2022年2月12日土曜日

名曲全集第174回 清水和音 X ラフマニノフ 至高のピアニズム

2022-02-12 @ミューザ川崎シンフォニーホール


大友直人:指揮
東京交響楽団
清水和音:ピアノ*

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 op.18*
ルーセル:バレエ音楽「バッカスとアリアーヌ」第2組曲 op.43
ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」(1919年版)
------アンコール--------------------
スクリャービン:2つの詩曲 Op32-1*


何がホールの響きを決定するのか判然としないが、いろんな要素の絡み合いだろう。
いつものホールでいつもの席でいつものオケを聴いても変化はある。
冬場だから客席は着膨れ。それが残響を吸収しているのは間違いないと思う。端的にピアノの音が硬かった。

ま、好みの問題で、こういうのが好きな人もいるだろう。オケも強奏Tuttiの後の余韻が短い。昨日の芸劇でさえもっと響いていた。

そんなこんなで前半のショパンはしっくり感じなかった。

が、後半はむしろこの硬さが奏功したように思う。

ルーセルは珍しいが昔「バッカス〜」も聴いた事がある。
印象派の時代だがストラヴィンスキーと作風がよく似ている。

そして最後がそのストラヴィンスキーの「火の鳥」。

昨日のN響もストラヴィンスキー2本立てで、しかも名演だったから、翌日の東響は分が悪い…という不安を跳ね飛ばすこちらも名演で、途中から、N響の続きを聴いているのか、と錯覚する程の繊細さと迫力ある演奏だった。

♪2022-019/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-03

2022年2月11日金曜日

第1952回 NHK交響楽団 定期公演 池袋C-1

2022-02-11 @東京芸術劇場大ホール


鈴木雅明:指揮
NHK交響楽団
鈴木慎崇:ピアノ*

ストラヴィンスキー:組曲「プルチネッラ」
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシカ」(1947年版)*


古楽の大家がストラビンスキー2本を振る。
コロナがなけりゃ永久に有り得なかった組合せかも。

しかし、見事なもので、これは指揮者の功績なのか、N響が本気を出したのか、両方か。

自宅でも聴きたい…ような作曲家ではないけど、そこが定期演奏会というお仕着せの良いところだ。
僕が選ばずともオケが好んで演奏するので「プルチネッラ」も「ペトルーシカ」も数多く聴いている。
おかげで、最近では楽しんで聴けるようになった。

2本中、何と言っても「ペトル」が面白い。

管弦楽による煌びやかな色彩のマジック。
管楽器は難しそうだが、ほぼノーミスだったし、14型の弦も繊細さ・透明感を維持した。

これ程の美しい見事なアンサンブルなら、無調であれミニマルであれ、何だってずっと聴いていたくなる。さすが充実のN響サウンド。

昨日のサントリーホールでのショスタコ2本(特に5番)にがっかりした身としては、SNSでの評判が余りに高いので我が耳が故障していたのかと不安に思っていたがそうではなかったよ。
あいにくながら、昨日の読響と今日のN響では雲泥の差と言っていい。

♪2022-018/♪東京芸術劇場大ホール-01

2022年2月10日木曜日

読売交響楽団特別演奏会

2022-02-17 @サントリーホール


井上道義:指揮
読売日本交響楽団
服部百音:バイオリン*

ショスタコーヴィチ:バイオリン協奏曲第1番イ短調 作品77*
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 作品47
----アンコール--------------------
ハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンスト:シューベルトの『魔王』による大奇想曲」作品26*


井上道義得意のショスタコーヴィチ2本立て。

前半は服部百音が独奏のバイオリン協奏曲第1番。

この曲はなぜか、取り上げるオケ、バイオリニストが多く、いろんな人で何度も聴いているが、その割になかなか馴染めない。

第1楽章がいつも眠くなる。

2楽章以降は面白くなるが。


超絶技巧かどうか知らないが超絶体力は必要みたい。

熱演だった。きょうは普段より後ろの席だったが、十分に聴こえていた。ま、オケの音量も小さいからね。


後半の5番交響曲だが、僕の耳にはどうもテンポが遅く、個々の要素がかちっと組み合わさっていないように思えた。

もちろん、大体が賑やかで緊張感に包まれた音楽なので、終盤に近づくにつれてアドレナリン分泌が高まる筈なのだけど、どうもテンポのもどかしさを最後まで払拭できずじまいだった。

オケがMaskだらけだったのが大いなる落胆を招いた。

これまで、東フィルと読響はNoMaskを通してきたのに、今日はどうして?

Maskをするオケでも弦のTopはNoMaskが普通だったが、今日は遠藤女史を含め首席も末席もMaskが多かった。


なぜ彼らはMaskをするのか?訳が分からない。

健康管理を徹底し、検査を徹底し、換気を徹底し、楽屋や袖でも密を避けて、長話を避ければ、舞台でしゃべる訳ではないのだから、Maskが必要なはずがない。

だからこそ、読響と東フィル(実は僕が定期会員になっているオケでもう一つ横浜バロック室内合奏団)は、これまでNoMaskを通してきたのだと思っていた。


そうじゃないのか。

これまではMaskするのを忘れていただけなのか?


でなければ、今日の読響の弦パートは多分、皆んな感染しているのだ。そして舞台はウィルスだらけなのだ。恐ろしや。


♪2022-017/♪サントリーホール-01

2022年2月9日水曜日

オペラ:ドニゼッティ「愛の妙薬」

2022-02-09 @新国立劇場



指 揮】ガエタノ・デスピノーサ
【演 出】チェーザレ・リエヴィ
【美 術】ルイジ・ペーレゴ
【衣 裳】マリーナ・ルクサルド
【照 明】立田雄士

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

【アディーナ】砂川涼子
【ネモリーノ】中井亮一
【ベルコーレ】大西宇宙
【ドゥルカマーラ】久保田真澄
【ジャンネッタ】九嶋香奈枝

ガエターノ・ドニゼッティ「愛の妙薬」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間30分
 第Ⅰ幕   70分
  休憩   25分
 第Ⅱ幕   55分


今月はオペララッシュで、1週間前に「さまよえるオランダ人」を観たばかりで今日は「愛の妙薬」。

指揮のデスピノーサ&東響も「オランダ人」に引き続きの登板だ。


キャストはコロナの為に(元から出演予定の九嶋以外の)主要4役が全員日本人に代わった。

でも、それで大成功…は言い過ぎとしても、とても良かった。


何がいいかって、砂川涼子が素晴らしい。

あのふくよかで明かるく美しい声は、努力だけでは獲得できない天分だと思う。


ネモリーノ役の中井亮一にとっては歌手人生最高の大役だったと思うが、期待に応えた。

1番の聴かせどころ「人知れぬ涙」もヨシ!

もうちょっとツヤがあれば憂いも出てなお良かったが。


不満を挙げれば。

演出も美術も前回2018年公演と同じだが、前回は気づかなかったが点が今回は気になった。5年間の成長?


「文字」に拘る演出は美術面でも表れているが、「トリスタンとイゾルデ」はこの物語の契機に過ぎないのに全編にわたって「トリ・イゾ」由来の作り物がさも意味ありげに登場するのは紛らわしい。


薬売りの娘が登場するがセリフはない、歌もない。にもかかわらずなぜMaskをしているのか?

「オランダ人」の時もパントマイムの役者だけがMaskをしていた。

他にも兵士達が1幕ではMaskを。同じ連中が2幕ではNoMask。

いったいどういう整理基準なのか?


ともかく、Maskはやめてくれえ!


♪2022-016/♪新国立劇場-03

2022年2月6日日曜日

横浜交響楽団 第714回定期演奏会【新春コンサート】

2022-02-06 @県立音楽堂



鈴木衛:指揮
横浜交響楽団
大山弘翔:バイオリン(第74回全日本学生音楽コンクール横浜市民賞受賞者)*

ベートーベン:歌劇「フィデリオ」序曲
シベリウス:バイオリン協奏曲ニ短調*
ブラームス:交響曲第1番ハ短調


全日本学生音楽コンクールで横浜市民賞を得た高校2年生が弾くシベリウス:バイオリン協奏曲とブラームス:交響曲第1番というプログラム。
前日の神奈川フィルの、ブルッフ:バイオリン協奏曲とシューマン交響曲第2番というのと似た感じの組合せで、ついつい比較して聴きいた。

プロとアマの演奏技量の差とは別に色々と考えさせられることが多かった。

シベリウスのバイオリン協奏曲は独奏バイオリンにとって相当難曲だそうだが、17歳の青年は特に危なげもなく超絶技巧を豊かな音量で弾き切った。筑駒の学生だという。最近はこの手のマルチな秀才が増えているのか。

テンポ設定が遅めなことで、オケとの絡みの面白さはなかなか発揮されず、ようやくリズミカルな第3楽章で盛り上がりを見せた。

バイオリン協奏曲では弦パート、特に第1バイオリンは控え目に徹して、その代わり細く綺麗な音色を維持できたが、ブラームスでは変調したのが残念。管部門も手こずっていた。

いつになく不出来ではあったが、調和を欠いた演奏のお陰で、本来なら溶け合うパートもはっきり聴こえたりして、面白みはあった。

がんばれ横響!

♪2022-015/♪県立音楽堂-2

2022年2月5日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第374回定期演奏会

2022-02-05 @県民ホール



大植英次:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
吉田南:バイオリン*

山田耕筰:序曲ニ長調
ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番ト短調 Op.26*
シューマン:交響曲第2番ハ長調 Op.61
------アンコール-------------------
テレマン:無伴奏バイオリンのための12の幻想曲第10番ニ長調から第2、3楽章*


このところ、十数連勝を爆進してきた神奈川フィルがよりによって大植ちゃんを初めて迎えた今日、連勝ストップしたよ。

オケが悪いとかましてや指揮が悪いとかではなく、小さな不幸が重なったんだろう。音が固かった。

ブルッフのVn協は吉田南の熱演にもかかわらず固い響きの上では、ストラディの乗りも悪かった。うまい下手ではなく、今日のホールはそういう響きだった。

ただし、ソロVnの鮮烈な音はよく響いていた。初めて聴いたが、リサイタルで間近に聴いてみたい。

ややテンポが遅かったのは残念。

シューマン2番。これは演奏が難しそうだ。過去に聴いた中で、名演奏の記憶はない。冒頭がなんだか頼りなくて、いつもバラバラの感じだ。管弦楽法に工夫が足らないのかも。これで緊張を維持するのは難しい。
主題が不器用に見え隠れし、2分過ぎにティンパニ1発鳴ってから調子が出てくる。

シューマン自身は自虐的に1-3楽章は病的だと言ったそうだが、そんなにひどくないよ。1楽章の冒頭は確かに病気かもしれないが。

さて、このシューマンもテンポがえらく遅かった。
測ってみたら標準より5分程長い。大植の確信的指揮ぶりだ。
いつも何か驚きがあるが、今日も驚いたよ。

♪2022-014/♪県民ホール-02

2022年2月2日水曜日

オペラ:Rワーグナー「さまよえるオランダ人」

2022-02-02 @新国立劇場



【指揮】ガエタノ・デスピノーサ
【演出】マティアス・フォン・シュテークマン
【美術】堀尾幸男
【衣裳】ひびのこづえ
【照明】磯野睦
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】村田健輔

【管弦楽】東京交響楽団
【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団

【ダーラント】妻屋秀和Bs
【ゼンタ】田崎尚美Sp
【エリック】城宏憲Tn
【マリー】澤田康子(再演演出)⇒演技/金子美香Ms⇒歌唱(山下牧子の代役)
【舵手】鈴木准Tn
【オランダ人】河野鉄平Bs

R.ワーグナー「さまよえるオランダ人」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間50分
 第Ⅰ幕   55分
  休憩   25分
 第Ⅱ・Ⅲ幕 90分


オペラ本体はとでも良い出来で大いに楽しめた。
まずはオケがいい。ピットに入っていたのは東響だが、管・弦がうまく交わった時のみ聴こえる甘い響きを久しぶりに聴いた。
ピット効果と新国立劇場の音響の良さも大いに寄与していると思うが。

【ダーラント】妻屋秀和、【舵手】鈴木准以外の外人勢はすっかり日本人代役に変わったが、今日以降、マリー代役の山下牧子が出演できなくなり、さらに彼女の代役も出演できなくなり、急遽演技は演出の澤田某が口パクで、歌唱は袖から金子美香が担当する、というとんでもないことが起こったが、よくこのクラスを急拵えできたものだ。

流石に、マリーの動きはほぼ下手袖(鈴木美香がここで歌っている)近くに限定される等芝居の面で不自然さはあったが、歌手全員が、それをカバーしようとしたか?歌唱の方もとても良い出来で、【オランダ人】河野鉄平、【ゼンタ】田崎尚美(厚化粧で顔の表情が不分明だったが…)も代役にもかかわらず文句なし。妻屋の歌唱もコミカルな芝居も良かった。鈴木も安定感。


ともかくオケ・歌唱とも高水準。
演出も分かり易くて良かった。

大したことでないと思っているが、オランダ人は救済されるのか否か。

これは序曲終盤(初演時の救済なしバージョンに、後年「救済」のテーマが追加されているの)で分かるけど、そこをぼんやり聴き逃すと終幕まで分からない。いや、最後まで観ても音楽の最後(やはり「救済のテーマ」の追加。最終の強勢アタックが締め括りの1回だけ。救済なしバージョンでは「救済のテーマ」がなく、強勢アタックは重々しく3回鳴る。)を聴かないと分からない場合も多いがこの演出は舞台を見ているだけで、救済された事が分かる。

救済と言っても半死半生状態から確実な死を迎えると言う事であり、その死によって新しく生きると言う事なのだろう。

この辺はもうワーグナーの死生観の独擅場で、自己中のオランダ人が救済されようとされまいと、僕の楽しみ方としては、どっちでもいい。


小さな残念が一つ。
合唱が大活躍するが、嬉しいことに全員NoMaskだった。流石新国立劇場だ、と喜んでいたが、3幕に入ると水兵たち狂乱の場だが、舞台前方で浮かれる6人?だけMaskをしている。ましてや歌う訳ではないのだからMaskの必要性がどこにある?
マスク神経症の僕としては気になったよ。

♪2022-013/♪新国立劇場-02