バイエルン国立歌劇場 2017年日本公演
ワーグナー作曲 「タンホイザー」(全3幕)
キリル・ペトレンコ:指揮
ロメオ・カステルッチ:演出・美術・衣裳・照明
シンディー・ヴァン・アッカー:振付
バイエルン国立管弦楽団
バイエルン国立歌劇場合唱団
領主ヘルマン⇒ゲオルク・ツェッペンフェルト
タンホイザー⇒クラウス・フロリアン・フォークト
ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ⇒マティアス・ゲルネ
ヴァルター・フォン・フォーゲルヴァイデ⇒ディーン・パワー
ビッテロルフ⇒ペーター・ロベルト
ハインリッヒ・デア・シュライバー⇒ウルリッヒ・レス
ラインマル・フォン・ツヴェーター⇒ラルフ・ルーカス
エリーザベト、領主の姪⇒アンネッテ・ダッシュ
ヴェーヌス⇒エレーナ・パンクラトヴァ
羊飼い(声)⇒エルザ・ベノワ
羊飼い(少年)⇒ティモシー・モーア
4人の小姓⇒テルツ少年合唱団
海外歌劇場の引越公演を観るのは初めて。それもバイエルン歌劇場といえば、世界でもトップクラス。音楽監督が次季ベルリン・フィルの首席指揮者に就任予定のキリル・ペトレンコというから、チケットはヒジョーに高かったが、一度、世界一流のオペラに接してみたいと思ってた。
結果的には、料金に見合うような出来だとは思えなかった。このチケット代なら新国立劇場のS席2枚買ってお釣りがくるので、そっちのほうが良かったかも。でも、一度は聴いてみないと比較もできないから仕方がない。
不満に思ったのは、演出・舞台美術だ。
ロメオ・カステルッチという人が、今年5月にバイエルンで初演出したものを日本でもそのままやったらしい。
舞台装置は実に簡素で、専らカーテンが前後左右に重ねられる程度で、ほかに、舞台装置らしきものはない。
衣裳もギリシャ神話の世界のようで簡素。
主要等人物以外にも合唱やバレエダンサーらしき人が大ぜい登場して、本筋のドラマの背景を演ずる。ここがまさに演出の見せ所だが、これがやたら抽象的で分かり難い。いや、全然分からないと言ってもいい。どうやら、肉欲の愛と信仰に叶う愛との相克を表現しているらしいが、無意味な過剰説明にしか思えない。
ワーグナーの台本どおり、歌い、演ずるだけで、十分物語は理解できる単純なドラマなのに、わざわざひねりを加えて難解にしてしまったように思う。
歌手たちの歌いぶりも、METなどで聴くものとは異なって、物静かな歌いぶりだ。簡素・静謐なワーグナーを目指したか。どうも、物足りなかったな。
2017-156/♪NHKホール-08