2019年4月28日日曜日

藤原歌劇団公演オペラ『蝶々夫人』

2019-04-28 @テアトロ・ジーリオ・ショウワ


指揮:鈴木恵里奈
演出:粟國安彦

管弦楽:テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ
合唱:藤原歌劇団合唱部

蝶々夫人⇒迫田美帆
ピンカートン⇒藤田卓也
シャープレス⇒市川宥一郎
スズキ⇒但馬由香
ゴロー⇒井出司
ボンゾ⇒田島達也
ヤマドリ⇒柴山昌宣
ケート⇒吉村恵
神官⇒立花敏弘

ジャコモ・プッチーニ:『蝶々夫人』
全2幕<イタリア語上演/字幕付>
予定上演時間:約2時間50分
第Ⅰ幕60分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕85分

平成最後の鑑賞を大傑作で締めることができて嬉しい!

海外プロジェクトの蝶々夫人は合わないなカツラに妙な着付け。立ち居振る舞いもなっておらん。何もかも違うぞーっ!という思いが先に立ち、イマイチ違和感拭えず、満足した事は無かったが、やはり純国産は没入できる。

今日が実質デビューという指揮者(鈴木恵里奈)も蝶々夫人(迫田美帆)も見事な演奏・歌唱で信じられない上出来だった。

演出も良かった。
いやほんの一部に他にやり用はなかったかと思う場面もあったが全体としてとても自然で説得力あり。
特に最後の場面の意表を突く暗転にやられた!

この頃涙脆い僕は2幕からずっとウルウルしっ放しだった。
できれば号泣したいくらい。
今、思い出しながらも目が潤んでくるよ。

古手の日本男子としては、蝶々さん(設定は15歳〜18歳)のように可愛くて、純粋で、疑いを知らず、でも利発で、矜持を持つ女性を理想的に見てしまう。こういう女性こそ男性から一歩退き乍ら実は<男を育てている>のだが、そういう点は近頃捨象され、女性蔑視と批判されがちなのは残念。

6月に新国立でも観るが非常に楽しみ。今度は遠慮せず泣こう!

♪2019-056/♪テアトロ・ジーリオ-01

2019年4月27日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第346回横浜定期演奏会

2019-04-27 @県民ホール


ピエタリ・インキネン:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

村治佳織:ギター*

ラウタヴァーラ:In the Beginning
武満徹:夢の縁へ*
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 op.36
-----アンコール-----
オーバー・ザ・レインボウ&イェスタデイ*
シベリウス:悲しきワルツ

ラウタヴァーラという作曲家の存在は知らなかったし、その作品「In the Beginning」も初聴き。2016年に亡くなったフィンランドの作曲家だというから、同国出身のインキネンにとっては大切な作品なのだろう。

2017年にインキネンがドイツ放送管弦楽団で世界初演をしている。
現代の作品なので、調性は曖昧で、終始不穏な響きが継続するが、あまり嫌な感じではなかった。
https://youtu.be/CdoZU2c2ilI

武満徹の「夢の縁へ」は小ギター協奏曲風。初聴き。
ギター独奏の村治佳織も初めて。名前は知っているけど、これまで縁がなかった。ともかく、音が小さい。ギターは爪弾く楽器だから音量の面で不利ではあるけど、それにしても小さかった。
彼女の技量の問題もあるだろうけど、いつものみなとみらいホールでの演奏なら、よく響くホールだから、音量不足をあまり感じなかったかもしれないが、今回はなぜか、県民ホールだ。残響は少ないし、客席空間は広い。それもあったかもしれない。
縁コールで、ギター独奏をしたが、これもやはり音が小さくて話にならない。
僕の席は絶好の良席だが、それでもイマイチなのだから、後方や2階、3階席では音楽として届かなかったのではないか。

メインのチャイコの4番は、10日ほど前に東フィルで聴いたばかりだったが、その際に残念に思った冒頭のファンファーレは僕の耳には完璧な出来栄えだった。
もちろん、ファンファーレだけではなく、全体としても迫力のある高水準な演奏だったが、ここでも、県民ホールの限界というか、管・弦の響きに豊かさが不足して、やはり、残念なことであった。でも、こういう音楽こそ県民ホール向きなのだけど、これでも満足を得られないとなると、悲しいね。


♪2019-055/♪県民ホール-04

2019年4月26日金曜日

東京都交響楽団 第877回 定期演奏会Bシリーズ

2019-04-26 @サントリーホール


大野和士:指揮
東京都交響楽団

武満徹:鳥は星形の庭に降りる(1977)
シベリウス:交響曲第6番ニ短調 op.104
ラフマニノフ:交響的舞曲 op.45

部分的に教会旋法を使って作曲された作品例はあるが、シベリウスの交響曲第6番は、いわゆる教会旋法のドリア調で全曲が書かれているそうだ。教会旋法のことは大雑把な知識しかないが、古典派以降は長調(これを3度下げて作られた短調)に取って代わられて、特別な効果を求めるとき以外は用いられていないようだ。
ゆえに、シベリウスがドリア調で全曲を書いたというのは非常に珍しい出来事な訳だ。

ドリア調ではD音(ハ長調で言えばレの音)が第一音だが主音ではない。終止音というらしいが長調でいう主音に相当するのだろうか?
一方で、支配音というのもあって、それは旋法によって異なるがドリア調の場合はちょうど5度上のA音だというから長調で言えば属音に当たる。それぞれがどんな役割を担うのかさっぱり分からない。ちょっと調べてみたが、疑問の草叢に分け入るだけみたいだから、早々にUターンした。
知らなくたって音楽は聴いて楽しめばいいから…というのは負け惜しみだけど。

ともかく、古典派以降でいう「調性」はないのだから、機能和声が説明してくれるような機能(属音・下属音・導音など)が各音に割り当てられてはいないのだろう。
では、どうやって曲が始まり、終わるのか興味深い。和声に頼らず旋律だけで終止できるのか?

などと聴きながら考えていたらいつの間にか音楽は終わってしまった!

調性に慣れた耳にはカデンツ(機能和声でいう「終止形」)の手順を踏んでキッチリ決めた音楽にこそ安心感があるなあ。

ラフマニノフの「交響的舞曲」。
彼の最後の作品にしては分かり易い。都響で聴くのも2度目だが、あまりステージにかかることが少ない音楽だ。片鱗も覚えていなかったが、結構面白い。
が、今日の都響は第1バイオリンの高域が美しくない。
先日の神奈フィル@県民ホールのような響で聴きたかったな。

今季から席替えをした。席番は同じだが、7列も前に行った。原音と残響の混じり具合が良い感じだ。その分、弦の乱れはよく聴き取れてしまう。


♪2019-054/♪サントリーホール-03

2019年4月25日木曜日

河村尚子「ベートーベン ピアノ・ソナタ・プロジェクト」第3回(全4回)

2019-04-25 @紀尾井ホール


河村尚子:ピアノ

ベートーベン:ピアノ・ソナタ
 第26番変ホ長調 Op.81a「告別」
 第27番 ホ短調 Op.90
 第29番変ロ長調 Op.106
        「ハンマークラヴヴィーア」
-------アンコール
「告別」から第3楽章

2年でベートーベンのピアノ・ソナタ14曲を弾くプロジェクトの3回目(因みに第1回は4、8、7、14番。第2回は18、21、24、23番。)は26番「告別」、27番、29番「ハンマークラヴィーア」。

おいおい、僕の急所を突くような選曲だぞ。
ベートーベンのピアノ・ソナタのMyベスト4は28と最終3曲(なぜBest4なのか、なぜこの選曲なのかは説明可能だけど無駄に長くなるので省略。)。
一方、苦手ベスト3こそ今日の曲目だ。
特に29番にはうまく共感できない。


今日の演奏。
前2曲はベーゼン〜の柔らかい音が残響多めのホールと相まって美しかった。今回はベーゼンドルファーだったが、前回はスタインウェイではなかったろうか?少なくとも第1回のフィリアホールではベーゼンドルファーではなかった。最近彼女がリリースしたCDはいずれもベーゼンドルファーを使っているから、近頃お気に入りなのかも。

が、そもそも29番はベーゼン〜向きではないような気がする。
加えて残響多めのホールのせいで、冒頭の強奏がくぐもったのは残念。
とは言え、ここ一番の気迫が漲って強弱・遅速のダイナミズムが明瞭。3楽章終盤から4楽章冒頭まで我が貧弱な耳には音楽が迷子になったように聴こえるが、その隧道を過ぎると疾走するフーガが心地良い。

で、それなりのカタルシスを得たが、どうも29番は深い。
一に慣れの問題だが、この巨大な精神世界になかなか踏み入れない。せっかくソナタ全集(楽譜も)持っているのだから、暇ができたときに楽譜と睨めっこしながら真剣に聴いてみよう。

このシリーズ次は最後の3曲(30〜32番)。
これはもう大好物なので楽しみだ。

♪2019-053/♪紀尾井ホール-1

2019年4月23日火曜日

四月大歌舞伎 昼の部

2019-04-23 @歌舞伎座


今井豊茂 作
藤間勘十郎 演出・振付
一 平成代名残絵巻(おさまるみよなごりのえまき)
常盤御前⇒福助
藤原基房⇒権十郎
  平宗盛⇒男女蔵
  平知盛⇒巳之助
平徳子⇒壱太郎
  遮那王⇒児太郎
  左源太⇒男寅
平重衡⇒吉之丞
右源太⇒竹松
平時子⇒笑三郎
建春門院滋子⇒笑也
鎌田正近⇒市蔵
平宗清⇒彌十郎

二 新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)
座摩社/野崎村
〈座摩社〉
油屋娘お染⇒雀右衛門
丁稚久松⇒錦之助
弥忠太⇒家橘
勘六⇒寿治郎
山伏法印⇒松之助
山家屋佐四郎⇒門之助
手代小助⇒又五郎
〈野崎村〉
久作娘お光⇒時蔵
油屋娘お染⇒雀右衛門
丁稚久松⇒錦之助
手代小助⇒又五郎
百姓久作⇒歌六
後家お常⇒秀太郎

坂田藤十郎米寿記念
三 寿栄藤末廣(さかえことほぐふじのすえひろ )鶴亀
女帝⇒藤十郎
亀⇒猿之助 
従者⇒歌昇
従者⇒壱太郎
従者⇒種之助
従者⇒米吉
従者⇒児太郎
従者⇒亀鶴
鶴⇒鴈治郎

四世鶴屋南北 作
四 御存 鈴ヶ森 (ごぞんじすずがもり)
白井権八⇒菊五郎
東海の勘蔵⇒左團次
飛脚早助⇒又五郎
北海の熊六⇒楽善

短いのが4本。

1本目の「平成代名残絵巻(おさまるみよなごりのえまき)」は平成から令和への代替わりを、
3本目の「寿栄藤末廣(さかえことほぐふじのすえひろ )」はその名前が掛けてある坂田藤十郎米寿を、
それぞれ祝う長唄舞。

いずれも華麗な衣装や舞台装置などで賑やかに寿いだ。
藤十郎はほとんど舞うこともなく、形を決めるだけ。まあ、それでも存在感があるのは大したもの…かな。
お大事にしてくださいよ、と言いたくなる。

「新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)」は、お染<雀右衛門>、久松<錦之助>、お光<時蔵>。
何れも悪くないが、今月の登場する役者の中で言えば、せめて猿之助、できれば米吉、児太郎、壱太郎等の世代でこの芝居を観たい。雀右衛門らのベテラン勢ではそろそろこの芝居は感情移入が難しくなってきた。

最後は「御存 鈴ヶ森 (ごぞんじすずがもり」。
滅法強い白井権八<菊五郎>と男伊達の幡随院長兵衛<吉右衛門>の出逢いを描く。
人間国宝2人の絡みと言っても多分に様式がかった演出で丁々発止の緊迫感は無い。
もう派手には動けない菊五郎<権八>の立回りが長過ぎだ。

歌舞伎役者も働き方改革しないと芸を消耗するよ。

♪2019-052/♪歌舞伎座-02

2019年4月20日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ 第5回 「アメリカ」新世界で生まれ育ち移り行く音楽達

2019-04-20 @県民ホール


太田弦:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

阪田知樹:ピアノ
佐藤晴真:チェロ
田添菜穂子:司会

コープランド:「ロデオ」から“カウボーイの休日”
アンダーソン:タイプライター
アンダーソン:マクドナルドじいさんは農場をもっていた
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(抜粋)
J.ウィリアムズ:雅の鐘
コルンゴルト:映画「嵐の青春」
J.ウィリアムズ:映画「スターウォーズ」よりメインタイトル、アステロイド・フィールド
ジョン・ケージ:4分33秒
ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調Op.104から第1楽章
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調Op.95「新世界から」から第4楽章

アメリカ縁の小品・断章集。
指揮は新生・太田弦。
不出来なMCもついて親子名曲コンサートぽくなった。
おやつみたいなものばかりで主食のないもどかしさはあったが、演奏は上出来で(J.ケージの「4:33」は邪魔だったが)楽しめた。

特に最後のドボルザーク交響曲第9番「新世界から」の第4楽章冒頭の弦のアンサンブルの美しいこと。
県民ホールは音響もNHKホールとよく似て下手な演奏はごまかせない。
神奈川フィルも時に聴きたくない音を発するが、今日は見事だった。
管・弦が正確なピッチで適度に混ざり合う”交響”が管弦楽のナマの醍醐味を伝える。

♪2019-051/♪県民ホール-03

2019年4月19日金曜日

バッハ・コレギウム・ジャパン第132回定期演奏会

2019-04-19@東京オペラシティコンサートホール


鈴木雅明:指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)
ソプラノ:キャロリン・サンプソン
ソプラノ:松井亜希
アルト:ダミアン・ギヨン
アルト:クリント・ファン・デア・リンデ
エヴァンゲリスト(福音史家)/テノール:櫻田亮
テノール:ザッカリー・ワイルダー
イエス/バス:クリスティアン・イムラー
バス:加耒徹

J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV244

2015年春以来のBCJの「マタイ」だった。
その間に聴いた聖トーマス教会合唱団+ゲヴァントハウス管弦楽団による至高の「マタイ」が一種の物差しになっているのは不幸な事かもしれない。

とはいえ、前回のBCJと比べてとても好感した。
テンポは早めでアッサリと小気味良い。
全曲中一番有名な「神よ憐れみたまえ」も泣かせたりしない。福音史家役が大活躍をするが、この肝心のテノールに人を得た。素晴らしくよく通る美声だった。

不満といえば、どうしてアルトにカウンターテナーを使うのか。やはり、女声で聴きたい。
「マタイ」に限らずこれまでにカウンターテナーで満足したことがないのは僕の経験不足だろうが、そもそも不自然ではないか。
児童合唱でなく女声合唱を使うのならソロも女声で良かろう。

また、席がイマイチだった。センターを取ったが、BCJを聴くには席が遠かった。
前方1/3で聴くべきだった。
チケットが取れず後方1/3で聴いた。

オケを聴く席として悪くはないが、この編成(管弦楽30人足らず。声楽25人くらい?)には遠かった。
前方1/3なら良い「音楽体験」ができたろうが、後方1/3では澄まして「音楽鑑賞」だった。やはり没入度が違う。

それにしても武満ホールはとても自然な響だ。縦長シューボックスが良い効果を齎しているようだ。

♪2019-050/♪東京オペラシティコンサートホール-02