2016年7月16日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第8回

2016-07-16 @県民ホール

現田茂夫:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
横浜少年少女合唱団*
神奈川フィル合唱団**

三宅理恵:ソプラノ♡
中井亮一:テノール♭
吉江忠男:バリトン#

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」から
・序曲
・酒が回ったら今度は踊りだ#
・ぶってよ、マゼット
・私の幸せは彼女にかかって
・お互い手を取り合おう#

オルフ:カルミナ・ブラーナ#**

神奈川フィルfacebookから
待望の「カルミナ・ブラーナ」。
編成が大きいのでなかなか取り上げられない。
ようやくにして初めてナマ演奏を聴くことができた。

3人の独唱に児童合唱と成人の混声四部合唱に三管編成(とはいいながら打楽器・鍵盤楽器は数も種類も多く、ティンパニ<5>、グロッケンシュピール、シロフォン、カスタネット、クレセル、クロタル、トライアングル、アンティーク・シンバル3、シンバル4、タムタム、鐘3、チューブラーベル、タンブリン、小太鼓、大太鼓にチェレスタ、グランドピアノ2を含む大掛かり)のオーケストラという編成だ。

映画音楽などでよく使われている冒頭の「運命の女神」が始まった途端、オルフの描く奇妙な世界にいっぺんに惹きこまれてしまう。
重厚で荘厳な響あり、自然賛歌あり、官能的な歌、清らかな世界を描く歌など聖俗混淆のごった煮が、次から次へと繰り出され、原始脳を刺激する狂乱の60分。

声楽、合唱も素晴らしかったが、神奈川フィルにとっては恩師ともいうべき現田マエストロの期待に応えんとしたか、オケの出来栄えも素晴らしいものだった。

前日のN響には随分がっかりしていたが、今日の神奈川フィルは昨日のN響を凌ぐ力演・熱演・怪演だった。
たまにやってくれるんだよな。こういうホームラン級の演奏を。


♪2016-099/♪県民ホール-02

2016年7月15日金曜日

N響「夏」2016

2016-07-15 @NHKホール



クリスティアン・アルミンク:指揮
NHK交響楽団
ポール・メイエ:クラリネット*

モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K.622*
ドボルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 作品95「新世界から」
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アンコール
ドボルザーク:スラブ舞曲 作品72 第2番ホ短調「マズルカ」

空調のせい?
冒頭の弦の音がえらく硬い響きだった。こんなに硬い響のN響は初めてだ。なんか、違うなあ、と思いながら1曲めが終わった。
次はクラリネット協奏曲だ。
奏者のポール・メイエは、現代クラリネット奏者の中ではトップクラスだと聞く。僕が日頃聴いているモーツァルトほかのクラリネット協奏曲もメイエが吹いているものだ。
その彼がオケの準備は整っているのに舞台袖からなかなか出てこない。袖にいるのはクラリネットの調子を確かめている音が聴こえてくるので分かるのだ。

ようやく出てきて協奏曲が始まった。
序奏が2分ほど続く。その間、手に持ったクラリネットのマウスピースを時々咥えては最後の調整をしていたようだが、いよいよ独奏部分が始まると、アレレ。音が硬い。滑らかさがない。クラリネット独特の甘くて柔らかで官能的な音色とは無縁だ。
素人にも分かる変調だ。これはおかしいな、と思っていたら案の定。メイエは演奏を止めてしまったので、オーケストラも止まった。
こんな経験は初めてのことだ。

マウスピースを外し、楽器は指揮者に預けて袖に引っ込んでしまった。受け取った指揮者も吹けないし、肩をすぼめてマイッタの様子。クラシックコンサートには珍しくここで館内に笑いが起こった。

別のクラリネットを手にして再登場したメイエ氏は、今度は最後まで吹き終えた。
確かに細かい芸など巧いなあと思うけど、やはりそれでもクラリネットの音は硬質だった。オケも同様なので、これは楽器のせいでも彼の特質でもないはず。

後半は「新世界から」だった。
この今日は何度も何度も聴いているけど、何度聴いてもやはり面白い。ドボルザークの最高傑作だとは思わないけど好きな方だ。
でも、今日のは乗れなかった。演奏が悪いとも思えない。

結局、終始弦が硬いのが僕の気分を憂鬱に支配してしまった。
でも、どうしてだろう。
今日は定期演奏会ではないので、普段の聴き慣れた場所とは異なるけど、定席より前に4列動いただけでほぼ同じような場所だ。この程度の場所の違いが音に影響するとも思えない。
自分なりに推測するなら、演奏会が始まった時点では既に晴れていたけど、その少し前までは首都圏は豪雨に見舞われた。
それで、館内の湿度が高まり、それを抑えるための空調がむしろ館内を乾かせすぎたのではないか…。などと思ってみるが、それも自分で得心はゆかない。

僕の体調のせいもあったのかもしれないけど、決して集中力に欠けた訳ではないので、耳の具合が一時的に変調をきたしたのかもしれない。

メインディッシュも終わって、何度かのカーテンコールの後に定期演奏会じゃまずやらないアンコール演奏があった。アルミンクが指揮台に上りオケの方に向いたので「演るな」と分かったが、その瞬間、僕の頭の中にはドボルザークのスラブ舞曲72-2(番号を憶えているのはこの曲だけ!)に違いないと思ったら果たしてそのとおりだったので少し驚いたけど、ドボルザークの大作を演奏した直後のオマケとしてはよくあるパターンだし、何より、僕が「新世界から」に満足できないという精神的飢餓状態でせめて干天の慈雨の如くこの曲を欲していたのだと思う。

それでも音の硬さは変わらなかったのだけど、まあ哀愁に満ちた名曲で締めてくれて良かったのかな。


2016-098/♪NHKホール-06

2016年7月13日水曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート 別刊 小林愛実 ピアノ・リサイタル

2016-07-13 @みなとみらいホール


小林愛実:ピアノ

ラヴェル:水の戯れ
リスト:巡礼の年第2年「イタリア」から
 3つのペトラルカのソネット第47番、第104番、第123番、  
 ダンテを読んで―ソナタ風幻想曲
ショパン:24の前奏曲 作品28 全曲
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アンコール(いずれもショパン)
マズルカ 作品17-4
夜想曲第20番嬰ハ短調「レント・コン・グラン・エスプレッショーネ」 遺作


開演前のピアノの調整
昨年のショパン国際ピアノコンクール-ファイナリスト。
ということは順位をつけると7位~10位に相当する訳か。
まあ、どうせ、僕には1位と10位の差も分からないと思うが。

5月下旬にシャルル・リシャール=アムラン(同コンクール第2位)の演奏を同じホールの同じ席で聴いた(セット券を買ったので)。
小林とは演奏曲目が一つもかぶっていないし、2ヵ月近く経っているから印象はぼやけているけど、音量に差があったかなあ。もちろん、アムランの方がダイナミックレンジは広かったような気がする。

開演時間が5分位遅れるのはごく普通のことだけど、彼女の場合は8分も遅れた。観客は完全沈黙で登場を待っているのだけど、5分も過ぎるとさすがに何かあったのかと不審感が拡がり会場が少しざわつき始めたところでようやくのご登場だ。
僕は、少し気分を害して歓迎の拍手を惜しんだのは大人気なかったかも。

登場の際は少し笑顔を見せたが、その後は観客に対してはほとんど無表情だ。
プログラムの節目には頭を下げてくれるのだけど形ばかりで観客との間に共感は広がらない。
それというのも、演奏態度が終始入魂の真剣勝負のようで恰も求道者の如し。コンサート映像などで感情過多の八の字眉毛は知っていたが、そんなに気合を入れなくちゃいけないものか、と不思議に思うくらいだ。だから聴衆のことはなかなか思い至らないのだろう。


素人に彼女の技量のほどは分からないが、7歳でオーケストラと共演し、9歳で国際デビュー。2005年には全国学生音楽コンクール小学校の部で史上最年少(小学4年)で優勝。その後いろんなコンクールで好成績を上げ、14歳でCDデビューも果たしている事情から、非凡な才能の持ち主であることは間違いないだろう。

演奏は、全く手抜き無しの一音一音に気持ちを完全に乗せて弾いているのが良く分かる。彼女の音楽への集中度が観客席にも伝播して、聴いている方も気がつけばかなりの緊張感を強いられているのが分かる。

そういう意味で、中身の濃い演奏会であった。
本篇全曲を弾き終えて退場する際にようやく二度目の笑顔が出た。もう少しゆとりが欲しいが、これでまだ20歳というからこの先どんな傑物に成長してゆくのだろう。


♪2016-097/♪みなとみらいホール-26

2016年7月11日月曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~毛利文香 バイオリン・リサイタル~

2016-07-11 @みなとみらいホール


毛利文香:バイオリン
日下知奈:ピアノ

プーランク:バイオリン・ソナタ
フランク:バイオリン・ソナタ イ長調

5月から始まったクラシック・マチネの第2弾。
このシリーズは、毎回12時10分からの第1部と14時30分からの第2部に分かれていているが、両方又は好きな方だけ買うことができるので、僕は第2部だけの年会員になった。格安チケットなので第1部も一緒に買っても良かったけど12時過ぎに始まるというところに抵抗があって午後の部だけにした。

でも、今日に限って言えば、第1部も1回券を買って聴けば良かった。第1部ではモーツァルトの第28番ホ短調のソナタ(モーツァルトの全40曲<偽作も含む>のうち唯一の短調作品)とベートーベンの第9番「クロイツェル」を弾くと事前に知っていたら絶対にチケットを買うのだったよ。実に惜しいことをした。


さて、プーランクとのソナタは初聴き。
調性はぼんやりしているが、激しくリズミカルな出だしで惹き込まれたのは束の間、大波に揺られる小舟のようにウトウトしたが乗心地は良好。終楽章が再び荒れ狂うような掛け合いですっかり覚醒した。
ナマで聴くと面白いのだけど、CDでは余り聴きたくないな。これも何度か経験するとアジが出てくるのだろうけど。

やっぱり、なんといってもフランクがいい。
先日、石田泰尚のリサイタルで久しぶりにナマを聴いたが、聴き始めると続くものだ。
蠱惑的な洒落た感じのささやきに惹き込まれる。第2楽章はバイオリンとピアノが激しくせめぎあう。叙唱を経て終楽章はモーツァルトやベートーベンみたいな調べで古典派風に締める。とても楽しめる要素が多い。
いろんな作曲家のバイオリン・ソナタの中でも好きな5曲には入るな。

それにしても、久しぶりに小ホールでのバイオリンとピアノ。
実に豊かな響だ。
毛利文香も日下知奈も多分初めて聴く人だが、巧いし音が綺麗でボリュームもある。ピアノとのバランスもよくて素晴らしい。

先日の石田氏の場合は会場が大ホールなのでバイオリンがやや音圧に欠けたが、今日の演奏は、ちょうど音楽堂での千住真理子の演奏(響の種類はぜんぜん異なり、みなとみらいホール・小ホールは残響を効かせた豊かな響であるが)と同じく、バイオリンの魅力を十分に伝える芳醇な音空間だった。まさしく至福の時なり。


♪2016-96/♪みなとみらいホール-25

2016年7月9日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽堂シリーズ第9回定期演奏会

2016-07-09 @県立音楽堂


川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
郷古廉:バイオリン*

バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント Sz.113
ハイドン:バイオリン協奏曲ハ長調Hob.VIIa:1*
ハイドン:交響曲第92番ト長調Hob.I:92「オックスフォード」


バルトークとハイドンの組合せ。
前半2曲は弦楽のみで、ハイドンのバイオリン協奏曲にも木管も金管も一人も入らないのにはちょっとびっくり。
この曲では郷古のストラディバリウスがよく響いた。
オケも小編成の良さを活かして音楽堂らしい乾いた乙張の効いたアンサンブルが小気味良し。

郷古のアンコールはなかったが、後半のハイドンの交響曲では第1バイオリンの最後尾に陣取って神奈フィルのメンバーと一緒に演奏したのが、サービスか。


♪2016-95/♪県立音楽堂-07

2016年7月7日木曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート ベルリン・フィル バイオリンアンサンブル

2016-07-07 @みなとみらいホール


ベルリン・フィル/バイオリンアンサンブル

アルビノーニ:アダージョ
J.S.バッハ:2つのバイオリンのための協奏曲 ニ短調  BWV1043
J.S.バッハ(メンデルスゾーン編):シャコンヌ
J.シュトラウスⅡ:喜歌劇「こうもり」序曲
ベートーベン:ロマンス第1番 ト長調 作品40
ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番、第5番、第6番
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン 作品20 
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アンコール
エネスコ:ルーマニア狂詩曲第1番
スヴェトラーノフ:アダージョ

ベルリン・フィルの弦パートの有志から成るアンサンブルかと思い込んでいたけど、当日会場で受け取ったプログラムの表紙にベルリン・フィルのバイオリン・アンサンブルと書いてある。
アレレ…、そうなのか。でも、バイオリンだけではいくら10本集まっても表現力に乏しいだろうなあ、と思ったが、そこは心配無用で、ピアノが1台入った。

このピアノが1台入ることで、バイオリンだけという単調なアンサンブルに音域の幅が出て、まるでチェロやビオラも入っているような錯覚に陥る。それだけ表現力が豊かになる。
つまりは室内オーケストラ風に聴こえてくるのだ。

まあ、そうでもなくちゃ二十数年もこういうスタイルで音楽を続けることはできないだろう。

バイオリン10本+ピアノという変わった編成の魅力を十分に発揮していたとは思えないけど、さすがにベルリン・フィルメンバーだけにバイオリンの発する音色の透明感の美しさに加え、バイオリンとも思えない中音域の音圧の強さもーこれはピアノとの良い呼吸が作り出しているのだろうがー迫力があった。

とはいえ、演奏された曲のすべてが(アンコールの2曲は初聴きだったが、これらも多分…)このスタイルに合わせた編曲なので、オリジナルを聴き馴染んでいるものだから、どうしても良くできた編曲とか、珍しい編曲モノという印象を拭えない。何か、オリジナルを1曲でも聴いてみたかった。


♪2016-094/♪みなとみらいホール-24

2016年7月6日水曜日

国立演芸場7月上席 真打昇進披露公演

2016-07-06 @国立演芸場


落語 三遊亭馬ん長⇒元犬
落語 橘ノ双葉⇒タケダ君へのラブレター
落語 三遊亭遊雀⇒堪忍袋
漫才 宮田陽・昇
落語 三遊亭圓馬⇒高砂や
落語 桂歌丸⇒つる
<仲入り>
真打昇進披露口上
落語 瀧川鯉昇⇒粗忽の釘
落語 三遊亭遊三⇒親子酒
奇術 北見伸&スティファニー
落語 橘ノ圓満⇒壺算


今日は満員御礼の大盛況。和服姿のご婦人も多くて驚いた。お目当ては歌丸師匠だろう。

今月の上席では3人の新・真打ちの昇進披露が行われていて、今日はその一人、橘の圓満のお披露目だった。
この人、若い頃から寄席に入り浸りで好きが高じて30歳を過ぎてついに入門したので、真打ちになったのは既に五十路を過ぎという変り種。家は上野の料亭で自身3代続く江戸っ子だが、家業を継がずに噺家になったという。この経歴自体が落語のようでもある。

圓満のブログから
祝儀の意味があるのだろう、今日は園満がトリを務めた。
出し物は有名な「壺算」だ。
瀬戸物屋のオヤジを言いくるめて水瓶大小をタダで持ち帰るというハナシだが、語り口が硬くてまだ修行半ばの感があるが、計算が分かったようで分からないオヤジの心境をなかなか上手に演じていた。

今日の出し物では、遊雀、圓馬の落語が上出来。
宮田陽・昇の漫才もおかしかった。
北見伸&スティファニーの奇術も巧いものでありふれたものだけども全くタネが分からない。助手のピチピチギャルたちも眼福である。

しかし、なによりも誰よりも歌丸の飄々としたおかしさ・巧さには実に驚かされた。昔、TVで観ていた頃はあまり上手いとも思わなかったけど、落語芸術協会会長は伊達じゃないね。
演じた「つる」は、よく知っているハナシだし、ここ演芸場でも前座や二ツ目で何度か聴いたが、おかしさが違う。質が違う。
展開も、オチも、セリフまで分かっているハナシなのに、歌丸がひょうひょうと演ずるともうおかしい。おかしくなる前からおかしい。
館内は大爆笑の渦だ。一緒に行った友人はおかしすぎて泣いていたよ。


♪2016-093/♪国立演芸場-06