2017年3月19日日曜日

音楽堂ヴィルトゥオーゾ・シリーズ18 アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル 〜ウィーン古典派4人の巨匠たちの最後のソナタ集〜

2017-03-19 @県立音楽堂


アンドラーシュ・シフ:ピアノ

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第18(17)番 ニ長調 K.576
シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960
ハイドン:ピアノ・ソナタ第52番 変ホ長調 Hob. XVI: 52
ベートーベン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 op.111
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アンコール
J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲BWV988から「アリア」
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第16(15)番K545から第1楽章
シューベルト:4つの即興曲 D935から第1曲ヘ短調
    〃   :       〃      第4曲ヘ短調
    〃   :ハンガリー風メロディ ロ短調 D817
    〃   :4つの即興曲 D899から第2曲変ホ長調

モーツァルト、シューベルト、ハイドン、ベートーベンの各最後のソナタ4本立て。最初は音が丸すぎるかと思ったが、段々良く鳴るベーゼンドルファー(持込)と相まって求道者のような佇まいから奏でられる音楽は、独墺音楽の核心を聴いた感あり。

最後のベト32番に深く打たれた感あり…で、もうアンコールはなくて良いと思っていたが、ゴールドベルクの主題が始まった時にはよくぞ弾いてくれたと思った。その後も計6曲の大サービス。3時間の大長編コンサートになった。

昨秋、同じ音楽堂でユジャ・ワンの強烈なピアノを体験したが、2人の音楽はまるで対極に位置するように思える。
しかし、観客の熱狂度においても、シフはユジャ・ワンに負けていなかった。本物に触れた喜びだろう。これぞ、シフくの4時間。

ベーゼンドルファーってピアノソロや室内楽には向いているのではないか。
シャルランが自分のレーベルでLPで出したベートーベンやブラームスのソナタ集のCD復刻版を持っているが、スタインウェイを使っているが、音色は誠にまろやかで好きだが、今日のベーゼンドルファー280VC(ベ社から持込み)はそれに近いまろやかさだった。
YAMAHAが石ならスタインウェイは鉄、そしてベーゼンドルファーは木の響がするよ。大ホールやコンチェルト向きではないと思うけど、音楽堂(1054席)という中規模ホールでのピアノソロでは非常に心地の良い音色だ。手持ちのシフによるシューベルトピアノ・ソナタ全曲を含む作品集は音色まで気にしていなかったけど、よく調べたらベーゼンドルファーを使っていた。

リサイタルにアンコールはつきものとは言え、まさかの6曲。そのうち4曲がシューベルトだった。何か、すごいね。外連味ゼロだが、本物のピアニストという感じがしたし、ほんものの独墺音楽とはこれだと言う感じがした。

♪2017-043/♪神奈川県立音楽堂-03