一、彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)
毛谷村(けやむら)
毛谷村六助⇒染五郎
お園⇒菊之助
杣斧右衛門⇒吉之丞
お幸⇒吉弥
微塵弾正実は京極内匠⇒又五郎
仮名手本忠臣蔵
二、道行旅路の嫁入(みちゆきたびじのよめいり)
戸無瀬⇒藤十郎
小浪⇒壱太郎
奴可内⇒隼人
三、極付 幡随長兵衛(きわめつき ばんずいちょうべえ)
「公平法問諍」
幡随院長兵衛⇒吉右衛門
水野十郎左衛門⇒染五郎
近藤登之助⇒錦之助
子分極楽十三⇒松江
同 雷重五郎⇒亀鶴
同 神田弥吉⇒歌昇
同 小仏小平⇒種之助
御台柏の前⇒米吉
伊予守頼義⇒児太郎
坂田金左衛門⇒吉之丞
慢容上人⇒橘三郎
渡辺綱九郎⇒錦吾
坂田公平/出尻清兵衛⇒又五郎
唐犬権兵衛⇒歌六
長兵衛女房お時⇒魁春
毛谷村も幡随長兵衛も、既に何度も観ているので、どうしても以前の公演との比較で観てしまいがちだ。
菊五郎ー時蔵、仁左衛門ー孝太郎と比べると、今回の染五郎ー菊の助は味わいが乏しい。前2者が人間国宝のベテランであったのに対し、今回はまだ中堅なので、先入観もあるだろうけど、ちょいと軽い気がした。
染五郎の方は、滑稽味もあってそれなりの六助になっているけど、菊之助が硬い。
臼を振り回したり、尺八と火吹き竹を間違うところなど、ここで笑いたいというところでなかなか笑えない。
男勝りからしおらしい世話女房への変化も、何か、型どおりやっていますという感じだったな。
幡随長兵衛は前回が昨年の芝翫襲名だった。
新・芝翫の長兵衛もスッキリとして気持ちよく観れたが、やはり、こちらも吉右衛門の貫禄にはかなわないか。ただ、いつも思うに、子分たちの芝居が平板なので、長兵衛の重い決断がどうも軽く見えてしまう。
吉右衛門は、さすがに序幕で客席から登壇するとにわかに舞台が引き締まる。
ただ、ちょいと年齢的にはキツイ。本物の長兵衛は35、6歳で殺されているらしい。倍以上の歳の長兵衛なら「人は一代、名は末代」などと威勢の良い啖呵を切って殺されにはゆかなかったのではないか。この向こう見ずな意地っ張りぶりに関しては、芝翫の長兵衛が似合っていた。
染五郎が敵役の水野を演じたが、ここではやはり貫禄負け。
なんか、今年の秀山祭・昼の部はミスキャストが多いな。本人のせいではなくて、文字どおり「配役」で損をしている。
♪2017-145/♪歌舞伎座-05