・雷神」でもオルガンは大活躍したが、特筆は大和太鼓(おおわだいこ)の迫力。

風神はオルガン、雷神は太鼓を意味しているそうだが、途中で舞台照明が落ち、両者のみが闇の中に浮き上がって、ジャズセッションのようなアドリブの応酬がスリリングで面白い。
ここに管弦打楽器が重なり合って狂乱のクライマックス!お見事!

後半のファリャ、ラヴェルは、弦の透明感が…等と考えるのも野暮な、リズムと色彩感に溢れた興奮の連続。

道義さんのドヤ顔が何度も見られて、こちらも思わず頬が緩んだ。

最近の新日フィルは弦のマスク着用率が約2割。
多くがNoMaskなのは見ていても気持ちいい。
Vn2首席はN響大宮君の客演。


♪2022-068/♪すみだトリフォニーホール-04

2022年5月12日木曜日

音楽堂アフタヌーンコンサート2022前期 「チェロ・名曲の響き」 藤原真里 チェロ・リサイタル

2022-05-12 @県立音楽堂




藤原真理:チェロ
倉戸テル:ピアノ

ブラームス:チェロ・ソナタ第1番ホ短調 op.38
ベートーベン:チェロ・ソナタ第3番イ長調 op.69
フォーレ:エレジーハ短調 op.24
フォーレ:無言歌第3番 ~3つの無言歌 op.17から
----アンコール----
宮沢賢治(林光編):星めぐりの歌


藤原真理を初めて生で聴いたのも音楽堂だった。随分昔の事。その時の印象を「弦の振動で脂が粉となって飛んでゆく時の、摩擦音が楽音に変化する微妙な両者の共存が聴かせる豊かな音色だ。チェロの、これほど美しい音を聴いたことは今までになかった。」と書いている。


今日も全く同様で、良く鳴り、良く響く。

あまりに美しいので、ああ、もう少し前の席で聴きたかったとの思いが最後まで払拭できなかった。


プログラムが凄い。

ソナタ2本はブラ1とベト3の鉄壁!

に小品のおまけ付き。


ブラ1もベト3もVcが中低域の豊かな音色で先導して音楽が始まる。もう、そこで惹き込まれてしまう。


音楽堂は残響が短い古いタイプの音響設計で、アマチュア泣かせでもあるが、名人が奏でる原音が僅かに残響を纏う微妙なブレンドが至福の響きになる。


王道の音楽を音楽堂で味わう幸せ。


♪2022-067/♪神奈川県立音楽堂-05

2022年5月10日火曜日

石田泰尚スペシャル 熱狂の夜 第1夜《無伴奏》

2022-05-10 @ミューザ川崎シンフォニーホール



石田泰尚:バイオリン
山本裕康:チェロ*

ビーバー:パッサカリア
テレマン:12のファンタジアから
 第1番、第7番、第9番、第12番
ブロッホ:無伴奏バイオリンのための組曲第1番
コダーイ:バイオリンとチェロのための二重奏曲op.7
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのためのパルティータ第2番からシャコンヌ
------アンコール-----------
モーツァルト:バイオリンとチェロのための二重奏曲ト長調 K.423から 第3楽章*
テレマン:12のファンタジア第8番から スピリトゥオーソ
ピアソラ:タンゴ・エチュード第3番
ハルヴォルセン:パッサカリア*


石田泰尚「熱狂の夜」は今日が第一夜「無伴奏」。
以後9月まで1回毎に編成を大きくして全5回続くが、今日が第一夜にして既にクライマックスだったのではないか。
”熱狂”とは裏腹に、こんなにも静粛に音楽を傾聴したのは久しぶりだ。
いつもながらの繊細な美音。

ステイジングが苦手の兄いは1人では間が持たないと思ったか、ゲストに山本裕康を招いたコダーイのデュオも息の合ったところを見せた。

無伴奏はどれもよく知っているか、初聴きもあったが何やら懐かしいような調べで楽しめた。
特にテレマンの12のファンタジアからの4曲中、1番と7番は僕の睡眠の友として親しんでいるのでうっかり寝そうになった…は冗談で、しっかり覚醒して味わった。

なんと言っても白眉はJ.S.バッハ「シャコンヌ」。
小節頭に多い重音の弾き方に個性が出るところだが、初めて聴いた石田の弾き方は独特だったが、繰り返されるうちに耳に馴染み説得力がでてきた。

ほぼ1曲毎に(時には楽章毎に)調弦を繰り返すのもいつものスタイル。その必要はないのではないかと思うが、コンマスとしての習慣か、あるいは彼のルーティンなのか。
ともあれ、長時間(休憩込み2時間半)弾いていても繊細な響きにこだわり抜くスタイルは見事だった。

♪2022-066/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-15

2022年5月8日日曜日

豊竹咲太夫文化功労者顕彰記念 文楽座命名150年 文楽公演第Ⅲ部

2022-05-08@国立劇場


●桂川連理柵 (かつらがわれんりのしがらみ)
 石部宿屋の段
  竹本三輪太夫・ツレ:豊竹咲寿太夫
 /野澤勝平・鶴澤清允

 六角堂の段
  豊竹希太夫/竹澤團吾

 帯屋の段
前 豊竹呂勢太夫/鶴澤清治
切 豊竹呂太夫/鶴澤清介

 道行朧の桂川
お半       豊竹睦太夫
長右衛門 豊竹芳穂太夫
ツレ       竹本津國太夫・竹本碩太夫・豊竹薫大夫
/竹澤團七・鶴澤友之助・野澤錦吾・鶴澤清方

************************
人形役割
娘お半⇒    豊松清十郎
丁稚長吉⇒      吉田玉佳
帯屋長右衛門⇒吉田玉也
出刃屋九右衛門⇒桐竹亀次
女房お絹⇒  吉田勘彌
弟儀兵衛⇒  吉田玉志
母おとせ⇒  桐竹勘壽
親繁斎⇒   吉田清五郎


「桂川連理柵」(かつらがわれんりのしがらみ)は文楽でも歌舞伎でも数回観ている。これは面白い!

立派な妻・お絹がいるのに、女性にだらしない帯屋の主人・長右衛門(38歳。以下、数え年だと思う)。

旅先で、彼女にしつこく言い寄るのが隣家信濃屋の丁稚の長吉。彼から逃れて長右衛門の部屋にきたのが信濃屋の娘・お半(14歳)。子供ゆえに寝間に入れてやる。それが間違いの元。

長右衛門は帯屋の跡取り養子。帯屋の隠居・繁斎の妻は後妻で連れ子が儀兵衛。繁斎はできた男だが、後妻と儀兵衛は性悪で長右衛門を追い出しにかかっている。

旅先での出来事を盗み見した丁稚長吉も、長右衛門からお半を奪わんとする悪党。

長右衛門は前後左右から濡れ衣を着せられ、悪い事にお半は妊娠。

懸命なお絹の働きにも拘らず八方塞がりの中、先に死を決したお半の後を追って、長右衛門も桂川に。

四段構成だが、これが実に効果的に組み立てられている。
一番面白いのが「帯屋の段」で1時間超だが、長さを感じさせない。前半の儀兵衛と長吉の遣り取りが傑作だ。呂勢大夫の語りが素晴らしい。

この浄瑠璃が作られた当時(1776年初演)、上方では大流行して、「帯屋」の段は「お半長」とも呼ばれて子供でも知っている話となった、と上方落語「胴乱の幸助」に取り入れられていて、こちらも大傑作だ(枝雀が素晴らしい)。

追記:
4月から呂太夫/錣大夫/千歳太夫が切語りに昇格した。同慶也。

♪2022-065/♪国立劇場-04

豊竹咲太夫文化功労者顕彰記念 文楽座命名150年 文楽公演第Ⅱ部

2022-05-08@国立劇場


●競伊勢物語 (はでくらべいせものがたり)
 玉水渕の段
口 豊竹亘太夫/鶴澤清𠀋
奥 竹本織太夫/鶴澤清友

 春日村の段
中 竹本小住太夫/鶴澤清馗
次 豊竹藤太夫/鶴澤藤蔵
切 竹本千歳太夫/豊澤富助/琴:鶴澤清公
************************
人形役割
娘信夫⇒    吉田一輔
磯の上豆四郎⇒吉田玉勢
鉦の鐃八⇒  吉田簑一郎
代官川島典膳⇒吉田玉輝
亭主五作⇒  桐竹勘次郎
母小よし⇒  吉田和生
紀有常⇒   吉田玉男
在原業平⇒  吉田玉彦
井筒姫⇒   吉田和馬


「競伊勢物語」は東京では35年ぶりの上演だそうだ。勿論、初めての観賞。

朝廷の争いに巻き込まれた公家・紀有常が忠義の為に実の娘を手に掛け、その若い夫も自害するという悲惨な話。

それに先行して、これも忠義で犯した大罪の、類が実母に及ばぬように、必死でわざと実母に悪態をつき、なんとか勘当してもらおうとするが、母の限りのない我が子への深い情愛がそれを受け付けない。このやりとりがウルっとなる。

ところで、伝統芸能でジェンダー不平等やセクハラ・パワハラは洋の東西を問わないが、身代わりに我が子の首を差し出す児童虐待?は日本のお家芸かも。

追記:
文楽では初めて観たけど、過去の記録を見ていたら2015年の歌舞伎座秀山祭で、吉右衛門・菊之助・染五郎*・東蔵・米吉*(*当時の名前)らの豪華版で(歌舞伎では)観ていた。
強烈な話なのにもう忘れているなんてかなりショックだ。

♪2022-064/♪国立劇場-03

2022年5月6日金曜日

横浜バロック室内合奏団定期演奏会101回 〜ドイツバロックの華

2022-15-06 @ひまわりの郷



横浜バロック室内合奏団
 Vn小笠原伸子♯/茂原大朗♭/眞中望美/藤村陽子
 Va眞中千晴、Vc間瀬利雄、Cb大西雄ニ
 Cemb 山口範子、Fl高野成之*

●パッヘルベル:カノン(ニ長調)
●J.S.バッハ:
 トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
 バイオリン協奏曲 ニ長調 BWV1052♯
 2つのバイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043♯♭
●C.P.Eバッハ:フルート協奏曲二短調 H484.1*
----アンコール----
J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番から「G線上のアリア」(ニ長調)



メンバーはいつも少数だが、今日は特に少なく、弦7本と曲によってチェンバロとフルートが加わった。

耳馴染みの曲が多かった中、初聴きのC.P.E.バッハ:フルート協奏曲が相当難曲らしく、この時代にしては派手な作りに驚いたが、面白い。
当時はパパより人気があったというのも頷ける。

そのパパのトッカータとフーガ ニ短調BWV565は弦楽合奏版というのが珍しく(オケでは聴いたことあり。)、これも良かった。

ところで、今日のプログラム(記載誤り多し)には面白い仕掛けがあった。

前菜のカノンとアンコールのG線上〜がニ長調だったのは帰宅後調べて分かった。

主皿で並んだ大バッハの3曲と次男坊の作品がいずれもニ短調。

つまり、すべてニ調の作品ばかりだった。
なぜか?説明はなかったけど。

長短いずれも弦楽器には弾きやすいし、開放弦の共鳴が期待でき、響きが良いので、短調が好まれなくなった古典派以降でも<ニ短調>は比較的多いのだそうな。いや、実際名曲の宝庫だ。

惜しむらくは、ホールが乾燥しすぎたか、弦もフルートも乾いた響きで残念だった。

♪2022-063/♪ひまわりの郷-2

2022年5月4日水曜日

バレエ「シンデレラ」

2022-05-04 @新国立劇場



【指揮】マーティン・イェーツ
【振付】フレデリック・アシュトン
【監修・演出】ウェンディ・エリス・サムス/マリン・ソワーズ
【音楽】セルゲイ・プロコフィエフ
【美術・衣裳】デヴィッド・ウォーカー
【照明】沢田祐二
【芸術監督】吉田都

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【シンデレラ】米沢唯
【王子】井澤駿

バレエ「シンデレラ」
全3幕

予定上演時間:約2時間35分
第Ⅰ幕 45分
  休憩25分
第Ⅱ幕 40分
  休憩25分
第Ⅲ幕 25分

音楽のみ(プロコフィエフ:組曲版「シンデレラ」)は聴いたことがあるが、バレエとして鑑賞するのは初めて。
チャイコフスキーのバレー(音楽)ほどの馴染みはないのでどんなものかと思ったが、存外楽しめた。

新国立劇場「シンデレラ」の振付けは、従来からアシュトンという人の手になる版だそうで、なんと、シンデレラの義理の姉2人を男性が演ずる!

これがもう傑作で、意地悪というより憎めない自己中だから嫌味もなく、まるでコントを見ているようにおかしい。
もちろん、相当な技量がないと重い衣装を着て踊ることはできないだろう(うち1人はプリンシパル)。

この2人との比較でシンデレラ(米澤唯・プリンシパル)の可憐さ、優雅さが一層光った。
特に2幕の舞踏会の登場場面。舞台奥から爪先立で階段を降りてくる。

ここで、もう胸がゾワゾワした。

3幕。片方のガラスの靴を持って王子(井澤駿・プリンシパル)が登場する。その際の義姉たちのおかしいこと。
そもそも男性が演じているので、彼らの大きな足に合う訳がないのだけど。思い出しても笑える。

めでたしめでたしの場面も仙女や四季の精、星の精達の踊りが繰り広げられ豪華。

今回、1階に良席が取れず、2階最前列中央だった。5年ぶりの2階席だが、オケ(東フィル)の音圧は1階と何ら変わらなかった。多分4階席でもセンターなら同じように響くのだろう。
新国立劇場は実に優れた音響空間だ。ただ、舞台から遠いのでもどかしさは感じたが。

カーテンコールではみんな手を繋いで登場!それでいいのだ!感染者が舞台に立っている訳がないのだから、手を繋ごうがハグしようが気にせずどんどんやっとくれ。

♪2022-062/♪新国立劇場-07