2017年9月4日月曜日

東京都交響楽団 第838回 定期演奏会Aシリーズ

2017-09-04 @東京文化会館


大野和士:指揮
東京都交響楽団
ハオチェン・チャン:ピアノ*

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op.30*
ラフマニノフ:交響曲第3番 イ短調 op.44
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アンコール
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330から第2楽章*

6月の神奈川フィル定期でもラフマニノフのピアノ協奏曲と交響曲のカップリングだったが、その時はいずれも第2番だった。

ピアノ協奏曲でも交響曲でも圧倒的に第2番の演奏機会が多く、聴く機会が多い。とは言え、ピアノ協奏曲に関しては3番も結構聴く機会が多い。むしろ、1番や4番は記憶に定かでない。

が、交響曲に関しては3番はやはり聴く機会が少ない。また、1番など聴いた記憶もない。

で、今日のコンサートでは、メインの交響曲第3番を興味深く聴いた。ラフマニノフにとって最後から2番めの作品(1936年完成)だという。因みに最終作品は「交響的舞曲」で40年の作。亡くなったのが43年(69歳)。

ラフマニノフは44歳頃(1917年)、十月革命後にロシアを出国し、二度と帰国することはなかったそうだ。
晩年はアメリカで暮らしたそうだから、最後の交響曲である第3番、同時に最後から2番めの作品は、てっきりアメリカで、ドボルザークのように望郷の念にかられながら書いたのではないか、と思いこんでいたが、事実は、渡米前のスイスで作曲されたんだね。
これは帰宅後知ったことで、聴いている途中は、久しぶりに聴く第3番のメロディーの切れ端にロシアの匂いを嗅いでやろうと気合を入れて聴いていたが、驚くほどにロシア臭はしない。
冒頭部分が、ちょいとそれらしくもあるが、その後は、ほとんど、アメリカの南部に広がる草原とか、西部の高原とか、あるいは、イギリスの放牧地などのイメージばかりして、ロシアは出てこないのに驚いた。

ピアノ協奏曲は2番、3番はもちろんのこと、1番も4番もロシアのメランコリーを感ずるのだけど、ラフマニノフは、晩年に至って、最後の交響曲を作曲する際に、スイスであれ、故郷ロシアを離れて20年近く経過した異郷で何を考えながら作業を進めたのだろう、とそんなことばかり考えながら聴いていたら、終わってしまった。

ところで、ハオチェン・チャンのピアノは特にクセも感じず、とても好ましい演奏だったが、関心したのは、本番のピアノ協奏曲第2番より、アンコールで弾いたモーツァルトのピアノソナタの第2楽章が、実に丁寧で、隅々に気持ちが行き届いていて爽やかな音楽になっていたのが素晴らしかったな。

♪2017-144/♪東京文化会館-13