2019-02-02 @国立劇場
第三部
鶊山姫捨松(ひばりやまひめすてのまつ)
中将姫雪責の段
前⇒ 靖太夫/錦糸
奥⇒ 千歳太夫/富助
胡弓⇒ 錦吾
人形▶紋臣・一輔・簑二郎・文哉・紋秀・清五郎・簑助・玉也
壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)
阿古屋琴責の段
阿古屋⇒ 津駒太夫
重忠⇒ 織太夫
岩永⇒ 津國太夫
榛沢⇒ 小住太夫
水奴⇒ 碩太夫
清助
ツレ⇒ 清志郎
三曲⇒ 寛太郎
人形▶玉助・文司・玉翔・勘十郎・勘助・玉路・和馬・簑之
Ⅰ部、Ⅱ部は後日に回して。
Ⅲ部は「鶊山(ひばりやま)姫捨松」中将姫雪責の段と「壇浦兜軍記」阿古屋琴責の段。
2本とも若い女性が責められまくる話って、ちょっと興奮させる?
後者は歌舞伎の玉三郎で観たが人形では初めて。前者は歌舞伎も知らない。
「鶊山姫捨松」では、権力闘争の煽りを食って、無実の中将姫が雪の舞う庭で、継母岩根御前による殺害目的の折檻を受ける場面=雪責めがメインだ。
打掛を剥がされ竹刀でさんざの打擲に苦しむ姿を、豊澤富助の三味線に乗せ竹本千歳太夫が振り絞るように語り、人間国宝吉田簑助が人形に命を吹き込む。
「壇浦兜軍記」は傾城阿古屋が、源氏方代官重忠と岩永から、彼女が馴染みだった平家の重臣・景清の行方を聞き出そうと拷問を受ける一幕だ。
逸(はや)る岩永を制して冷静な重忠は阿古屋に琴・三味線・胡弓を弾かせその調子で阿古屋の本心を探ろうとする。
歌舞伎では一人の役者が3種を操る処が見どころ。
文楽でも同様だが、ここでは人に操られる人形が演奏するフリをするという屈折した面白さがある。
楽器の実演は三味線方(鶴澤寛太郎の見事な演奏)が担うが、それに合わせて、さも演奏しているかのようにピタッと合わせて阿古屋を遣うのが桐竹勘十郎の名人芸。見事でありおかしくもある。
観客は、寛太郎の演奏を横目で見ながら勘十郎が遣う人形のフリを同時に見るので、撥・弓・指遣いの微妙な仕草までシンクロするのがよく分かって只管感心するが、舞台上の憎まれ役岩永も阿古屋の名演につい惹き込まれる様子も傑作で、場内は笑い声が広がる。津駒太夫・織太夫らも名調子。
阿古屋琴責めでは中将姫雪責めと違って、三味線方も太夫も大勢で人形を演じ分け、責めるといってもこちらは優雅なもので傾城の見事な衣装も楽しめるし、賑やかで、おかしくてホンに楽しい一幕ではあった。
♪2019-010/♪国立劇場-02