2019年2月9日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第347回

2019-02-09 @みなとみらいホール


川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
藤村実穂子:メゾソプラノ*

マーラー:リュッケルトによる5つの歌*
 美しさゆえに愛するなら
 私の歌を見ないで
 私は優しい香りを吸い込んだ
 私はこの世から姿を消した
 真夜中に
ハンス・ロット:交響曲第1番ホ長調

「リュッケルトによる5つの歌」は前にN響定期でケイト・ロイヤルのソプラノで聴いた。バリトンが歌っている例もあるし、今回はメゾ・ソプラノだ。その都度オケの伴奏楽譜は移調するのだろうか?
いずれにせよ、馴染めない音楽だ。

藤村実穂子は3度め。世界的な実力者との評判だが、悲しいかな、その実力のほどはいつも実感できないでいる。オペラを1本聴けば感情移入できるようになるかもしれない。フツーに巧いとは思うのだけど。

さて、巷で噂のハンス・ロット交響曲1番。マーラーとはウィーン音楽院で学友だったそうだ。しかし、彼は作品が評価されず、精神を病んで25歳で夭逝し、マーラーとは対極の人生を送った。

その交響曲第1番は、その第1楽章を音楽院の卒業コンクールに提出したが師のブルックナー以外の誰からも評価されず、マーラーの作品が優勝した。
その後全曲を完成させ、ブラームスに見せたところ、「美しい部分もあるが、残りは平凡で無意味」と酷評されたそうだ。そのことも彼が精神を病むこととなった原因の一つらしい。

そのような悲劇的な人生を送った青年の音楽というコンテキストを纏った作品が、それにふさわしいコンテンツを擁するのかが聴きものである。

冒頭のトランペットの音が美しくなく、木管とのアンサンブルもモタついた出発で印象を損ねたが、その後は持ち直し、神奈川フィルは醜女の厚塗りのような音楽をとても熱演した。

しかし、やはり、若作りの音楽で、やりたいことをこの1曲で全部やってしまったようで、油絵の具を幾重にも塗り重ねたような派手で執拗すぎる音楽には共感できなかった。ブラームスの見立ては正しいと思う。

尤もマーラー程長生きしたら俗なりに大成したかも。

♪2019-013/♪みなとみらいホール-03