2018-05-22 @サントリーホール
下野竜也:指揮
東京都交響楽団
ヒラ・プリットマン:ソプラノ*
メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 op.56《スコットランド》
コリリアーノ:ミスター・タンブリンマン
─ボブ・ディランの7つの詩(2003)(日本初演)*
昨年末の文化会館での「第九」の後は、都響の演奏会は不作続きで、大満足はおろか、中満足もなかなかできないでいる。
今日の希望の星であった「スコットランド」でさえ、アンサンブルがガサついていて、本来の力が出ていないのではないかと思った。とりわけ、弦の透明感の不足を感ずる。
「音楽」であるからにはまずもって「音」が美しくなければだめだ。
長い中断を経て都響を聴き始めた頃は厚いアンサンブルにワクワクすることもあったが、最近は耳が肥えてしまい?ちょっとやそっとのレベルでは満足できなくなっている。
一つは僕の耳の問題(体調によって聴こえ方が異なる)、ホールの問題、曲目が本来持っている演奏効果、リハーサルの徹底具合、指揮者の音楽性などが複合的に影響して、同じオケでも出来がだいぶ異なってくるように思う。
「スコットランド」が大好き、という訳ではないけど、メインに置かれたのがコリリアーノ(初めて聴く名前だ。)という作曲家が2003年に発表してグラミー賞を受賞した作品だというので、現代音楽に関心のない我が身としては、せめて「スコットランド」で楽しみたいと思っていたのだけど、果たせず。
ボブ・ディランの7つの詩に作曲した作品は、聴いてみれば案じたほど小難しい(と言うより、現代の作品は自己中ぽいのが嫌いなのだけど…)音楽でもなかったが、さりとて楽しめるようなものでもなかった。
これを歌ったヒラ・プリットマン女史はやはりこの歌唱でグラミー賞を受賞したのだそうだ。目下のところ、この曲を歌うに最も相応しい歌手という訳だ。きれいな声だったが、作曲者の指示によりアンプ増幅による歌唱だった。サントリーホールのいつもは閉じている天井から黒い巨大なスピーカー群がぶら下がって降り、ここから彼女の歌が拡声された。ナマで歌っても十分館内に響き渡ったろうけど、何しろオケが巨大(プログラム掲載の楽器編成で数えたら打楽器だけで20種類も用意されていた。)な為に、ナマでは歌がかき消されるおそれがあるからだろう。
現代音楽はもう何でもありだから、これはこれで良いのかもしれないけど、個人的には受け入れ難い。
ボブ・ディランそのものをよく知らない。CDを1枚だけ持っていて、耳に馴染んでいるのは「風に吹かれて」と「タンブリンマン」くらいだ。聴きながら意味が分かるほど英語に堪能でもないし、集中できなかった。
ところが、終曲すると、館内は拍手喝采、歓呼の嵐で大騒ぎだった。僕は全然ついて行けず、気分は白けたままだったな。
♪2018-059/♪サントリーホール-05